78話
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初心者の森は卒業と自分で決め、河方面へ行ってみることにした。
セルビナさんに「次のお土産はバッファローかしら」なんて言われたけど、そんな大きいモノは絶対にお土産にはしない。
自分が食べる分だけは狩ってもいいかな、と思うけど。
だって、バッファローだ。牛だよ。絶対に美味しいに決まっている。しゃぶしゃぶに牛丼。牛ステーキも捨てがたい。
「というか、街に売っている牛肉ってバッファローじゃないか?」
冒険者御用達の干し肉もバッファローのような気がする。
500メートルほど先まで視界良好なだだっ広い草原。遠くに5人組の冒険者が1頭の牛を囲んで戦っている様子が見える。遠視スキルで装備を確認すれば、ひとりの首から下げたペンダントの色が青だと分かる。うん、初心者じゃないから心配いらないね、
彼らから離れたところを通り抜けて、戦闘の邪魔にならないところで腰を落とす。
「草原には、ギルドの常設依頼の薬草はない感じかな」
見つけたのはシソの仲間だ。赤の方が香りは強いが、今回見つけたのは青シソの方だ。とはいえ、青シソもいいアクセントになる。刻んで薬味にしたり、肉に巻いてみたり。使い道は色々ある。
マップさんにシソを探してもらったが、残念ながら魔力がない普通の草は無理だった。歩きながら偶然見かけたら摘むしかない。
「…あ」
見た割す限りの平原で、何気なく鉱物探査してみたところ…この地下に琥珀が眠っている。詳しくスキャンしてみると、範囲はそれほど大きくない。偶然にもアタリを引いた感じだ。
<マップさん、ここにマークをつけておいて。今は人通りがある時間帯だから採掘できない>
思いがけない楽しみが出来た。この分だと他にもお宝が眠っているかもしれない。
一見何もない平原。バッファローや一角兎、キツネやリカオンの狩場としか認識されていないと思う。
人力で土地を耕し、世話をして収穫する。作付面積を広げるには人手がいる。トラクターのないこの世界で畑を広げて管理するのは大変だ。
何にも利用されず手付かずのままの平原があるから、冒険者の狩場になっているんだろうけど。
<マップさん、ここにもマーク。少量だけど琥珀がある>
獲物を捜し歩いているように、ゆっくり進みながらスキャンを続けていると数カ所の琥珀と数カ所の石英を含む地層が見つかった。琥珀の方は代わりの石を詰めることで地面の沈下を防げるけど、石英を含む地層の方は難しい。
どうするかなー。少しだけでも採掘したみたいけど…。
まっすくな平原だと思って歩いていて、急に窪んだところに足を踏み入れたら転倒しそうだよな。見える凹みなら問題ないが、短いところで踝、長いところは膝下まで草が生い茂って地面を覆っているのだ。凸凹に気がつかないよ、普通なら。
石英の方は諦めるか。気にはなるけど…他にもいい採掘場所はあるかもしれない。
河に出ると、大河にふさわしく川幅も広いし、水深もある。流れは穏やかだが、荷物を積載した船が何艘も水面を滑るように進んでいく。下りは船頭が船尾に立っているが、河を上る船に船頭の姿は見えなかった。荷の影で休んでいるのかもしれない。
その代り、帆の近くに魔法使いがいた。風を送って船を進めているのかもしれないし、水棲の魔物から船を守るために周囲を警戒しているのかもしれない。このあたりは船に乗ってみれば分かるだろう。
「ヒロヤ―!」
名を呼ばれて、顔の向きを変える。すると向こうの方で手を振っている体格のいい少年が護衛クエストを一緒にしたカンゼルであることに気づいた。
「久しぶりー」
「カンゼルこそ、元気にしてた?」
「おう、俺は変わりない。…なかなかギルドでも会わないし、どうしているんだろうと思っていた」
「あー、俺はずっと森で採集中心だから。ここには初めて来たんだ」
「そうだったんだ。森はいいけど採集かー。あれ、めんどうなんだよなー。ちまちましてて」
対象によって採集方法も部位も違うし、保存方法も違う。俺には当然に思えるそれらが面倒だと感じている冒険者が多いのも確かだ。
「相変わらず一人か?」
「そういうカンゼルもひとりみたいじゃないか」
「まあな」
虹の花を手に入れたことはまだ一般の冒険者にまでは知られていないみたいだ。知っていたら、すげえ物を見つけたんだってな、くらい彼は言うだろう。
「なぁ、ひとりでもやれるが、二人だと楽できるんだよな。俺が前衛をするから、ヒロヤがとどめを刺してくれよ。割合は等分で、どうだ?」
「何のクエスト?」
「常設でいいだろ。ヒロヤが自信あるならバッファローでもいいぜ。よほどの大物でなかったら受け止めれる」
「すごいな、あれを受け止めるのか」
遠目に見ていただけだが、かなりデカい。あれが突進するのを受け止めるなんて…なんて馬鹿力だよ。さすが盾持ちをしている冒険者というところか。
「なぁ、ダメか? そろそろ、60のが欲しいんだよ」
60のマジックバックか。確かに、バッファロー狙いだと30は入らない。
「いつもどうしていたんだ? 30じゃ入らないだろ」
「そこはほら、もっと大きいのを持っている奴を誘うか、ひとりの時は諦めてた」
「あー、分かった。俺に声を掛けたのは荷物持ちだな」
護衛依頼の時には隠していたはずだけど…30ではなく60サイズだったとどこかのタイミングでバレていたようだ。
「いや、それだけじゃないぞ。ヒロヤとなら組みやすいし、信頼できるし…でも、ごめん。あてにして声を掛けた」
「いいよ。いいよ、わざと意地悪言っただけ。気にしてない。それより、どれだけ溜まっているんだ? 今回だけで60買えそうか?」
「いやー実はまだまだだ。半分越したぐらい」
まだ50万近く足りないのか。道のりは遠いな。
「バッファローっていくら? 一番稼げるのって何?」
「この辺で一番稼げるのはバッファローだろうな。1頭で銀貨5枚だ」
1頭5万ということは半分に分けたら2.5万か。2頭で5万の稼ぎになるからその10倍、20頭で50万。
あれ…楽勝のような気がしてきた。
いや、待て待て。カンゼル個人が50万稼ぐためには俺も一緒に50万稼がなくてはならないということで…結局は2人合計40頭狩らないと駄目か。
毎日4頭のノルマで10日。あれ? やっぱり楽勝のような気がして来た。
「なぁ、カンゼル」
「おう。やっぱり等分じゃダメか?」
「いや、そうじゃない。…俺の秘密を絶対に誰にも内緒にできると言うなら協力してやる。上手くいったら、10日…以内に目標達成だ」
マジか! という顔をした後、神妙な顔つきになった。
「なあ、その秘密って違法なことじゃないよな? おれ、将来は街の兵士になりたいんだ、おかしなことだけは死んでも勘弁だ」
へー。今は冒険者していても、将来は兵士になりたいのか、そういう目標を持っている人もいるんだな。
「違うって。俺の秘密っていうのは、これだよ」
マントの下に隠していた120のマジックバッグをみせる。
普段は採集用に普通のリュックか肩掛け鞄、そしてマジックポーチだけを腰にしているように見せかけている。
この町に来てから割とすぐ気づいたのだ。スリや嫌な目つきの冒険者の視線を追っていくとアクセサリーや腰のポーチにたどり着く、と。あからさまなほど分かりやすいから、誰だって警戒するよね。だから今の俺は手首のバングルや首から下げたネックレスなんかも見えないようにしている。身につけたまま一部のモノだけを隠しモードにできて助かった。いざというときのためにも身につけないという選択はできないから。
「これって…そのバッグが秘密?」
キョトンとしているカンゼルに、笑いそうになってしまった。
「これ、120のマジックバック」
ひゃっ! と叫んで、飛びのいた。カンゼルのリアクションに俺は笑ってしまった。
「お、おまっ…それ、それどうしたんだよ」
「そこ、気になるだろうけど、まとめて全部内緒な。でも、内緒にしてくれたらこれを使ってバッファローを4頭でもまとめて運んでやるよ」
カンゼルの視線が俺とマジックバッグの間を行ったり来たりした。
「マジで…4頭も入るのか?」
「入れてみたことないけど、そのぐらいはいるんじゃないかな。荷馬車サイズだから」
「荷馬車…」
ごくんと喉を鳴らしてから、首振り人形になった。
「誰にも言わない! 約束する! お願いだから、手伝ってくれ!」
「いいよ。ああ、でももうひとつお願いがあるんだ」
「な、なんだ?」
「俺の狩りの仕方でやりたい。いきなり戦闘に入るんじゃなく、コレを使わせて欲しい」
「それって、ピアッシュってやつ?」
不思議そうにしているので、分かりやすく説明する。
「俺は基本これで獲物の動きを止めることにしている。ソロだし、安全に狩りをしたいからコレで麻痺させたり眠らせたり、肉を食べないモノは毒を使ったり…」
「毒…」
「ソロでやっていこうと思ったら、何でもやるよ」
「いや、文句を言ったわけじゃない。それがヒロヤのやり方なんだって、思っただけだ。安全に狩りが出来るように工夫するのは、賢いやり方だ」
「ありがとう。それで、今回俺のやり方にさせてもらう理由は安全のためというのがひとつ。もう一つは…馬鹿正直にバッファローをまっ正面から受けるな! ってことだ。バカだろ」
ここは遠慮せず言わせてもらうぞ。
「そんなやり方をしていたら盾が壊れるのが早くなるぞ。マジックバッグ代を貯める前に盾が壊れたらどうするんだよ!」
あっなるほど! なんて顔をするな。バカだろ。バカだな。
「わ、分かった。ヒロヤの言う通りだ。そろそろメンテにも持っていかなきゃと思っていたし…うん、やめる。頼むから、バカでも見捨てないでくれ」
セルビナさんがススメてきただけあって、性格は悪くないんだよな。
「じゃあ、作戦開始だ。バッファローが群れでいて、他の冒険者たちのいないところを狩場にしよう。どこに行けばいいか分かるか?」
マップさんに探してもらえば解決するのだが、この辺りのことは彼の方が良く知っている…と見せかけなければ不自然だ。俺はここには初めて来たと言ってしまったし。
「群れで? あ、眠らせるのか? そしたら、俺の出番が…」
半分の報酬がもらえないと、悲しそうな顔をする。
「大人しく眠ってくれるまで待つなら出番はないかもな。だけど、それまで待っていたら群れの中に囲まれてしまう可能性もある。使うなら動きを鈍くする痺れ薬の方だな」
俺の出番はある? と嬉しそうに顔をする。
「値段がいいのはオスか? メスか? 子供か?」
「あー。子供の方が肉が柔らかくて人気がある。でも、量が取れるのはオスだ。メスは全滅しないように気をつけろと先輩から聞いたことがある」
「なるほど。じゃあ群れの中から子供とオスを狙う。でも子供の様子がおかしくなったらオスもメスも騒ぎになる。俺は逃げ回りながら隙を見てとどめを刺して回収する。カンゼルも突進を避けつつ、俺の動きをサポートしてくれ。カンゼルの働き次第で狩りの時間が短く、安全になる」
「分かった」
「痺れ効果のピアッシュは4本。普通の奴を投げて刺しても大した効果はない。皮が厚くてかたいからな。ヘタすりゃちょっかいをかけられた、と興奮する可能性もある。なので今回は普通のは使わない」
うんうんとカンゼルが頷きながら俺の話を聞いている。
「俺が痺れのピアッシュを4本投げたらカンゼルはバッファローの動きをよく見て、ターゲットだけでなく群れ全体も警戒しながら牽制して欲しい」
「分かった。動きが鈍くなるだけでも助かる。ヤレる隙があれば、俺もとどめを刺す」
「よし、まずはやってみよう。上手くいけば10日でマジックバッグだ」
「…10日も組んでくれるのか?」
「あーそうか。どうしようかな」
「そこは、任せとけ! と言ってくれるところだろう?」
「あはは。出来ない約束はしないってことで…」
「冷たいぞ!」
「おーい、そんなことを言ってもいいのか?」
「嘘嘘、嘘です。助けてください、マジ救世主」
マジックバッグを見ながら救世主と言うカンゼルに笑ってしまう。
「いつも群れからはぐれたやつとか、少ないのを狙うから…少し離れたところだけど、いい場所がある」
マップでも確認していた群れのいる方へカンゼルが誘導する。
「バッファロー自体持ち帰ったことがないから、4頭入ると予想したけど…もし入らなかったら解体な」
「4頭が楽に入ったら?」
「あー。子供だけなら追加で1頭試してみてもいい」
「よし、最大5頭だな」
おいおい。すっかり目が変わっているぞ。
移動しながら、こっそり120のマジックバッグの中身を全てアイテムボックスに移動させ、空にした状態でバッファロー狩りをして入れてみた。
その結果…
「信じられない…」
「なにが?」
「こんなに楽にバッファローを、しかも早く仕留めることが出来たことにも驚きだが、それに6頭も入ったのが驚きだ」
「4頭は子供だからな」
「けど、2頭のオスはデカかったぞ」
「確かに、大きかった。良くあんなデカいやつの前に出られるな、と感心した」
次々に子供の様子がおかしくなり、警戒しているところに自分も麻痺を食らって…効果が出る前にオスがすごい勢いで突進してきたことでヒヤリとした。
カンゼルが間に入って勢いを殺してくれたおかげで隙が出来た。すぐに死角から踏み込んで首筋を切ったため、2頭目のオスにも対応できた。
二人ともケガなく済んだし、無事に討伐も出来たし…今日の狩りは大成功だ。
「カンゼル、帰るぞ。ギルドが込み合う前に解体を依頼しよう」
「ああ、帰ろう」
帰り道、赤シソを見つけて採取し始めた俺にカンゼルは溜息をついたが、ほんの5分くらいだ。待ってもらった。
「あ、ここにも…」
「ヒロヤー」
「あ、これだけ」
「ただの草じゃないか」
「違うって。すぐに終わらす」
「ヒロヤ―」
ハイハイ。仕方なく、採集を切り上げて一路ギルドへ。
「あ、ここにも…」
「ヒロヤー草じゃ腹は膨らまないぞ!」
膨らまなくても、美味くなるんだよ。食べさせてやったら評価は変わるだろうが…ま、いいか。
「ヒロヤ―」
ハイハイ。今度こそ採集を切り上げて、カンゼルの背を追うようにギルドへ向かった。
ギルドのホールに入って、いつものようにセルビナさんを探す。
「ヒロヤ、行かないのか?」
空いている窓口を指さされるが、俺は首を振った。
「セルビナさんじゃないと…。専属だから」
「専属っ」
驚いているところをみると、カンゼルには専属がいなかったのかな。
「他とは違うと思ってたけど…さすがだな」
「カンゼル、セルビナさんだとダメなのか?」
「まさか、逆だよ逆。何人も担当している冒険者がいるから、なかなか空いてる時がないんだよ」
へーそうだったろうか? 先客がいることもあったが、多くても3人ほど待てば自分の番になっていた。他の窓口で順番待ちをしても似たり寄ったりな気がしたけど…
5分ほど待って順番が来た。
「お帰りなさい、ヒロヤ君。今日はカンゼル君と一緒だったの?」
「はい。一人だと狩るつもりもないモノ持ってきましたので、ミンダオさんにこっそりお願いできませんか?」
小声でお願いすると、セルビナさんはにんまり笑った。にっこりではなく、にんまりだ。
離席の札を出し、ホールへ出てくる。セルビナさんを先頭に俺とカンゼルは解体場へ回った。
「ミンダオさん!」
セルビナさんの声に、解体中だったミンダオさんが手を止めて振り返った。
「また、お願いできますか?」
セルビナさんに続いて俺の顔を見たミンダオさんが、おっという顔をした。
「すぐに終わる。少し待て」
切りのいいところまでやって後を別の職員に任せたらしく、ミンダオさんが手を拭き拭きやってきた。
「大物か?」
ニヤニヤと俺を見ながら言う。
「残念ながら、数だけですね。彼の手伝いです」
「へー。ミンダオだ。時々見る顔だな」
「カンゼルです。よろしくお願いします」
「分かった、隣へ行こう」
場所を移して、台の上にバッファローの子供を出す。
「なんだ、バッファローの子供か」
並べるのが4頭になったところで「おいおい…」と呆れたような声を出し、追加で大きなオスを1頭出したところで「すみません、乗りません」ということになった。
「ってことは、まだあるのか?」
「あと1頭だけです。オスが1頭」
はぁっと溜息をついて、ミンダオさんは棚からマジックバックを持ってきて、先に子供だけをしまった。
「ほれ」
出していいぞの合図に、最後の大物を出す。
「ヒロヤ君、これ…」
はい、レアですね。普通の野生動物もレア進化するんだと初めて知りました。
「角が綺麗だったので、狙ってみました。…でも今回は俺と彼で2分割にしますので先に売却ですね」
「先に、ということは今回のお肉は?」
セルビナさん、何かを期待してやしませんか? お裾分け…いつもするとは限りませんよ。
「コレの半分と子供を1頭分、肉を買い取りで。角も欲しいのですが…」
被せるようにミンダオさんが言った。
「こいつは売っておけ。オークションにちょうどいい」
「ああ、そうなりますか」
通常だと黒っぽい灰色なのだが、この角は漆黒。それも少し磨いただけで艶が出そうな漆黒だった。装飾品として人気が出そうだ。
「肉も売っておけ」
「嫌ですよ。高値がつくということは美味しいんでしょ? 群れの中でコレ1頭だけだったんですよ」
「お前は…」
「角は諦めます。でも、お肉は半分俺のものです。…明日引き取りに来ますから」
「…分かった。明日までに用意しておく」
「よろしくお願いします」
オロオロした様子で俺とミンダオささんたちのやり取りを見ていたカンゼルは一言も発しないまま、俺たちの最後尾について解体場を後にした。
「では、今回の査定表を用意するわね」
「お願いします」
しばらく待って戻ってきた用紙を受け取り、カンゼルにも見せる。
「え…」
彼が驚いたのは、金額が解体費以外ひとつも書いてなかったからだろう。
「今日のところはそれにサインだけお願いね、カンゼル君も連名でね」
「…えっと、はい」
ふたり分の名前を書いた査定用紙を返却して、今日は終わりだ。買取金額が出るのは明日。従って、報酬の受け取りも明日になる。
「明日も二人で行くの?」
「そうですね」
「ペアを組んだわけじゃないのよね?」
「今のところお手伝いですね」
「そう…。ソロでは出来ない経験を積むのにいいわね」
俺は隣にいるカンゼルに聞いてみた。
「明日はどうする?」
「もちろん、明日も一緒に行って欲しい」
「それは分かってる。今日の報酬の受け取りは、明日の分の持ち込みが終わった後でいいか? それとも先に受け取りに来るか?」
「時間がもったいない。仕事終わりに寄ったときでいい」
「じゃあ、何時にどこで待ち合わせる?」
「えーと、俺が決めていいのか?」
「合わせる」
「…じゃあ、朝8時に東門前で」
「分かった。…俺はちょっと相談事があるから、ここで解散な」
チラッとセルビナさんを見てから、カンゼルは頷いた。
「じゃあな、ヒロヤ。また明日、頼む」
「ああ、またなカンゼル。また明日」




