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異世界に来たら召 喚スキルがありました  作者: ふぅみ


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第6話

噛まれたショックかと思ったが、もしかしたら毒蛇だったのかもしれない。


 どんどん、体調が悪くなっていく。息苦しくて、手や足に痺れが出てきた。


 マズい、まずい! まずい!


 何かないか…なにか…解毒できるようなもの。何か……ヤバい


 必死にアイテムボックスの中を探すと一枚だけ解毒草があった。


 本格的にヤバい…。身体がふらついて、立っていられなくなってきた。

ステルステントを出して、中に逃げこむ余裕すらない。


 倒れそうになりながら、片膝片手を地面について身体を支える。

アイテムボックスの中から取り出した解毒草をそのまま食べた。噛んでいるうちに顎が動きにくくなってきて、必死に飲み込む。本格的にやばい。手足の痺れが喉まで回ったようになってきて…ますます息がしにくい。



 死ぬ。


 死んでしまう。全身に毒が回ってきている。ヤバい、ヤバい!


 すぐそこに死が近づいてきていた。目の前がかすむ。寒い…寒くなってきた…


 誰か…誰か助けて…こんなところで、死ぬのは…嫌だ。


 解毒草の効果があったのかなかったのか分からなかった。

 息苦しさがほんの少しだけ和らいだ気もするが死ぬまでの時間稼ぎができただけで、このままでは身動きもできずに倒れるか、魔物に殺される運命しか見えない。


 ………いやだ…母さん…父さん…だれか…誰でもいい! だれか…タスケテ………


 必死に助けを求めている俺にいきなり閃きが下りてきた。


 あっ、世界樹の葉がある! これなら!


 鑑定のスキルがないから、これで正解なのか、効果があるのか分からない。だけど、これでダメなら…もう…助からない。俺は死ぬしかない…。


 急いでアイテムボックスの中から世界樹の葉を一枚取り出して、食べる。噛むのにも大変で舌を噛みそうになる。


 丸のみに近い状態で必死に飲み込む。ちいさな葉一枚ではダメかもしれないともう一枚追加して、先ほどよりもしっかり咀嚼してエキスが身体に取り込まれるようにした。


 さらにもう一枚食べたほうがいいだろうかと思ったところで、呼吸が楽になってきた。冷や汗で震えていた身体が急にぽかぽかしてきた。いや、かあっと熱くなってきた。


「なんだ? 副作用か?」


 頭がガンガン痛み始めた。心臓が全力疾走している時のように早鐘を打ち、身体の中から熱い塊が押し寄せてきた。

 熱い、熱い塊がせり上がってきて、ぶわっと何かが広がっていく。意識が膨張するというか…希薄になっていく感じがして怖くなった。


 俺は、どうなるんだ? 毒でおかしくなったのか?


 不安に押しつぶされそうになって荒い息を繰り返していたが…どのぐらい経ったのだろうか、ふっと突然落ち着いた。


「…ん? 身体が、軽い?」


 先ほどまでの不調が嘘のように消えた。


「あ…なにか来る!」


 慌てた。少し大きめの赤マークが五つ、それぞれ離れた場所からこちら目指して移動を始めていた。


 急いでこの場を離れないと…。あれ?


 もしかして、地図アプリがレベルupしてないか? 探知範囲が5キロから10キロになっている。


 てことは…召喚スキルもレベル3になったということか? レベルアップした恩恵なのか体力も気力も万全になっていた。


 スキルが気になりつつも確かめる余裕なんてない。急いでその場から逃げた。


 少し前までの死にかけだった身体がまともに動く。不思議だが、軽いぐらいに動く。


「あれだ」

 地図スキルでみつけた太い木に無事辿り着いて、枝に飛び移る。シェルターに逃げ込みたいが、利用可能な残り時間は少ない。このまま木の上で様子見だ。


「来たっ」

 またサーベルタイガーが現れた。木の上で様子を伺っていると別の方角からは二本角のヒョウも姿を見せ、特大サイズの狼…二本角のダイアウルフまで集合した。それぞれが睨みあっているところに、最後の大物が登場した。


 うわっ、あいつだ……。

 二本角の恐竜。あいつが姿を見せると、牽制しあっていたサーベルタイガーもヒョウもダイアウルフも瞬時に逃げ出した。のそりと周囲を見回した恐竜が狙いをつけたのは、サーベルタイガーだった。三種類の魔物の中で一番足が遅く、追いやすかったのだろう。


 俺は息をひそめ、木の上にぴたりと身を隠し…眼下の恐ろしい攻防を見つめた。5分ほどで静かになり赤マークがそれぞれ別の方向へ消えていくのを確認して、ようやくほっと息をついた。


「さて、と…」


カードで自分の状態を確認してみる。


 魔力量101/101


 やはり世界樹の葉の効果だったのか、魔力量が激増していた。


 スキル 【召喚レベル3】 という表示を確認して、思わず喜びの声を上げてしまう。


「やった!」


 レベルが3ということは、追加でスキル召喚が行えるということだ。

 なににしようか。やはり、さっきの恐怖が忘れられないから、解毒スキルが欲しい。解毒草はもう残っていないから、早めに探してスキルに変換しておきたい。

 

 アイテムボックスの中は自動的に分類され、勝手にフォルダとインデックス付きで管理されていた。植物フォルダを開くと薬草や果物や木などがきちんと整理されて思い浮かぶので、薬草を開いてみた。


 …お。活力草があった。これで変換できるスキルはなんだろう。

 活力、活力…元気、はつらつ。いやいやいや…なんか違う方向に行きそうになったぞ。


 元気は元気でも体力とか魔力とかそういうのが回復できるスキルにならないかな。

「あ、なんかできそう」


 体力と魔力を同時に回復するスキルに【換】!


 手にしていた活力草が消えた。成功だ、と思う。

 ドキドキしながらステータスカードを確認すると…新しくスキルが増えていた。


【回復スキル レベル3】の文字の上をなぞると説明文が走っていく。


 《体力と魔力が同時に回復するスキル。

 スキル発動時に2消費するが、それぞれ12増える。一日3回の使用制限あり。》


 ってことは、一度使えば10増えるということか。少ないようでも、今の俺の総魔力が101だから、10分の一の回復量と考えると悪くない。一日3回という使用制限はレベルが3だから…かなぁ。

 次にレベルアップして4になったときに使用制限が一日4回になっていたら、そういうことだ。


 解毒スキルも急いで欲しいが手持ちに解毒草はないし、確実に探すためにも鑑定スキルが欲しい。アイテムボックスの中に入れることで名前はわかるが、もっと詳しい情報が欲しい。


 鑑定スキルを得るには…まずは鑑定アイテムがないとダメだな。


 この世界でもっとも高性能な鑑定アイテムが欲しい! 【召】!


 ボトン、と大きな水晶玉が現れた。

 いやいやいやいや。これ、大きすぎるでしょ。こんなもの、持ち歩く人いるの? いや、いないよね。置いたまま使うんだよね。

「と、いうことでこれをスキルに変換しちゃいますか」


 超便利で高性能な鑑定スキルに変えてください!【換】!


 無事に巨大水晶が消えた。いそいそとステータスカードで確認してみる。

 ギフト欄に【全鑑定】の文字が……ん?


「え…ギフトが増えた。スキルをお願いしたはずだけど……ま、いっか」


 ギフトっていくつまでもらえるんだろう?


※ギフトの恩恵を得る者は一万人に一人の確率で、二つ得る者は十万人にひとり。三つ得る者は百万人に一人、四つ以上となると千万人に一人いるかいないかでしょう。


 ギフト【世界基本知識】さんが俺の疑問に答えてくれた。


 特別? やっぱ俺って特別ってことなんだよね。

 ありがとうございます。素直に感謝しておこう。誰に対してかは分からないけど…。


「あれ?」


 回復スキルに鑑定の水晶、そして全鑑定のスキルに変換と…いま俺、3つ目の召喚を終えたけど、まだ出来そうな気がする。


 召喚レベル1がひとつ、あるいは1回。

 レベル2は2つ、あるいは2回。

 だからレベル3になったら3つ、あるいは3回召喚が行えるのだろうと予測していた。だが実際には…


「まさか、倍の法則だったとは……」


 レベル3になり、レベル2の時の倍、つまり一度に4つ、あるいは4回召喚が使えるらしい。

 今日すでに時計スキルとステルステントで2回行った上に、さらに4つ…。そう、今日は一日で合計6つ、あるいは6回の召喚が出来るということだ。


 死にかけた災いが転じて福となったみたいだ。いや、これは貴重な葉をプレゼントしてくれた世界樹さんに感謝だな。あの葉がなければ、俺は死んでいてたと思う。


 解毒草の効果は薄かった。あれで少しばかり楽になっていたかもしれないが、この危険な森の中を逃げ回るほどの回復は見込めなかった。


「世界樹さん、ありがとうございました。あなたのおかげで生き延びることができました」


 両手を合わせ、拝むように感謝の気持ちを…祈りを捧げた。


「さぁて、桃を収穫にいこ」


 毒蛇に噛まれた場所まで戻るのは嫌だが、桃の魅力には抗えない。生き延びるためにも食料の確保は重要だ。うん。食い意地が張っているわけじゃないぞ。うん。


 恐竜他の脅威から無我夢中で逃げ、ここまで来た。スキルがなければ同じ場所に戻るのは大変だったかもしれないが…地図スキルの案内がある俺には簡単だった。周囲の警戒もしつつ無事に桃の木までたどり着いた俺は、せっせせっせと収穫を始めたのだった。


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