表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
PR
98/116

95学園祭当日3 演劇男装騎士は月夜に夢を見る1

95学園祭当日3 演劇男装騎士は月夜に夢を見る1

俺達が出演する演劇のスケジュールは本日最後の枠のはずなのに、午後イチには楽屋入りさせられた。えらく早く集合させるな、と思っていたらヘアメイクに時間がかかるらしい。

女性は大変だなあと思いながら大半は目を瞑って耐える。

流石に通常の女性はこんなに時間かけないよな?

男が女装するからだよな?

と思うほどの時間をかけているんだが。


俺の出場シーンは基本的に男装令嬢の騎士で薄化粧。

シーンによって貴族令嬢という女性の姿になるため、その時はメイクが変わるが、そのシーンと騎士メイクの入れ替わりにどれだけ時間を短縮できるかが肝らしい。

俺にはよくわからないが、薄いメイクから濃いメイクに変える際に時間がかからないように、とメイク班がかなり研究してくれたそうだ。

さらに、衣装チェンジも入るため、衣装は早脱ぎ、速着替えができるように工夫して作成したそうだ。

凄いなあ。今日一日しか使わない衣装と舞台装置に幾らの金銭が掛かっているのか。

貴族社会怖いなあ。


なんて、メイクの間されるがままになりながら意識を飛ばしていたが、いよいよ演劇が始まるようだ。

散々練習してセリフも完璧に覚えてきたし、王子として生きてきたからか、人前に立つ緊張感もない。

頑張ろう。










舞台の幕が上がる。



薄暗い照明の中、舞台の真ん中に天蓋付きのベッド、その横に立つ人影が漸く視認できる。

「女……だと?」

「………………申し訳ございません!」


「わがヴォルスナー家は武の一門!女など産んでどうする!!ええい、忌々しい。お前の家系は男腹だと聞いていたから婚姻してやったというのに!」

「申し訳ございません!!旦那様!!次こそは、次こそは必ず男児を!!」

「当たり前だ!!………………いや、でももし男児が産まれなければ?」



少しの間。



「決めたぞ。この子は男児として育てる。次の子が男児なら病死として世間から隠せば良い。当面は跡継ぎとして育てよう。」

「そんな!…………」

「何か文句があるのか?男児を産めなかった己を恥じるが良い。」


そうして、ヴォルスナー家の第一子は男児として育てられることになる。


――――――――――


演劇の中では役名は別にあり、劇中でも役名が使われているが、混乱を避けるため今後こちらで語る中では便宜上本名を使用する。


演劇中は主にシャルル若しくは第三者視点として描きつつ、別役者視点は実際の演劇中リアルタイムで語られているものの本小説では次話で語られる。

――――――――――


そうして男児として育てられたシャルルはヴォルスナー家の保有する私設軍隊に厳しい特訓を受け続けて成長する。

実は女児だということは両親、執事、専属メイドなど極一部のものだけに秘匿されており、シャルルは男児で且つ嫡男として扱われる環境で育った。

一方で次男(本来の長男)が産まれる可能性もあるため、秘密裏に淑女教育も行われていたが、残念ながらヴォルスナー家には第二子が誕生することはなかった。




そして15年の歳月が経ち、シャルルは王国騎士団学校の入学を果たす。

王国騎士団はその名の通り王国が保有する騎士団であり、国内のエリートとして扱われる。各貴族が保有する、領地内における私設軍隊とは異なり、国王を守り、国を守る為の国の中核となる軍隊なのだ。

勿論入団試験は厳しく、実力のあるものしか入れない。

入団出来ただけでも名誉とされる職になる。

王国騎士団に入るための最短ルートとされる騎士団学校に入学したシャルルはこれからの生活に期待に胸を弾ませた。






「男子ばかりだな……」

思わず入学式で口に出して左右に目線を配ったが、聞き咎める者はいないためホッとする。


自ら、男子として入学しているものの、入学すれば女子に会えるかもしれないと少し期待していた。

シャルルは生まれてこの方男子として育てられ、私設軍隊のメンバーは当然男、メイドや家庭教師は年配の女性、知っている中で1番若い女性が自身の母親であり、同年代の女性と関わったことがなかった為、学校では同年代の女性と話ができるのでは、と期待していた。


「本当男ばっかりでこれから嫌になるな。」


誰も聞いていなかったと思ったのに、急に先程の独り言に返されてギョッとして振り向くと同世代の男子がすぐそばにいた。


「これから3年間は女の子を見ることもない寂しい生活だな。俺はフエゴ、よろしくな。」

軽く出された手を思わず握る。

同級生の友人が早くもできたようだ。


「タコだらけだなあ。お前結構やるだろ?勝負できるのを楽しみにしているよ。」

「負ける気は無い。」




騎士団学校に入学できる、という時点で学生たちの剣術のレベルは高い。

その中でもたまたま入学式に挨拶したフエゴと私のレベルは高く、気付けばいつも2人で組み合う仲になっていた。

「いやあ、シャルルと試合うと勉強になるわ。さっき避けたのってなんでわかったんだ?」

「フエゴは上段からの振り下ろしが分かりやすい」

「え?どういうことだ?」

つまりこういうことだ、というのをフエゴの手を取りゆっくり解説すると何故かフエゴの顔が真っ赤になっていく。

「……お前さあ、そんなに手取り足取り教えなくても。」

「実際にやった方がわかりやすいだろ?」

「ちょっと密着しすぎ……くっつきすぎ……?いや、もう少し離れてもできるだろ」

「?いや、効率的に解説しているだけだが?」

「……………………わかった。俺が気にしすぎているだけだとわかった。」

「?」

「なんでもないから………………(はあ、女子がいないからかわかんねえけどこいついい匂いするんだよなあ)」







ある日


「あぁ〜!!ごめんなさい!!」

校舎内の廊下の曲がり角で誰かとぶつかったと思った瞬間に全身がグッショリと濡れたシャルル。

「なにこれ、スースーする。」

「ごめんなさい〜!人体には有害じゃないけど、冷たくなる薬物を持っていて、それが君に掛かったみたい〜」

「いや、みたいじゃなくかかってますが……くしゅん!!」


薬品をぶっかけたラファルに謝られながら彼の研究室に行き、彼が見ていないところで服を脱ぎ、毛布に包まる。

「本当にごめんねぇ〜。服が乾くまでおしゃべりしよ?」


会話によるとラファルはこの国の魔術師団長で、この学校内に研究室があり、魔術の講師もしているからちょくちょく学校に来ているらしい。魔術師団長なので歳上のはずなのに歳下に見える。魔法に長けた人は歳を取りにくいっていう噂は本当なんだろうか?









またある日


「今度の満月の日、王宮でパーティーがある。お前も出るんだ。」

突然の父親からの申し出に?マークが頭でいっぱいになる中、シャルルに父親からの指令は続く。

「令嬢としてな。」



曰く、父親は、その王宮のパーティに出る第二王女への暗殺計画を秘密裏に入手した。同年代で怪しまれない護衛をつけることに加え、自分が送り出す護衛は第二王女の1つ歳下でうってつけであることを王に進言し受け入れられたため、私に断ることはできないとのこと。


「父上、第二王女や王様に私が女だとバレては不味いのでは?」

「問題ない。当日の身分は私の親類の女子で武芸を嗜んでいるとしている。」


まあ、私も男子として生きてきているが淑女教育も受けているから1日くらいならなんとかなるだろう、と軽い気持ちで引き受けたシャルルだった。


しかし、本人が自覚せずとも女性として美しく育った彼女はパーティーの場に入場するなり目立ってしまっていた。


王女に挨拶に行き張り付いていれば良いと思っていた彼女の思いに反し、王女に辿り着く前に多数の男性陣から詰め寄られほとほと困り果てていたところ、何故か他の男性が道をあけ、彼女に手を差し伸べるものがいた。

「私と踊っていただけませんか。レディ?」


彼がモーゼの如く人の波を割ってこれたのはその身分ゆえで、隣国の王子だったからだった。ダンスをしながらの会話で、彼の身分をきき、納得しつつ、第二王女に挨拶をしたいのに男性陣がダンスを誘ってくるため全く辿り着けないこと、自分は初の社交会で慣れていない為どう断って進めが良いのか困っていたことを話すとダンス後に王女の元に連れて行ってくれた。


第二王女は白百合の如く美しく儚げな女性だった。

確か歳下なのに、凛とした佇まいに気品を感じた。

挨拶をした後も居座るのは通常ではマナー違反の筈だが、事前に王様から言い含められていたようで王女から引き止めてその場にいすわることを許された、という形を取ってくれたのでまるで親友かのように王女の側にいることができた。

隣国の王子テールも何故か当然のように2人の側に控えていた。結局この日は暗殺は起こらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ