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異世界に来たら召 喚スキルがありました  作者: ふぅみ


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第4話

この世界へ来てから3度目の召喚スキルで、地図スキルを手に入れた。多分、携帯の地図アプリが変換されたのだと思う。

 これで、森の中を探索しても迷わずに済む。


 世界樹の木の根元で柔軟体操をする他は、ギフト【世界基本知識】と会話形式で知識を学習しているか、ボーっとして過ごしている。このまま世界樹の聖域にいれば安心だし、安全だ。ずっとここにいたいと思うけど…こんな生活、いつまで続けてもいいんだろうか? という迷いもあった。


 4度目の召喚スキルでサバイバルナイフを手に入れた。狩りや解体、料理や薪割り、なんでも使えるサバイバルナイフはこれから必要になるアイテムだ。草木の茂る森の中を歩きやすくするのにも役立つ。


 鞘付きでと願わなかっのは失敗だったかもしれないが、ナイフを腰に吊り下げるベルトがなかったのだから、使わないときはアイテムボックスに収納すればいいだけだった。


 「…あれ?」


 投げ出して座っていた膝の上に、世界樹の葉っぱがひらりと落ちてきた。

 これまでどんなに探しても、樹の下に落ちていなかった葉っぱだ。

 「これ、くれるの?」


 はらりはらりと追加の葉っぱが落ちてきた。合計6枚。


 「…これ、もしかしてお土産? そろそろ出ていきなさいってこと?」


 その通り、というように…今度はポトリと小枝が落ちてきた。この小枝には葉っぱはついてなかった。


 「………そっか…うん、そうするよ。ありがとう」


 ここを離れるのは不安もあるし怖いが、いつまでもここにいられないのもなんとなく分かってた。

 初日20からスタートした魔力量が世界樹の木の上で目覚めた後、27に増えていた。それから2日目には52、3日目には75になっていた。特に何もしていないのに。


 魔力量が増える条件のひとつ、魔力溜まりに身を浸す…これに該当するらしい。世界樹さんのもとにずっといると、人間やめますかレベルに上昇してしまうかもしれない。いや、下手すると死んでしまうかも? 急激な魔力増加は危険だと教えてもらったし。


 「でも、明日まで待ってね。…今からだとすぐに暗くなるから、明るくなってから出ていくよ」


 そうしなさい、というように木漏れ日が俺の顔の上を撫でていく。


 明日出ていくのなら、望むものはもう決めてある。水生成機能付きの水筒だ。読んだことのあるライトノベルズに冒険者御用達の便利グッズがあったのを思い出した。運が良ければ、手に入るだろう。


 なかったときは…頑張って川を探すことにして、野営コンロでも取り寄せようか。あ、鍋がないから水の煮沸もできないのか。うーん…一日ひとつしか手に入れられないから悩むなぁ。先に結界付きの野営テントってリクエストしてみようか。

 第二、第三案までよく考えておこう。


 世界樹さんにもらった、お土産の葉っぱと小枝をアイテムボックスに収納した。


 「出ていく前に…話をしようか。向こうの世界の話。俺の家族の話をきいてくれるかな」


 何から話そうと考えて、生まれてからの十六年を順に振り返ることにした。話しているうちに時々涙が出てつらかったけれど、心の準備をする役にも立ったと思う。


 一晩寝て、朝になるとすっきりした。心なしか身体も軽く、ぐっすり寝たおかげで気力にも満ちていた。魔力量は47まで上がっていた。ちなみに、51まで上がれば召喚スキルもレベル2になってくれる…らしい。ギフト【世界基本知識】さんが魔力量とレベルの関係について教えてくれた。


 もう少しだ。もう少しで召喚できる回数が一日2つ、あるいは2回になる。

そうすれば、さらに生き残れる確率が上がるはず。


 ちなみに冒険者ランクで魔力値50は紫鉄1相当らしい。もっとも俺の場合は討伐どころか雑用の経験すらないから、冒険者登録したとしても一番下の赤銅1からのスタートになる。

 身分証を得るという意味で、いづれ冒険者ギルドに登録しないといけないだろう。


 「それじゃあ…行くね」


 世界樹を目に焼き付けておこうと、下からじっくり眺めた。

 ざわざわと…これまでで一番枝葉がにぎやかにさざめいた。別れを惜しんでくれているような気がして、嬉しかった。


 「ありがとうございました。行ってきます」


 かっこよく挨拶してから気が付いた。


 「あ!」


 目指す転移門はどっちの方角にあるんだろう?


 そう思ったのが分かったかのように、頭の中に浮かんだ地図に矢印マークが出現した。地図スキルさん、ナイスアシスト。


 「良かった…」

 これで安心して歩ける。迷子になった挙句、ここに戻ってきたらちょっと恥ずかしいから。


 地図にマークが付けられるのなら、ここにも印をつけておこう。

 世界樹と印したピンを立てておく。いつかもう一度ここへ来ることができるかどうかは分からないけど…印があるだけで、なんだか繋がってる感じがして嬉しい。


 世界樹の枝が伸びた陰から出る寸前、足が止まった。ここからは、ひとりだ。


 振り返り、ゆっくりと頭を下げる。


 四泊五日、お世話になりました。ありがとうございました。

 頑張ってこの世界で生き延びてみます。


 「…………」

 転移門を目指し、出発してから十分ほど歩いたところでふっと空気が変わった。匂いが変わった。温度が上がった。周囲の音が増えた。鳥が急に飛び立ち、葉の陰で虫が鳴きはじめた。


 世界樹の結界を抜けたということだろう。こんなに森の中は賑やかだったろうかと思うほど騒がしい。


 「あ…」

  甘い匂いがした。果物が近くにあるのかもしれない。


  地図スキルで果物のありかを検索してみる。


 「一か所じゃないんだ」

  森が豊かだということなのか、果物の木を示す青色マークが複数あった。


 近いところから順に回っていく。

 目的地は決まっているが、到着日は決めていない。収穫できる実はたとえ未熟っぽい緑色をしていても収穫しておくことにする。


 「マンゴー…」


 収穫したばかりの実をアイテムボックスに入れると名前が分かる。実際にはマンゴーではないのだろうが、通訳によるとマンゴーとなる。おそらく、似た果物なのだろう。

 匂いにつられて、ひとつ食べてみた。


 「うん、マンゴーっぽい」


 甘い匂いのする木のそばにずっといるのは良くないだろうと移動する。木の実を食べるのは人間だけではない。獣も寄ってくる気がする。


 手ごろな木の上に登り、収穫したばかりのマンゴーをおなか一杯になるまで食べた。

 世界樹さんのところを出てから、空腹や喉の渇きを感じるようになっていた。


 近くに川がないかな?


 地図に川を示すマークは現れなかった。俺の地図スキルはレベル1。自分を中心にして一キロ四方しか表示されない。使うことでもレベルが上がりやすくなるらしいから、移動しながらガンガン使っていこう。


 転移門の方角へ修正しつつ移動。途中でみつけた果物は全部収穫する。大切な食料となるわけだから、時間がかかってでも収穫していく。


 「あれ?」


 いきなり森の植生が変わった。


 「なんで、竹?」


 異世界で竹を見るなんて思わなかった。


 「不思議な感じ」


 いきなり日本に戻ったみたいだ。だが、振り返ると今まで歩いてきた森がちゃんとある。


 「竹林ってことは…タケノコがあるかも?」


 現状では料理できないが、丸焼きしたものにしょうゆをかけるだけでも美味しい。出来ることなら手に入れておきたい。


 足元は落ち葉でふかふかしている。おいしいタケノコが期待できそうだ。


 「掘るものがないから、ナイフでどうにかするしかないな」


 しばらくすると、頭を出したばかりのタケノコを見つけた。試行錯誤で十分近くかかったが、無事に収穫完了。他にもないかな、と足元をじっくり見ながら歩いていると、突然ガサガサと落ち葉を蹴る音がした。

 へ? と顔を上げると何かの獣が二匹、俺めがけて走ってくる。


 びっくりして、思わず反対方向へ逃げた。


 早っ!


 獣の走る速度も早くて驚いたが、自分が走る速さも負けてなかった。身体が軽い。

 前方に狭い間隔で並ぶように生えた竹に向かって飛びついてみると、二メートル以上はジャンプしていた。


 なんだ、これ!


 運動機能がびっくりするほど上がっている。


 竹の間に手足を広げて、二メートル半ほどの位置でキープ。駆け寄ってきた二匹の獣は唸り声をあげながらものすごい勢いで飛びかかってきたが届かなかった。


 怖すぎる。うーうー唸りながら、何度もジャンプして俺の足に噛みつこうとする。


 「小型の狼…いや、ジャッカルに似ているのか」

 俺に向かって何度飛びかかってきても届かないことが分かり、じっくり観察する余裕が生まれた。

 額に一本、頭頂に二本、数センチほどの小さな角が合計三本生えている。それ以外は動物園で見たことのあるジャッカルにとてもよく似ていた。


 そのジャッカルもどきは俺が下に降りるのを待つ作戦に決めたのか、ウロウロと歩き回りながらこちらを見上げて威嚇している。


 一頭ずつ倒してみるか。

 アイテムボックスの中に収納してある石をジャッカルの頭の上から落とす。びっくりした鳴き声を上げて一頭はその場に倒れたが、もう一頭はよろめきながらも立っていた。


 まだナイフで襲う決心がつかず、もう一度…今度は二個同時に石を落としてみる。


 ドサッともう一頭も倒れた。


 【収納!】


 睨むようにジャッカルを見ながら念じると二匹とも、アイテムボックスに収納出来た。


 「…よかった。うまくいって」


 地面に降りると、足が震えた。初めての狩りは偶然うまくいったが、逃げきれずに襲われていればケガをしていたかもしれない。


 「やっぱり、ジャッカルか…」


 正式名は違うみたいだが、三角ジャッカルと日本語に翻訳すると出る。


 「他にも危険な獣や魔物がいたら地図に表示。赤マークで」


 地図スキルで検索してみると他にもいた。手に入れていてホント良かった、この地図スキル。


 「うわ…こっちに来そうな感じ」


 まだ離れているから向こうには気づかれていないだろうけど、これでは落ち着いてタケノコ堀りが出来ない。

 急いで武器になる石を元通り収納し、赤マークから逃げるように離れることにした。


 タケノコはあきらめるとしても、竹はぜひとも手に入れておきたい。削れば箸にできるし、節のところを利用した器もできる。食器がないのはこの先困る。

 

 「たーけー落ちてないかなー」

 切り倒せば音がして、先程のような獣を呼び寄せるかもしれない。運よく倒れた竹がないかと探し回って、ちょうどよく四本の竹を収納することができた。


 「まてよ…これって……」

 なにか大きな獣が倒したような折れ方をしていることに気が付き、ぞっとした。


 「ヤバっ!」

 その正体となるのか分からないが、竹がバキバキと折れる音が遠くから聞こえてきた。嫌な予感がする。

 地図スキルの範囲外から危険なものが近づいているのは間違いない。


 先ほどと同じ手を試すのは危険だという気がした。一目散に引き返す方角へと走ると、こちらの逃げ足のほうが早かったらしく、無事竹林を抜けることができた。


 しばらくすると大きな木を発見した。登りついて、念のため十メートルぐらい上まで登る。小さい赤マークが大きな赤マークに追いかけられている。


 枝に張り付くようにして下の様子をうかがっていると、慌てたように走る数匹のジャッカルに続き…それがぬっと姿を現した。心臓が止まるかと思った。


 映画でしか見たことがないもの。骨しか残っていないハズのものが生きて、獲物を捕食しようとしていた。


 …まんま……恐竜じゃん。


 二足歩行する巨大なトカゲ…というより、やはり恐竜のように見える。頭には特徴のある二本角。肉食と分かる鋭くとがった牙が大きくあいた口の中にびっしりと生えている。


 息を殺して様子をうかがっていると、その恐竜は一匹のジャッカルに食らいつき、数度噛んだ後に呑み込んだ。それから再び、逃げたジャッカルを追いかけていった。


 竹林では落ち葉がガサガサ音を立てていたが、奴は森の中では驚くほど静かに移動している。

 五メートルはあろうかという巨体にもかかわらず。


 ズシンズシンとかズゥンズゥンとか地面が振動する音もなければ衝撃もない。竹林で遭遇したのでなければ、あんなのが近づいてきているのにも気が付かなかったかもしれない。


 今の俺には地図スキルがあるから、一キロ以内にあれがいたら気が付いただろうけど…高い木があったから助かったけど、身を隠す場所がなければ俺も襲われていたかもしれない。


 「この世界、ヤバすぎる」


 戦争をしているどころじゃないのがよく分かる。いくら魔法がある世界だといっても、人間同士が協力し合っていかなければ、恐竜の前ではただの餌になり下がる。


 地面に降りる気にならずしばらく木の上で休憩していると、なんとなく召喚出来そうな気がした。早速試してみよう。


 えーと、自動で水を作り出してくれる便利な魔法の水筒が欲しい!【召】!


 「やった!」


 元の世界によく似た水筒が現れた。パッと見ためで違うのは、蓋の上に魔石らしき色石がついているということ。本体のカラーが茶色と地味なことだろうか。


 「良かったー」

 ダメもとだったが、この世界にも水自動生成水筒があったらしい。そりゃそうか。アイテムボックスなんて便利なものがある世界だから、他にも超便利な魔道具が普及していてもおかしくはない。


 水色の石に【水出ろ!】と思いながら片手で触れてみると、手の中の水筒が少し重くなった気がする。期待を胸に蓋を開けると、ちゃんと水が入っていた。

 これで飲み水には困らなくなった。めちゃくちゃ嬉しい。

 ちまちまと飲んでいたお茶のペットボトルはもう飲み切ってしまってもいい。ホッとした。


 どのぐらいの時間で水が増えるのか確認したくて、先にお茶を全部飲んでペットボトルの中を空にした。

 「あ、魔力がどれだけ消費するのかも確認しておかなきゃ」


 ステータスカードを取り出してみると、現在の魔力量は49。


 水筒の水をペットボトルに移し替え、空っぽの水筒の蓋をして、魔石に魔力を込める。

 「お?」

 やはり、手の中の水筒の重みが増えた。


 「すごい…」

 蓋を開け閉めした時間はわずか五秒ほど。たったそれだけで水筒の中には水が入っていた。

 水筒の容量はペットボトルの三分の二程度だから…だいたい400ミリリットルほど。飲み水としては十分な量だ。

 ステータスカードで確認したが減った魔力はわずか1だ。


 「たったの1で飲み水に困らないだなんて…便利すぎる」

 魔力は寝ることでも回復するが、ある程度の時間が経過することでも自然回復するらしい。

 ギフト【世界基本知識】さんが教えてくれた。


 さて…どうしようかな。

 さっきの恐竜に出会うのは怖いが、竹林を抜けないと転移門へは辿り着けない。

 「すこし迂回してみるか」


 慎重に移動していると地図の端に川を発見した。飲み水には困らなくなったが、魚が獲れそうなら獲りたい。道具はサバイバルナイフしかないのだけれど…。


 周囲を警戒しつつ辿り着いた川は、予想していたよりも川幅が広かった。


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