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第6話 会員カードと補給庫

「……止まるな。声を出すな。息は浅く」


ナギの言葉が、乾いた瓦礫の谷間に吸い込まれていく。


第5話の終わりに叩き込まれた“NSD”という単語が、まだユウの喉に引っかかったままだった。

男が死ぬ。ネットが進むと死ぬ。だから男は管理される。外に出ない。出せない。


――だから“未実装の男”が外を歩いてるなんて、ありえない。


ありえない。

それが今の自分だ。


ユウは口を閉じ、歩幅を合わせた。声を出すと、いま自分の中でぐらついているものが崩れそうだった。

代わりに、足音だけが現実を刻む。砂とガラス片と、砕けたコンクリの粉。


薬局から少し離れたあたりで、街の骨格が変わった。

建物が低くなり、道が広がり、視界が開ける。遠くには倒れた高架。下には、誰もいない車の墓場。


「……水、残り少ない」


ミサが小さく言った。医療バッグを抱える腕が少し重そうだ。


レンが周囲を見回しながら答える。


「南へ行けば補給点がある……はずだった。最近は怪しい」


アキが舌打ちをする。


「怪しいって何。あるかないか、はっきりしてよ」


「はっきりできるなら苦労しないさ」


レンの声は平坦だ。平坦だから余計に怖い。


ユウは背中のリュックを意識した。中身は回復薬。価値があるかもしれないし、価値がないかもしれない。

でも少なくとも、それを持っている自分は“狙われる側”だ。


喉が渇く。

唾が出ない。

喉の奥が擦れるように痛む。


そのとき、フウが立ち止まり、指を立てた。


「……来る」


全員が止まる。


ユウも息を止めた。

風の音の向こうに、別の音が混ざる。


軽い爪の音。

コンクリを叩く、乾いた連打。


「犬……?」


ユウが心の中で呟いた瞬間、視界の端を影が横切った。


瓦礫の陰から、犬が出てきた。


犬――に見える。

でも、普通の犬じゃない。


体毛は薄く、皮膚が露出している。骨格が歪んでいて、肩の位置が高い。

目が、ガラスみたいに光る。

口は閉じているのに、歯の隙間から金属の光がちらついた。


そして背中。


盛り上がっている。

筋肉の盛り上がりではない。箱みたいに、四角い膨らみ。

縫い付けられた皮のような継ぎ目が見える。


(……補給庫?)


ユウの脳が勝手に言語化した。

背中に何かを詰めている。弾? 装置? 栄養剤?


犬が一匹だけじゃないことに気づいたのは、その次だった。


影が増える。

瓦礫の隙間から、二匹、三匹。

合計で五匹。


ナギが低く言った。


銃犬じゅうけんだ。目を合わせるな。走るな。まず、距離」


アキが歯を噛みしめる。


「……最悪。ここにいるって聞いてない」


レンが短く答える。


「だから“怪しい”って言った」


ユウは拳銃を握り直した。

引き金に指は置かない。置いたら、たぶん迷いが消えてしまう。

迷いが消えるのは楽だ。でも、消えたら戻れない。


犬たちは、こちらを見ている。


吠えない。

唸らない。

ただ、狙いを定めるみたいに、首を少しずつ傾ける。


その静けさが一番怖い。


一匹が前に出た。


口が開く。


ユウは、咄嗟に「噛みつく」と思った。

でも違う。


口の中が、妙に整っていた。

歯列の奥、舌の下あたりに、金属の筒が見えた。


次の瞬間――


パァンッ!


乾いた破裂音。

銃声に似ているのに、銃の形がない。


何かが、ユウの頬の横を掠めて飛んでいった。

壁に当たり、火花が散る。


「……撃った!?」


ユウの声が漏れた。しまった、と思う前に、ナギが怒鳴った。


「伏せろ!」


全員が一斉に身を低くする。


二発目。三発目。

犬が、口から“銃弾”を吐き出すみたいに撃ってくる。

弾はまっすぐ飛ぶ。狙いがある。偶然じゃない。


(背中の補給庫……弾を詰めてるのか)


ユウの脳が冷たく観察する。

あれは生き物じゃない。生き物の形をした兵器だ。

誰かが作った。誰かが放した。誰かが――今も増やしている?


ナギが指示を飛ばす。


「レン、右の瓦礫へ! フウ、ミサ守れ! アキ、左へ回り込め!」


動きが早い。五人は慣れている。

慣れていることが、余計に怖い。


ユウは遅れた。

遅れた瞬間、弾が足元の地面を弾いた。


砂が跳ねて、靴に当たる。


「っ……!」


ユウは反射で転がり、車の残骸の陰に滑り込んだ。

鉄板の裏で息を吐く。心臓が暴れる。耳鳴りがする。


(無理だ……護衛なし、十三歳一人じゃ無理だ)


頭の奥で、さっきから鳴っていた警鐘が、形になった。


今まで“生きてる”のは偶然だ。

ミオに出会えた偶然。薬局に入れた偶然。弾が残っていた偶然。

そして、ナギたちに遭遇できた偶然。


偶然を前提にしていたら、いつか必ず死ぬ。


ナギが銃を一発、撃った。

犬がひるむ。だが倒れない。


「硬い……!」


アキが叫ぶ。

鉄パイプで殴りかかろうとして、弾で近寄れない。


犬は撃つ。撃つ。撃つ。


ユウは、車の隙間から外を覗いた。

犬の動きが、妙に規則的だと気づく。


撃つ個体が交代する。

一匹が撃つ→少し下がる→別の一匹が前に出る。


(弾の装填……? 補給庫から口に送ってる? 冷却? 再装填の時間?)


もしそうなら、撃っている個体の“間”に隙がある。


「……ナギ!」


ユウは叫びそうになって、声を飲み込んだ。

代わりに、車の鉄板を拳で二回叩いた。


カン、カン。


ナギが一瞬だけこちらを見る。


ユウは、指で“交代”の動きを示す。

犬が前に出るタイミング、下がるタイミング。


ナギの目が細くなる。理解した顔。


「レン! 交代の瞬間に潰す!」


レンが頷く。

瓦礫の陰から石を投げた。

石は犬の顔の前で弾け、犬がほんの一瞬だけ動きを止める。


その瞬間、ナギの銃声。


犬の口元に弾が当たり、金属が砕けた。

犬が甲高い声を上げる――初めて生き物みたいな声だ。


そして、倒れた。


「いける!」


アキが左から飛び出し、鉄パイプで背中の膨らみを叩き割る。

中から、金属の粒――弾丸がこぼれた。


「やっぱり弾入ってる!」


犬が二匹目、口を開いて撃とうとする。

でも交代の瞬間が読める。


フウが投げナイフを投げた。

刃が犬の口に刺さる。撃てない。


ナギがとどめ。


犬は、全部で三匹倒れた。

残り二匹は、後ろへ下がり、瓦礫の向こうへ消えた。


追うべきか、追わないべきか。


ナギが即断した。


「追うな。あれは群れで誘う。戻るぞ」


全員が息を吐く。


ユウは立ち上がろうとして、膝が笑っていることに気づいた。

足が震える。遅れて恐怖が来る。


ミサがユウを見る。


「怪我は?」


ユウは首を振る。

頬が熱い。弾が掠めたのか、切れている。でも大したことはない。


「……平気」


平気じゃない。

でも平気と言うしかない。


アキが言う。


「観察してたのは偉いけど、音出すのはやめて。死ぬ」


ユウは頷いた。反論できない。


レンが、倒れた犬の背中を覗き込み、低く言った。


「……旧文明の残骸だな。生物兵器の類」


ユウの胸がざわつく。


「生物兵器……誰が、何のために?」


言ってから、ユウは自分が“口にした”ことに驚いた。

怖いとき、人は疑問を言う。疑問を言うと、少しだけ怖さが形になる。


ナギが短く答える。


「昔の企業。警備。境界。探索者の排除。……理由はいくらでもある」


理由はいくらでもある。

それが一番嫌だった。


世界は滅びたのに、理由だけは残っている。

人を殺す理由。閉じ込める理由。管理する理由。


そして、南へ進もうとしたときだった。


今度は、湿った匂いがした。


水の匂い。腐った水の匂い。


地面が少し低くなり、割れた配管が露出している場所。

そこに浅い水たまりができていて、藻が浮いている。


ナギが立ち止まった。


「……ここ、嫌だな」


レンが頷く。


「いる」


“いる”という言葉の重さが、さっきと違う。


水面が、揺れた。


最初は風だと思った。

でも、風じゃない。水面の中心だけが、波紋を作る。


次の瞬間、巨大な影が、水たまりの底から浮上した。


ワニ。


いや、ワニの形をした何か。


背中が盛り上がり、皮膚の間に細いノズルみたいな穴が並んでいる。

目は濁っているのに、こちらを正確に捉えている。

口が開き、歯が並ぶ。その奥に、淡い白い霧が溜まっているのが見えた。


「……鎮静ミスト」


ミサが呟く。


ユウはその単語だけで背筋が凍った。


眠らされたら終わる。

一秒で終わる。


ワニが体を震わせた。


次の瞬間、白い霧がぶわっと広がる。

吐くのではなく、背中の穴から噴き出すように広がる。

風に乗って、こちらへ流れてくる。


「息するな!」


ナギが叫ぶ。

全員が袖で口元を覆う。


ユウも真似するが、遅い。

鼻に甘い匂いが入った気がした。頭がふわっと軽くなる。


(やばい)


視界が揺れる。


フウがユウの腕を掴み、引っ張った。


「こっち!」


路地へ。高架の影へ。風上へ。


ミサが小瓶を取り出し、フウと自分の口元に塗る。

薬か、吸着剤か。よく分からないが、匂いが薄れる。


ユウは必死に走る。

でも足が重い。視界が遠い。

眠気が、布団みたいに覆いかぶさってくる。


ワニが追ってくる。

地面を這う音。湿った体がコンクリを擦る音。

そして、再び霧が広がる。


アキが鉄パイプを投げた。

ワニの頭に当たるが、効かない。

ナギが銃を撃つ。弾が皮膚に当たって弾かれる。


「硬すぎる!」


レンが叫ぶ。


「ノズルを潰せ! 背中だ!」


ユウの頭の中で、さっきの“交代”の観察が再生される。

装置があるなら、弱点がある。

弱点があるなら、そこを潰せばいい。


ワニの背中の穴。

ノズル。

そこを潰す。


でも近づけない。霧がある。眠る。


(無理だ……一人ならここで終わってる)


ユウは、自分が今“生きている”のはフウの腕が引っ張ってくれたからだと気づいた。

ナギが叫んだからだ。

ミサが薬を塗ったからだ。

レンが弱点を言ったからだ。

アキが時間を稼いだからだ。


一人じゃ無理だ。

護衛なし、十三歳一人じゃ無理だ。


ユウは、半分ぼやけた頭で、拳銃を構えた。

狙うのは背中の穴。


(当てろ)


引き金。


銃声。


弾は外れ、コンクリを削った。


二発目。

弾が背中のノズルの一つに当たり、火花が散った。

霧の噴出が一瞬止まる。


「いける!」


ユウの声が出た。まずい、と同時に思うが、今は構っていられない。


ナギが連射した。

ノズルが二つ潰れる。霧が弱まる。


その瞬間、アキが横から飛び込んだ。

鉄パイプをノズルの列に叩きつける。


金属が割れるような音。

霧が噴き出し――自分自身にかかる。


ワニが咳き込むように身をよじり、動きが鈍る。


「自分で吸ったな!」


レンが低く言う。


ワニの動きが止まった隙に、全員が距離を取る。

追わない。倒し切らない。生き延びる。


ナギが吐き捨てる。


「……最悪の設計。人間だけ殺すために作ってる」


ユウは息を整えながら、言葉を吐き出した。


「誰が、何のために……こんな化け物を作ったんだよ」


声が震えていた。怒りでも恐怖でもない。混ざっている。


答えが返ってくる前に――


ぱち、ぱち、と軽い拍手が聞こえた。


全員が一斉に身構える。


高架の影から、誰かが歩いて出てくる。


足音が軽い。

危機感がない。

でも、危険な匂いがする。


現れたのは、小柄な人影だった。


フード付きのコート。肩から大きなバッグ。背中にも荷物。

そして頭――猫耳。


布の帽子ではない。装飾でもない。

薄い毛が生えていて、風に揺れる。


ユウの思考が止まる。


(……どうなってるんだ。明らかに、生えてる)


猫耳の少女――としか言えない存在が、にこっと笑った。


「こんにちは。初めまして」


声は明るい。明るすぎる。

さっきまで命のやり取りをしていた世界に、急に別のチャンネルの音が混ざる。


少女の目がユウに向く。


「お姉さん、珍しい格好してますね」


ユウは、心臓が跳ねた。


お姉さん。


否定したい。

でも否定したら――男だとバレる。

“未実装の男が外を歩いてる”と知られたら、何が起きるか分からない。


NSDの世界で、男は資産。

資産は、奪われる。


ユウは口を閉じ、曖昧に笑った。

笑顔の作り方が分からなくて、変な顔になった。


猫耳の少女は気にしない。


「この辺、調達する場所ないでしょ? 水とか食料とか、どうですか? 売りますよ?」


旅商人。


ナギたちが少しだけ姿勢を緩めた。

でも完全には緩めない。銃口は下げない。


ナギが低く言う。


「……商人か。名は」


猫耳少女は胸の前で手を合わせる。


「ルカです。行商組合、仮登録。よろしくね」


仮登録。

その言葉が、ユウの中で引っかかった。未登録エリア、仮登録。登録がこの世界の骨だ。


ユウは喉の乾きが限界だった。

水が欲しい。食料も。

でも金がない。


ユウは、思い切って言った。


「金がない。……回復薬と交換はどうですか」


ルカが、ぱちぱちと瞬きをした。


「回復薬?」


次の瞬間、少し困った笑顔。


「うーん……安物なら、ありふれてるから難しいですね……」


当然だ。

回復薬は薬局に山ほどあった。ありふれてるなら価値は低い。


ユウは諦めかけて、でも諦められなくて続ける。


「一応、見せてもらっても……って言いましたよね。見せます。判断して」


ルカは少し首を傾げた。


「……じゃあ、一応」


ユウはリュックを下ろし、口を開けた。

中の瓶がぎっちぎちに並んでいる。


ミサが小さく息を呑む。

レンが「相変わらずだな」という目をする。

アキは呆れている。


ユウは一本、瓶を取り出した。


ルカに差し出す。


ルカは受け取った瞬間――顔が変わった。


ほんの一瞬だ。

笑顔の角度が崩れ、目の奥が“仕事”の色になる。


瓶のラベルを見た。

指先で、刻印をなぞった。

光にかざした。


そして、声が掠れた。


「……ウソ」


ユウの背中が冷える。


「なに」


ルカは、瓶を握りしめる。


「これ……旧文明製……」


その言い方が、さっきの“ルカ”じゃない。

軽い商人の声じゃない。もっと硬い。もっと怖い。


「ありえない……でも、これ……」


ルカの瞳がユウを見上げた。


「え? お姉さん、これどこで……」


ユウは一瞬だけ言葉を飲んだ。


薬局。

回復薬。

送信。

弊社。

危険。


でも水が欲しい。今、喉が渇いて死にそうだ。


ユウは、あえて軽く言った。


「……拾った」


ルカの表情が揺れた。

疑っている。

でも疑いながら、価値を見ている。


ユウは続けてしまう。


「え? 足りませんでしたか? このリュックの中に、もっとありますが」


その瞬間、ルカの反応がさらに変わった。


焦り。


恐れ。


そして、――食いつき。


「い、いえ!」


ルカは慌てて首を振る。


「一つで十分です! 十分すぎます!」


ユウは目を細めた。


(十分すぎる……? 一本で?)


ルカは急に、敬語の密度を上げた。


「水と食料、こちらのリュック一つ分でいいですね? あと……塩と乾パンと、携帯浄水材も付けます。ついでに電池と、簡易火起こし」


「……それで大丈夫です」


ユウが頷くと、ルカはほっとしたように笑った。

さっきまでの“怖さ”が、表面だけの笑顔に戻る。


ルカは背負っていた大きなバッグから、次々と物資を出した。

水のボトル。真空パック。乾パン。塩。小さなフィルター。電池。布。

それらを手際よく一つのリュックに詰めて差し出す。


「はい。これで」


ユウは受け取った。重い。ありがたい重さだ。


ルカは瓶を胸の内側にしまうような動作をして、最後に小さなカードを取り出した。


薄い。透明。縁が淡く光る。

会員カード――という言葉が、ユウの頭に浮かぶ。


ルカはそれをユウに差し出した。


「またお越しください」


「……これ、何」


ユウが聞くと、ルカはにこっと笑う。


「会員証です。次から取引が楽になる。場所も案内できます」


ナギが一歩前に出る。


「案内?」


ルカは肩をすくめる。


「市場は、初見だと辿り着けないことが多いから。……迷子になると、危ないでしょ?」


その言葉が、優しさに見えて、ぞくりとした。


無料ダウンロード。

初回限定。

会員証。

次から楽になる。


この世界の“便利”は、全部、首輪に似ている。


ユウはカードを受け取った。

指先が一瞬だけ熱くなる。静電気みたいに。


カードの裏に、小さな文字があった。


《同期推奨》

《端末認証》

《位置更新:ON》


ユウの背筋が冷えた。


ミサもそれを見たのか、顔色が変わる。


「……それ、危ない」


ルカは聞こえなかったふりをして、後ずさった。


「では、また。お姉さん」


また、お姉さん。


ユウは笑えなかった。

否定もしなかった。


ルカは軽い足取りで、来た道を戻っていく。

あっという間に高架の影へ消えた。


残されたのは、物資と、カードと、嫌な予感だけだった。


アキが吐き捨てる。


「……あいつ、絶対やばい」


レンが低く言う。


「旧文明製に反応した。情報を流す可能性がある」


ナギはカードを一瞥し、ユウに返した。


「捨てたいが……捨てたら捨てたで面倒が来るタイプだな」


ユウはカードを握りしめた。


喉の渇きは少しだけマシになった。

でも、胸の奥の渇きは増えた気がする。


誰が何のために化け物を作ったのか。

誰が何のために男を閉じ込めるのか。

誰が何のために“旧文明製”を欲しがるのか。


そして――


誰が何のために、自分を“未実装”のままここに放り出したのか。


ユウは息を吐いた。


「……生きていくには、護衛がいる」


自分の言葉が、遅れて胸に刺さる。


護衛がいる。仲間がいる。情報がいる。

そして、嘘をつく覚悟がいる。


ナギが前を向いた。


「行くぞ。拠点まで、まだ遠い」


ユウは物資の入ったリュックを背負い直した。

重い。ありがたい。

でも、その重さの中に、カードの“位置更新”が混ざっている気がして、背中が冷えた。


(つづく)

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