学園一年生26 ラファル視点 ベアトリスとラファル
ラファル視点です。
月曜日一時限目
今日は弓の授業だった。
まだまだ持ち慣れていないけど持ち方を覚えるようになり、的にも少し当たるようにはなってきた。
ここ2週間、シャルル様がドラゴンと周辺事情について知りたい、と言う要望を出されたため、僕たちは調べものに集中していたので、寝不足だ。前回よりも矢が的を外す本数が多いように思う。
今まであまり体を動かしていなかった僕は、数本打つだけで体も指も痛くなってしまう。
同じクラスの女の子達はやたら優しく接してくれる。皆僕のお姉さんみたいだ。男の子たちはなんだか遠巻きに見ているが、女の子の間に入るのが照れくさいのか話しかけてこない。
授業が終わり、同じ時間に槍の授業を受けていたベアトリス様と合流する。
「ベアトリス様ー。」
「ラファル。」
ふわっと華が開いたような笑顔を向けてくれるベアトリス様。シャルル様とベアトリス様の仲を知っている僕でも胸が高まってしまいそうな柔らかい微笑みをむけるのはやめて欲しい。
「ラファルはクラスの皆と仲が良さそうね。私はまだ、武術のクラスにお友達ができなくて。」
武術のクラスは同じ運動場で、場所をわけて違う武器のクラスが行われているので、お互いのクラスの状況が良く見える。
ベアトリス様は、シャルル様ほどではないとしても、とても目立つお方だ。
サファリアの第一王子であるシャルル様の婚約者ということはもちろん知れ渡っているが、それを抜きにしてもお美しくて、気品があり、いつもキリッとしていらっしゃるので、周りからは高嶺の花として扱われているのがわかる。
同じクラスとはいえ、皆話しかけるのも畏れ多いとばかりに遠巻きにされているのがわかり、なんとももどかしい。
僕に投げかけてくださる笑顔をクラスメイトにも向けられれば、クラスの輪の中心になられると思うのだけど、それをベアトリス様にアドバイスするとシャルル様に恨まれそうな気がする。
シャルル様は誰にでもキラキラとした笑顔を振りまいているのに、本人は無自覚だからタチが悪い。自分はモテまくっているのに、ベアトリス様がモテることに関しては狭量だ。正直、器が小さいと思ってしまう。
ベアトリス様は僕にとっては読書仲間だし、このままの関係を崩す気はない。シャルル様にも大切な趣味仲間として認めていただいている。
ただ、読書友達として認めてもらって数年が経ち、ベアトリス様がどんどん美しくなっていかれるのに、シャルル様が僕とベアトリス様の仲に危機感を持っていらっしゃらないことには呆れるばかりだ。
数年前には問題なかったとはいえ、年頃になった僕がベアトリス様に懸想しないとどうして考えられるのだろうか。
今まで通り接してはいるが、日に日に美しくなられるベアトリス様。
僕は相変わらず少女のような見た目なのは自覚しているが、中身は順当に歳を重ねている、ということはご存知ないのだろうか。
そして、現段階において、シャルル様とベアトリス様が2人で会われることは少ない。
紳士淑女の仲で、男女が2人で同じ場所にいることは許されない、はずなのに僕とベアトリス様は一緒にいることが多い。僕の見た目が少女のようだし、読書友達だから、と完全に信頼していただいているのだろう。
わかっていないなら、わからせてやれば良い。
僕の心に黒い感情が湧き起こる。
先日もテール様が冗談で言ったことでベアトリス様が酷く傷つかれた。
シャルル様が女性に言い寄られてテール様が追い払われたとのことだが、いい加減にして欲しい。
言い寄られるのは仕方がないが、自分で追い払うくらいはやって欲しい。
シャルル様の優柔不断な態度でベアトリス様が傷つかれるのを見たくはない。
こんなことを繰り返すのであればいっそ、、、
その先は考えるのも烏滸がましい。
「ベアトリス様ー。この2週間お疲れ様でしたー。小説面白かったですかー?」
一緒に寮へと帰る途中、ベアトリス様が読んでいた小説の話をする。
また、ぱあっと明るく微笑みながら本について話し始めるベアトリス様。
「ラファルは恋愛小説にはあまり興味がないとは知っていますが、とても面白い物語でしたの。」
と語りだしてくれる。
確かに僕はあまり恋愛小説を読まないが、ベアトリス様がそれほどのめり込まれた小説なら読みたいな、と思う。
ベアトリス様によって現代語訳された小説ではなく、原文を読んでシャルル様にはわからない話ができると良いな、と思いながら。
弟系可愛いキャラでありながら腹黒感出せていると良いなあと思いながら書きました。




