学園一年生30 夏季休暇1サファリアへの帰還
久しぶりに更新しました。
仕事が忙しくなりぼちぼち更新になります。すみません。
しばらく夏季休暇の話になります。
70学園一年生30 夏季休暇
リセドール学園の初めての夏季休暇。
俺は祖国サファリアに帰ることにした。
たった半年程度しか離れていなかったのに、帰ると考えてからはサファリアがとても懐かしく感じた。
転生者である俺は、どこかで日本を恋しく感じていて、転生してからも故郷という言葉からは、前世の実家を思い出してしまっていた。
今の俺にとっては、やはりこちらの方が現実なんだなと、サファリアまでの道程を馬車に揺られながら感慨深い気持ちで考えていた。
2日かけてサファリアの王宮に戻ったのは夕方だった。
馬車に乗っているだけで、体を動かしていないのにもの凄く疲れた。この世界に新幹線があれば良いのに。
馬車の旅路は道が全て整備されていないため、場所によっては揺れが激しく、寝ることも出来ないし、本を読みすぎると酔いそうなので、読書で時間を潰すこともできず、移動時間が暇だ。学園に行く時には初めての街の外の景色を楽しめたが、同じ景色なので行きほどは楽しめなかった。ずっと座ったままで同じ姿勢なので体も痛い。誰もいないのをいいことに、馬車の中でストレッチを行ったりしていたが、2日も移動に費やすと体が凝り固まってしまう。
学園との往復くらいなら良いが、将来外国に行くことになったら1ヶ月以上の旅になるのか、耐えられるのかな。
馬車での移動を終えて、久々の王宮に戻ると、玄関ホールで、母と妹、弟が出迎えてくれていた。
「母上、シャルロッテ、アンリ。ただいま戻りました。」
シャルロッテとアンリが飛びついてくる。
「兄様、寂しかったです!」
「兄上、真面目に勉強しておりました!」
「2人とも偉いぞ。俺がいなくてもちゃんと耐えて、しっかり勉強していたのだな。」
『はい!』
2人の返事が重なる。
2人とも本当に俺を慕ってくれていて、国にいる間は離れるのが少し心配なくらいだったが問題なかったようだな。2人の頭を撫で回してやる。
「2人ともシャルルがいなくて寂しがっていましたからね。シャルルがここにいる間は存分に甘えなさい。」
と微笑みながら俺たちを見ている母上。
「父上と母上はお元気でお過ごしでしたか?」
「もちろん、貴方がいないのは寂しかったですけどね。息災ですよ。」
両親と妹弟に愛されて育ち、それが普通だった俺。
テールの話を聞いた後だと、今の俺は本当に幸せな環境で育ったのだと実感する。
俺の学園生活の話を聞きたがる2人に母上が、
「シャルルは移動で疲れているのですから話は後になさい。晩餐にはお父様もご一緒されるのでその時に沢山話を聞きましょう。シャルル、部屋に戻って良いですよ。」
残念そうにしながらも2人は俺から離れる。
「すまんな、2人の話も後で色々聞かせてくれ。」
『はい!』
可愛い妹弟と、母に礼をし、自室に戻る。
『お帰りなさいませ、シャルル様!』
部屋に戻ると沢山の侍女が出迎えてくれた。
この光景も久しぶりだった。
「ただいま帰った。出迎えてくれたところで悪いが少し横になる。晩餐の支度の時間になったら起こしてくれ」
『はい!かしこまりました。』
デリアには休暇を与えているため、これからは持ち回りで俺の世話をしてくれるようだ。簡単な連絡事項を確認し、自室のベッドに倒れ込む。
直ぐに眠気が来て俺は意識を手放した。
「シャルル様、起床のお時間です。」
ノック音と共に声をかけられ目を覚ます。
まだ体は重たいが、短時間でも寝れて良かった。
「入ってよいぞ。」
気怠いがなんとか体を起こしてベッドに腰掛け、侍女に声をかける。
入室してきた侍女がいきなり座り込む。
「どうした?大丈夫か?」
慌てて駆け寄り、起こそうとする。
「だ、だ、大丈夫です!半年ぶりにそのお姿に当てられてしまい、いえ、何でもございません!(ベッドに座って気怠そうな姿とか、ヤバい!見慣れたつもりでしたのに!)」
「?大丈夫なら良いが、体調が悪いなら下がってよいぞ。」
「いえ!お支度お手伝いいたします!(激しい争奪戦の上、くじ引きで得た本日のお世話係の権利、決して手放せません!)」
よろよろと立ち上がると支度に入る侍女。
何度かふらついていたので体調を心配したが、本人がやる気なので任せることにした。
デリアがいないと、侍女達の体調管理が疎かになってしまうのかもしれないな。
「シャルル、帰ったか。待ちわびたぞ。」
食堂に向かう廊下で父上に話しかけられる。
「父上、ただいま戻りました。半年くらいで大袈裟な。」
「何を言う、お前がこんなに離れたのは初めてだ。皆待ちわびていたんだぞ。」
過保護気味だな、と思い苦笑する。
「父上、少し相談したいことがあるので時間をいただくことは可能でしょうか?」
俺の真剣な表情に父上はとんでもない勘違いをする。
「まさか、ベアトリスとの婚約の件か?」
「違います!!俺たちの仲は良好です。少し込み入った内容ですので纏まった時間がいただけると嬉しいのですが。」
「ふむ、近々時間を作ろう。また宰相とも相談して日時を知らせる。」
「ありがとうございます。」
食堂に着くと母上と妹弟が揃っていた。
俺は食事の間中、皆にせがまれて学園での話をした。アカサンドリアの王子テールと友人になったことや、学園で学んでいる内容等、話してばかりでなかなか食事が進まなかったが、皆嬉しそうに俺の話を聞いてくれるので、頑張って話し続けた。
「2人とも、そんなに質問ばかりではシャルルが疲れてしまいますよ。しばらくシャルルはいるのですから、今日はそれくらいにしなさい。」
と母上が嗜めてくれたのでなんとか食事を終えることができた。
ゆっくり風呂にでも入りたいが、サファリアには大風呂がない。
「大風呂に入りたい、、、父上に相談してみるか。」
学園での大風呂に慣れてしまうと、自室の浴室にあるバスタブでは満足できなくなっていた。湯に浸かる風習がないサファリアのバスタブは、体を洗うスペースであり、サイズが小さいのだ。
俺の部屋のバスタブは、特注で大きめに作ってもらったものなのだが、狭く感じる。
明日からはしばらくサファリアでの生活。
旅の疲れをとるために俺は早めに就寝することにしたのだった。




