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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園一年生44 ペドロ視点

85 学園一年生44 ペドロ視点

金曜日 武術授業日。


「よう、シャルル、張り切ってるな。」


「ペドロ先輩!」


シャルルは隣国サファリアの第一王子。やんごとなきお方ってやつだが、本人が普通に接して欲しがっているので普通の後輩として接している。

やたらキラキラしているが、俺にとっては可愛い後輩だ。


線が細く見えて剣が上手く、今日も対戦相手から、早々に一本取っている。


俺からすると他国の王子より自国の王子、テール様の方が緊張するんだよな。

テール王子は国では出来損ない扱いされていて、影が薄く、俺も彼のことをほとんど知らなかった。

このリセドール学園で見かける時も授業をサボってダラダラしている不良学生っぽいのに、武術の授業で見るテール様は別人のようだ。


2刀の扱いは神業。


授業で使う木剣ではテール様の腕をわかるやつはいないかもしれないけれど、本来の刀を使用すれば親父でも敵わないんじゃないか、と思う。


いつもへらへら笑っているが瞬時にみせる鋭さ、殺気、集中力は熟練の兵士のものだ。


自国にいた時は気づかなかったが、同じ授業を受けるようになってこの第五王子の存在感に戸惑っている。アカサンドリアにいる父に伝えるべきかもしれない、と感じるほどに。


「ペドロ先輩?どうかしましたか。」


「あ、すまん、ちょっと考え事を。」


「テールのことですか。」


心を読まれていたのかと思い、驚いてシャルル王子を見る。

シャルルは苦笑いをしながら、


「目線でわかりました。」


と告げてくる。


テール王子のことを考えながら、つい目で彼の様子を追っていたようだ。

昔からお前はわかりやすいな、と色んな人に言われてきたが、こういうところなんだろうな。


「ああ。我が国のアカサンドリアの第五王子と同じ授業をとれるとは、感慨深いな、と思ってしまってな。」


「テールは国では存在が薄いんでしょう?」


ギョッとしてシャルルを見返してしまう。

その俺の態度に苦笑して、


「本人が言っていましたから。目立たないようにしていると。」


と言われてしまう。


目立たないようにしている?


「あ、これは秘密で。彼はアカサンドリアの内乱を求めていません。テールの兄上である王太子の立場を揺るぎないものにするため、あえてそうしているそうなのでご協力くださいね。」


そう言って微笑むシャルル王子。


授業中にさらっと雑談でする話ではないだろう?

かなり重い話だと思うが。


というか、俺にそんな話をするのは何故なのか。

俺がアカサンドリア騎馬団団長の息子とシャルルが知っているのはわかる。


このタイミングで、というのは、俺が父にテール王子を警戒すべきと話そうと思ったからか?


同じ武術の授業に出ていて、俺がテール王子を脅威に感じ出したタイミングで釘を刺してきたのか。


今まで、可愛い後輩として接してきたシャルルにも寒気がする。

やはりシャルルも一国を背負う王族なのだ、と今更ながら実感する。


テール王子が王太子にとって変わるつもりがない、というのも本当なのか。

俺は頭がいい方じゃない。

こんなに直接的な言い方をされるとそのまま信じ込んじまう。


「ペドロ先輩。」


シャルルが真っ直ぐに俺の目を見る。


「あいつの味方になってやってください。」






「わかった。」



しゃあねえだろ、可愛い後輩の頼みだ。


正直国の中のゴタゴタはよくわからねえ。


テール王子のこともわからねえ。


だけど、シャルルは付き合いは短いが、可愛い後輩だ。


なんというか、裏がない奴だ。


見た目は物語の王子様って感じだが、中身は真っ直ぐな奴だ。

剣もそうだが、俺が強引に誘った騎馬の訓練でもそれは見てとれるし馬にも好かれる。

馬に好かれるやつは悪いやつじゃねえ。

そんなあいつの友達なら、テール王子も悪いやつじゃねえんだろう。


我ながら単純すぎるとは思うんだが、これが俺だ。

テール王子はよくわからねえが、シャルルが言うなら信用してもいいんだろう。

アカサンドリアでは味方の少ない第五王子の面倒をみてやってもいい。


こんな、授業中の雑談で頼まれる話にしては重すぎる内容なのに、自然に受け入れてしまう自分に驚く。


親父にテール王子の剣技を報告するのは、王太子の補佐としてテール王子が自ら立とうとした時まで保留にしよう、と笑んだ。


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