第2章第17話 ~少年と悪魔~
2021年1月16日に文章内容の大幅修正と追加をしました。
2021年10月14日に文章の一部変更をしました。
「はぁ・・・はぁ・・・―――よし!これで残りはあそこにいる奴等だけ!」
ドシャリッ、と音を立てながら地面に倒れ伏す隻眼の男を尻目に、僕は何かの魔方陣を作成中のパンデモニウム教団の信徒達に視線を向け、一歩、また一歩と歩き始めた。
だけど、その動きは酷く緩慢だった。肩を上下させながら荒い呼吸を繰り返す様は疲れているといった様子が丸分かりだった。
どうして僕がこんなにも疲弊しているのか、その答えは自分でもなんとなく分かっていた。おそらく、先程まで行っていたパンデモニウム教団の信徒達との戦いが原因だろう。なにせ、僕にとっては初めてのまともな戦闘と言えるモノであったのだから。
これまで僕は冒険者として活動していた―――いやまあ、実際にはエプーアの町の冒険者ギルドにそう思い込まされていたのだが―――頃に、何度も魔物と遭遇した事があった。そして、その度に僕は戦う事なく常に逃げ続けてきた。
勿論僕としても戦えるものなら戦いたくはあったけれど、その当時の僕は戦える力なんてまるっきりなく、またまともな武器も持っていなかった事もあって、その選択肢を選ぶ事ができなかった。
戦ったらまず間違いなく死ぬ。それが分かっていたからこそ僕は、みっともなかろうが泥に塗れようが構わず、生き残る為に常に逃げるという選択肢を選んできたのだ。
だからこそと言うか、時間にして約十分間の戦闘ですら今の僕にとっては肉体的にはともかく精神的にはかなりの負荷が掛かっており、戦闘時には抑え込めていた疲労感が、戦闘を終えた今になってドッと襲い掛かって来たのである。
「(体が重い・・・息が苦しい・・・そもそも、どうして僕はこんな所でパンデモニウム教団なんて奴等と戦っているんだっけ?)」
あまりの疲労感から思わずそう自問自答する。
そして、その答えは然程間を置かずにすんなりと出てきた。
「ああ、そうだ。それはクーリィという少女を助ける為だったな」と。
出会いは突然。一緒にいた時間もほんの少し。だがそれでも僕は目を合わせ、会話をした彼女が悪魔を呼び出す為の生贄に使われるなんて事を許容したくなかった。
なにより、孤児院の庭で男達に攫われそうになった時に見た彼女の目が気になっていた。
あれは助けを求めている様な目だった。救いを求めている様な目であった。
その目を見たからこそ、僕は彼女を助けようと思った。―――いや、助けたいと想った。
それは己の理想とする勇者ならこうするだろうという考えから来る思いではない。自分自身の胸の内から沸き上がる感情から来る想いであった。
「うっ・・・ぐっ・・・!?」
だからこそ、弱音を吐いている暇はないと歯を食い縛り、無意識のうちに俯かせていた己の顔を上げて前を見据える。一歩一歩足を動かし、踏みしめる毎にふらついていた歩調を整え、しっかりとさせていく。
そうして魔方陣の中央に寝かされているクーリィの下へと向かおうとして―――
「素晴らしい。実に素晴らしい力だ。その幼い身でそれほどの力を手にしているとはな・・・」
―――だがそこで、パチパチパチと誰かの拍手が響いた。
それを耳にした僕は足を止め、音の発生源へと視線を向ける。
そこに立っていたのは、パンデモニウム教団の信徒達に指示を出していた彼等のリーダー格と思われる、厳つい顔に無数の傷跡がある男であった。
彼は拍手を止めると、こちらへ問い掛ける様に声を掛けて来た。
「参考までに聞きたいのだが、君は一体どのようにしてその力を手に入れたのかね?体を鍛える事によって?それとも薬か何かを使ってかな?」
「それを聞いて、どうする・・・!」
「勿論決まっている。君が力を得た方法を我々もまた実践し、君と同じような、もしくはそれ以上の力を得るのだよ!」
僕の問い掛けに厳つい顔に無数の傷跡がある男は、己が眼前でグッと拳を握りしめると声高々にそう答えた。
「そもそも、我らパンデモニウム教団の目的は唯一つ!腐り、堕落し、歪みきったこの世界を我々の手で浄化し、全ての人々を正しき方向へと導く事!それこそが我らの目的、我らの理想なのだ・・・!その理想を叶える為には傍若無人な王侯貴族や肥え太った教会連中、果ては強者に媚びへつらうだけの愚かな平民共まで、そんな愚昧愚劣な者共を全て消し去る必要があり、当然それを行うには相応に強大な力が必要となる」
「それとクーリィを拐うことと何の関係が・・・!」
「クーリィ、というのがあの赤髪の少女の事を言っているのであれば、大いに関係があると答えよう、少年よ。我らパンデモニウム教団は彼の者共を浄化する力を得るために悪魔と呼ばれる存在の手を借りることにした。だが、その悪魔をこちらの世界に呼び出す為には贄が、血と肉と魂が必要となる。より強大な力を持った存在を呼ぶのであれば、それ相応の量と質が、ね?―――だがそこで、我々は一つの問題に直面してしまった」
男はそう言いながらフッと笑って見せ、しかしそのすぐ後に困ったように顔を曇らせた。
「贄の量に関しては特に問題なかった。そちらは最近になって大量に仕入れる事ができたのだからね。・・・問題は質の方だった。そん所其処らの質の贄では、呼び出される悪魔なんてたかが知れている。それじゃあ我々の目的を、理想を果たすなんてことは夢のまた夢だった。―――だが、その問題を解決する事ができるかもしれない情報が、我々と懇意にしている伝手から齎された」
「まさか・・・」
「そう、彼女だ!君がクーリィと呼ぶあの少女が、強力な力を持った悪魔を呼び出すに足る贄となるのだと、その懇意にしている伝手は教えてくれたのだよ!そして直に見て分かった!確かに彼女であれば、彼女を使えば、我々の目的を、理想を果たせる存在を呼び出せるだろうとねぇ!!」
何かに陶酔する様に無数の傷跡がある厳つい顔を恍惚とさせながら、そう力説する男。そんな彼を見ながら僕は「まさか・・・」と呟いた。
「まさか、最近この都市やその周辺で起こっていた誘拐事件は・・・!」
「ほう?そこに気付くとは存外頭の回転は良いらしいな。そう、その通り!かの誘拐事件は我々が起こしていた事!悪魔を召喚する為に必要な生贄を手に入れる為に行っていたことだ!―――となれば、当然彼らの結末も君には想像出来るだろう?」
「・・・この、外道共め!」
衝動的に僕はそう吐き捨てたのだが、その言葉を耳にした顔に無数の傷がある男は「ああ可笑しい」と言いたげに笑い出した。
「ハハハハハハッ!そうかそうか、我らは外道か!良かろう。その汚名は我らが悲願を成就するまでの間、あえて呼ばせてやろう!だが、事がなった暁には、それは伝説という名前へと変わるだろうがねぇ!」
「ハハハハハハハッ!」と男は笑い声を上げる。
それは聞いているこちらにとっては耳障りとしてしか感じられず、もう聞くに堪えないと感じた僕はその嫌に回る口を閉じさせようと木刀を構えながら駆け出そうとして―――
「―――ッ!?」
―――だがその時、広場の様な開けた場所に描かれていた魔方陣から強烈な輝きが放たれた。
「おおぉ・・・!おおぉ・・・!よくやった!よくやったぞ、皆の者ォ!!皆の働きのおかげで今ここに悪魔を召喚する為の魔方陣が完成したぁ!!」
その輝きを目にした顔に無数の傷跡がある男は、嬉しそうに両腕を大きく広げながら声高々にそう叫んだ。
反対に僕は「しまった!?」と思い、歯噛みした。思っていた以上にパンデモニウム教団の信徒達との戦いに時間を掛けてしまった事もそうだが、男の話に気を取られた事が痛かった。
おそらく時間稼ぎだったのだろう。そのせいで魔方陣を完成させる為の十分な時間を与えてしまった。
『”暗黒の雫より生まれし闇の同胞よ。欲望を是とし、絶望を好む闇の使徒よ。我は汝との対話を望むものであり、対価を糧に汝との契約を望む者である”』
魔方陣を囲んでいる信徒達は全員が一斉に同じ内容の詠唱を唱え始めた。詠唱が唱えられていくにつれて魔方陣から青白いエネルギー―――魔力が迸り、同時にそれが空中に新たな魔方陣が描かれていく。
空中に描かれた魔方陣は円形であり、その円の内側には六芒星が描かれていて、そしてその中心には”
Daemon Call”という文字が描かれていた。
『”故に、呼びかけに応じ、我が前に現れ出でよ〝―――《悪魔召喚》!』
「さあ、出でよ。悪魔よぉ!我らに偉大なる力を与えたまえぇぇぇ!!」
そして信徒達の詠唱が終わり、顔に無数の傷跡のある男の力強い声が響き渡った瞬間、空中に描かれた魔方陣から一際強い輝きが放たれ、気付けばそこに一体の悪魔が舞い降りる様にして姿を現していた。
魔法陣から現れた悪魔の姿は、幾つもの動物の体を繋ぎ合わせた様な独特な形をしていた。身長は三メートルと高く、頭部は牛の形をしていて側頭部からは立派な角が生えている。上半身は人間の形をしていたが赤茶色の肌色をしており、かなりの筋肉質だ。両腕の方も表面はフサフサとした黒く長い毛に覆われた猿の様な形をしているがかなり大きく、人間一人くらいは軽く握れてしまえると思える程。下半身は馬の後ろ脚に似た形をしているが、蹄部分は刺々しい形をしており、後ろで揺れている尻尾もまるでモーニングスターの様に刺々しい形をしていた。
「我を呼んだのは貴様等かぁ、人間共よぉ」
悪魔は地面に降り立つと辺りを見回し、自身を呼んだと思われる者達―――パンデモニウム教団の信徒達に声を掛けた。
それに対してルベンディア司祭も含めたその場にいたパンデモニウム教団の信徒達は、自分達が召喚したかの悪魔の前に跪くと一斉に頭を下げた。
「おぉ・・・悪魔よ。この少女を貴方様への生贄として捧げます。その対価として我等に強大な力をお与えください・・・!」
そして信徒達の一番前にいたルベンディア司祭が地面に横たわっていたクーリィを両腕で抱えると、まるで悪魔へと捧げる様に高々と掲げた。
「クソッ!させて堪るかぁッ!!」
それを目にしたアルクは、クーリィを生贄なんかにさせて堪るかと叫びながら、木刀を振り上げながら突撃する。
狙いは悪魔―――ではなく、クーリィの体を掲げているルベンディア司祭の腕。そこを強く打ちつける事でクーリィの体から手放させ、その後に彼女を回収してこの場から離脱しようと考えていたアルクであったが―――
「ウムン・・・?煩いぞぉ、小僧よぉ。《フィールドバリア》」
「ガッ・・・!?」
しかしそれは、悪魔が展開した《フィールドバリア》―――”自身を中心とした一定範囲に敵の攻撃や侵入を防ぐ結界を展開する”という魔技によって失敗した。
結界にぶつかった瞬間、アルクの体は弾かれ、吹き飛ばされて地面の上を転がっていく。その姿を横目で見ながらフンッと鼻を鳴らした悪魔は、続いて自らに向けて差し出されている少女に目を向けた。
「幼き人間の娘かぁ。くくくっ・・・!幼子の魂は我の大好物だぁ・・・!純真無垢である分、苦痛と絶望に晒されて恐怖に染まった時、その魂は格別に旨くなるからなぁ・・・!それに女子の肉は柔らかいし、それが最高の調味料になるからデザートには持って来いだぁ・・・!」
ニィィとした笑みを浮かべる悪魔。その顔は目の前の少女をどのようにして食べようかと考えているのだと、傍から見ても分かるものであった。
「・・・う、うぅぅ・・・・・・!」
その時、クーリィの瞼がピクリと動いた。
おそらく目を覚まし始めたのだろう。続いてゆっくりと瞼が開いていく。
「う、ううぅ・・・?え・・・?ヒッ・・・!?き、キャアアァァァ!!!」
そして悪魔の姿を目にした瞬間、その表情を恐怖に歪ませながら甲高い悲鳴を上げた。縛られている手足をやたらめったらにブンブンと振り回している様子から酷く混乱もしている様だ。
「あぐっ!?・・・ッ!は、離して・・・!離してぇ・・・!!」
「クハハハハッ!良いなぁ・・・!実に心地良い悲鳴だぁ・・・!もっと聞きたくなるほどに・・・!」
クーリィの襟首を掴んで持ち上げる悪魔。まるで猫の首を掴む様な持ち上げ方をされたクーリィは、手足を振り回して悪魔の体を叩いたり蹴ったりしているのだが、しかしそれを受けている当の悪魔は痛くも痒くもないと言いたげに鼻で笑い、どころかその反応を見て満足そうに頷いている。
「―――いいだろう。貴様達の望みを叶えてやろうぅ・・・!」
「おお!本当ですか!!」
口元に三日月の様に裂けた笑みを浮かべた悪魔は自身の目の前にいるルベンディア達に向けて望みを叶えてやると言い、その言葉を聞いた彼等は嬉しそうな声を上げた。
「そうら、受け取るがいいぃ」
喜びの声を上げている彼等に向けて人差し指を向ける悪魔。そしてその爪先に紫色の光が集まり、幾筋もの閃光となってルベンディア司祭達へと突き刺さった。
「グ、グハッ・・・!?な、何を・・・・ッ!?・・・ウ、グゥッ!?ガ、アアァァアアアアァァァ!!」
体に紫色の光線が突き刺さったルベンディア司祭も含めた信徒達は、最初は悪魔の突然の凶行に驚いた様子を見せるも、その声は次第に獣のような叫び声へと変わっていった。
それに合わせて彼等の肉体もまた変形、変質していく。体色は元の肌色から緑色へと変色し、体の大きさも元のそれよりも一回りか二回り分大きくなり、その胴体は腹部がでっぷりと突き出る様に大きくなっていく。体格の変化に合わせて両手足は太く逞しい、がっしりとした筋肉が付いたそれへと変わっていき、また彼等が身に着けていた服はその変化に耐え切れずに破れ、散り散りとなり、最後には腰蓑の様になってしまったズボンしか残らなかった。
「ウォォォ・・・・・・ウォォォオオオッ・・・!」
「あ、あれは・・・まさか『トロール』・・・!?そんな・・・人間が魔物になるだなんて・・・!?」
吹き飛ばされた後に体を起き上がらせ、木刀を支えに立ち上がったアルクは、変貌したルベンディア司祭達の姿を見て驚愕にその目を見開いた。
『トロール』とは、一般に流通されている武器程度は易々と弾き返す頑強な肉体と、巨大な岩石を粉砕出来るだけの膂力を持っている事で有名なBランク相当の人型の魔物だ。
何より厄介と言えるのは生まれながらにして持っている高い再生能力であり、かすり傷程度なら数秒で、致命傷であっても死んでさえいなければ三日ほどで完全回復してしまうのだ。
その為、トロールと戦う際には一体に対して最低でもBランク冒険者が三人、Cランク冒険者なら十二人から二十人程が一般的とされている。
ちなみに、それ以下のランクの冒険者には出会った時には全力で逃げる事を推奨されている。何故なら、まず間違いなく死ぬことになるからだ。
「ウムン・・・トロールかぁ。・・・まあ、この世界で最初に生み出した下僕にしては程々に使い勝手が良いのが出来たなぁ」
悪魔は魔物へと変貌したルベンディア司祭達の姿を見て禍々しい笑みを浮かべながら頷く。
その笑みを見たアルクは悪魔に向かって思わず叫んだ。
「どうして・・・どうしてだ・・・!?どうしてお前は、彼等を魔物へと変えたんだ・・・!」
「どうして、などと随分不思議な事を聞くのだなぁ、小僧よぉ。この者達は我に力が欲しいと願った。だから我はその願いを叶えてやったぁ。それだけの事だろうぅ?」
「だからって魔物の姿に変えるだなんて・・・!そもそも、悪魔にそんな力があるだなんて・・・!」
「―――ある訳がないとぉ?それは逆だぞ、小僧ぉ。我々悪魔はなぁ、生まれつき生物非生物問わず、あらゆるモノを魔物へと変える力を持っているのだよぉ。むしろ、それがあるからこそ我らは悪魔と呼ばれ、恐れられているのだぁ・・・!」
「なんだ・・・それ・・・」
アルクは悪魔という存在を知ってはいた。だがそれは物語等に登場する悪役としてであって、現実に会ったのは今回が初めてであり、その悪魔が様々なモノを魔物に変える力を持っているなんて知らなかった彼は思わず愕然とした。
「勿論、文字どおりの意味で力を、肉体の強化や強力な魔法を使えるようにさせるというのも出来はするがぁ―――それでは面白くないだろうぅ?」
「ッ!?こ、この悪魔め・・・!」
「それは罵倒のつもりかぁ?何一つ響かんなぁ・・・!」
アルクの罵倒を受けた悪魔は「クハハハハハハッ!」と笑う。
その表情はとても、とても楽しそうであった。
「―――さぁてぇ、些事も片付いた事だし・・・そろそろ、この小娘を食らおうとするかぁ」
「ひっ・・・!?」
そして一頻り笑い声を上げた後、悪魔はその視線を手元にいるクーリィに向ける。
「オレサマ、オマエマルカジリ」的なその視線を受けたクーリィは、恐怖で体を硬直させ、短い悲鳴を上げた。
「くっ・・・!させるかぁっ・・・!!」
その悪魔のセリフを耳にしたアルクは勢いよく立ち上がると、すぐさまクーリィを助け出そうとして悪魔の張った結界に向けて木刀を振り下ろす。
だがその一撃は結界を破る事は出来ず、バチバチと音を立てながら弾き返された。
「このっ・・・!くそぉっ・・・!クーリィを、離せぇっ!!」
「お、お兄ちゃん・・・!」
それでも尚諦めずに何度も何度も結界に向けて木刀を振るい続けるアルクであったが、しかし全くと言っていい程ビクともしない。
罅すら入らないそれを見た彼は悔しげにギリッと歯を食い縛り、だがそれでも「諦めるもんか・・・!」と奮起して結界を叩き続ける。
「ウムン・・・鬱陶しいぃ。まったくぅ、これではゆっくりと食事が楽しめないではないかぁ。それ以上五月蠅くするのであれば、その息の根を止めてくれようか―――いや、待てよぉ?」
そんなアルクの様子を横目で見ていた悪魔は、初めは何度も結界が叩かれることに五月蠅そうにしていたが、その後でふと何かを思いついた様にクツクツと笑い出した。
「・・・いい余興を思いついたぞ。小僧よぉ、そんなにこの娘を助けたいかぁ?」
「当たり前だッ!!」
「そうかそうか、そんなに助けたいかぁ。―――ならば小僧よぉ、今から我が下僕たるトロール達を全て倒してみせろぉ。それが出来たならこの娘は放してやってもいいぞぉ」
「なにっ・・・!?」
悪魔のその言葉に驚くアルク。
そんな彼の様子を目にした悪魔は、ニィィィッ・・・!とさらに笑みを浮かべた。
「・・・だがそれが出来なければ、お前も、この娘も、諸共にこの我が―――悪魔『グベイザー』が食ろうてくれるるぅ・・・!行けい、トロール達よぉ!!」
グベイザーとそう名乗った悪魔はそう言いながらパチンと指を鳴らし、それを合図にトロール達はアルクへと襲い掛かった。




