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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園一年生29 入園半年

リセドール学園に入学して半年が経過した。


ドラゴンに関しての情報は以前調べた時から、その後も継続して調べてはいたものの、目新しい情報はなかった。

あれ以来、集中してドラゴンのことを調べる、という期間は設けずに、それぞれ学業に集中してもらっていた。

1番手の空いているテールは、暇つぶしと称してあの後も調べ続けてくれていたため、図書館の常連になっていた。いつの間にか、テールは図書館で会ったマリアに接触し、友人になっていた。


マリアは、1番冷たく当たられたテールとは和解したようだが、俺たちとは関わりを持たないままなので、昼食時や同じ授業でも直接接触することはなかった。


1番マリアと授業が被っているフエゴの話によると、最初の内、クラスメイトは男女共にマリアから距離を取っていたが、今では男子生徒に囲まれるようになっているそうだ。


マリアの顔は小動物系で、まあ、この学園では飛び抜けて可愛い顔をしていると思う。さすが主人公キャラ。

礼儀の授業を受けて、ある程度貴族との関わり方を覚えたのだろう。学園に通う貴族男性に囲まれているということは、俺たちに接した時のような失礼な態度はタブーだと気付いたのだろう。


マリアは前世でも良く見たモテるタイプの可愛くてあざとい系女子だ。女性はそのあざとさに辟易し、男性は、彼女の仕種や行動をわざとだと分かっていても可愛く感じてしまう。実際マリアの行動が計算なのか本能なのかはわからないが、どちらでもよい。結果は一緒だ。

俺はああいったタイプは好みではないが、男性受けが良いのはわかる。


テールにマリアと友人になった経緯を尋ねたことがあるが、

「前の態度謝って友人になろーっていっただけ。」

と返されたのみだった。


「マリア関連の情報があれば拾った方がいいでしょ?俺が1番接触するのにむいていると思うし。」

テールに押しつけてしまって申し訳ないが、任させてもらうことにした。あまり俺は接触したくないのだ。生理的な嫌悪感はどうにもならない。

情報をとるのは諦めるつもりだったので、テールがマリアと友人になってくれたことは有り難かった。




ベアトリスとは月に1回は、2人で会う時間を作っている。普段も皆がいる場で会っているのに、なかなか俺に慣れてくれない。逆に赤くなることが増えているようにも感じる。俺が赤くなるようなことをつい口にしてしまうからなのだが。

照れたベアトリスが可愛いから、というのもあるが、本心から誉めてしまうので制御は難しい。


フエゴとテールとは相変わらず、男子寮の裏で徒手や帯剣での格闘訓練をしている。

まだテールに勝てはしないものの、徒手で真剣にやり合うくらいには上達した。


ラファルとベアトリスはスルスの魔法陣が完成したおかげで、魔術の授業で高等魔法の練習が出来るようになり、とても喜んだ。

何度か魔力切れを起こして倒れる、という経験を2人とも初めて体験していた。

あれは本当に気持ち悪いのだ。体全体から気力が抜けたように力が入らなくなり、嘔吐しそうになる。船酔いと、高熱の脱力感を合わせたような感じだ。俺もサファリアにいた時に経験したのでよくわかる。しばらく寝ていれば自然治癒するのだが、学園よりもサファリアの方が大気中の魔力が濃いし、精霊の数が多いので回復しやすい。


精霊視でみていると、精霊が集まって魔力を回復してくれているのがわかる。精霊が周りに多いほど、効果範囲が広くなると聞いていたが、魔力の回復スピードにも影響を与えるようだ。


幼少期に精霊を視れるようになったが、普段は精霊視を控えている。俺やベアトリスの周りには夥しい数の精霊がいるので、迂闊に見ようとすると視界が遮られてしまうのだ。たまに意識してみているが、攻略対象者の周りの精霊はやはり多い。

俺とベアトリスは異常と言っても良い数なので例外とするが、攻略対象者の皆の周りの精霊はとても多い部類だ。

ちなみに、主人公であるマリアは俺とベアトリス並みに精霊が周りにいる。マリアの魔力量は多くないので、前に聞いた魔力量と精霊に愛されているかの間に関係はなさそうだ。




スルスの研究室には相変わらず顔を出しており、たまに雑談をする中でスルスがサファリアの中央と地方の格差について不満を抱えていることが垣間見えた。俺は知識としては知っていても、地方のことはよく分かっていない。スルスの父が治める領地や、他の領地も実際に行ってみたいと感じるようになった。



ペドロ先輩との騎馬特訓は週一くらいのペースで行なっている。

最初は勝負どころか、まるで戦闘の形になっていなかったが、徐々に騎馬戦の体を取れる、というところまできた。と言ってもまるで勝てる気はしない。大人と赤子が戦っているくらいに実力差がある。こんな状態でも、ペドロ先輩は何もしないよりは訓練になると言ってくれるがとても訓練になっているようには思えない。


*******


リセドール学園では、半年に一度、夏と年末年始はそれぞれ1ヶ月程度の休暇があり、来週からは夏季休暇に入る。往復4日馬車の旅というのはなかなかに辛いものの、今回の夏季休暇は国に帰ることにした。

父である国王とも話がしたいし、やりたいこともある。サファリア出身のフエゴ、ベアトリス、ラファルも国に帰る。テールもサファリアに来たがったが、国で調べものをするとのことでテールはアカサンドリアに戻ることになった。


短いような長いような半年が終わった。たった半年しか離れていないのに、サファリアに帰ることを考えるととてもきもちが落ち着いた。転生してから暮らしていたあの国が、俺には完全に故郷になっているんだな、と感じた。

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