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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園一年生46 友達作りは諦めます

87 学園一年生46 友達作りは諦めます

友達を作りたい、と意気込んでみたものの、同じ授業の生徒に話しかけても緊張して固まってしまうし、会話をするどころではない。

気さくな王子を演出しようとしているのに、うまくいかない。

一般生徒と普通に話をすることができないなんて思いもしなかった。


今の俺は学園入学前にフエゴやラファル、ベアトリスとも親交を進めていたから辛うじてぼっちな学園生活を過ごさなくて良い境遇だ。


ゲームの中では彼等とも主従関係がハッキリしていただろうし、ボッチな中で無遠慮に近づいてくるマリアの存在は唯一自分を認めてもらったように感じるだろうな、だからゲーム内でのシャルルが惹かれたんだろうな、と今ならわかる。


ゲームの中の「シャルル」は孤独だったのだろうな。


「シャルル王子、集中しないなら今日はもう帰りたまえ。」


鬱陶しそうにスルス先生に言われて意識を戻す。

ひたすら色んな魔法陣を書き写しながら物思いに耽ってしまっていた。

手元にある、書き写した魔法陣を見るとところどころ書き損じがある。これでは効果を成さない。


「すみません……」


「何か悩みでもあるのかね?」


「……はい、友人の作り方がわからなくて。」








しばし無言が続く。


いきなりそんなことを言われたことに先生は驚いているようだ。


「ふむ……。私から見れば君は何人か友人がいるように見えるが。」


「あまりにも少ないのでは、と気に病んでいます。それに、私の友人が少ないことにより、ベアトリス……婚約者が、婚約者として認めてもらえていないようです。」


「は?……あ、いや、すまない。言っている意味が理解できない。」


俺は、俺に友人が少ないために自分がバカにされていて、婚約者であるにも関わらずベアトリスが色んな男どもに懸想されていること、それを友人のラファルが対処してくれていたこと、ラファルからその件で怒られたことを暴露した。

かなり情けない話だが、身近な歳上の相談相手などスルスしかいない。




「………………ラファル君は、原因が君の友人の少なさと言ったのかね?」


「直接そう言われたわけではないのですが、私なりに考えた結果です。鈍感だとか言われました。」


頭痛がするのか、頭をおさえながらスルスは告げる。

「友人の数より、質が重要だと私は考える。ラファル君が言いたかったのは、もっと婚約者であるベアトリス君との時間を作り、それを一般生徒に見える形で示せ、という意味合いだと推測する。なぜ友人を作るという考えに君が至ったのかは理解に苦しむな。」

「え?」


何言ってんだ、コイツ?

というような顔をしてしまった。


理解できないのはお互い様なんだろう。

スルスも呆れた顔になっている。


「シャルル王子、君が少々思考がおかしいことは私も理解している。納得できないなら君の友人達に相談してみたまえ。」

面倒になったのか、この話はここで終わり、かつ魔法陣の転写も終わり、とスルスの研究室を追い払われる。

よくわからないが、俺は素直な性質なので、友人に相談することにした。





*******



テールの大笑いが浴場に響く。


フエゴはそんなテールに苦笑いをしつつ、俺に対して目も向けない。


「……そんなに面白いか?」


思わずドスが効いた低い声音でまだ笑い終わらないテールに凄む。


「……ひぃっくくく……あー、ダメだ、面白すぎる。なんでそんな拗らせて……ぶっくくく……あはは……」


「テール様、シャルル様は本気で悩んでいるんで……そこまでに……」


あ、フエゴも笑いを噛み殺していたのか。

吹き出さないようにしてることくらいわかるぞ。


「もういい、恥を忍んで相談してみればなんなんだよ、お前らは。」


湯気で視界が悪くて見えないものの、浴場内には他に生徒がいるかもしれない。やたら広いので、何を話しているかまではわからないと思うが、誰かに聞かれたら恥ずかしくて登校拒否する自信がある。


「……スルス先生のおっしゃる通り、友人作りよりベアトリス様と一緒にいる時間を増やすべきでは?」

「そうだよ、シャルル。授業があまりかぶっていないんだから授業の合間とか授業終わりとかもっと一緒にいて周りの生徒に仲の良さを見せつければいいだけの話だろ?」


ようやく笑いがおさまったらしい2人から真っ当なアドバイスをもらう。



「……あまり会いに行きすぎると引かれそうで怖い。」

ベアトリスは俺に好意を持ってくれている、と思う。

が、政略結婚のような関係なのだ。

あまり頻繁に会いに行ってウザがられるようになったら辛い。

ベアトリスに会うとつい揶揄ってしまう、というか可愛がりたくなってしまう。

ぶっちゃけ俺が女なら重いだろう、と思っている。

そして、貴重な学生時代を俺とだけ過ごすより、友人との時間を多く持ってほしいと思っている。

卒業後はすぐに結婚して王宮に住むのだから俺と過ごす時間が多くなる。

今のうちに俺以外の交友関係を広げてほしい。

俺の、2人で過ごしたいというわがままで彼女の時間と機会を取り上げたくない。


そういった思いをついつらつらと2人に語る。



「シャルルがそう思っているのはベアトリスちゃんとラファルに伝えてないでしょ。」


「ああ。」


「そんなん言わないとわからないって。独りよがりすぎるよね。シャルルの考えはわかったけど、ベアトリスちゃんがどう思うかはまた別の話でしょ。自己完結せず2人で話し合うべきじゃない?」

「私も同感です。ベアトリス様はもっとシャルル王子と過ごしたいかもしれませんよ?」


「ああ。一度話してみることにするよ。ところで……」





この後長風呂のしすぎで3人とも脱衣所でしばらく動けなくなり、入ってきた生徒達に驚かれたのだった。


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