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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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水の攻略者スルス・ポリニャック2

王都に行った後から、家庭教師により魔法を教わった。

元々、魔力量も多く、勉強熱心な性質も相まり、問題なく様々な水魔法を習得していった。学園入学時には上級魔法を使えるようになっていた。


一方で、学んでいく中で魔法の限界を感じていた。


確かに、魔法は便利だ。私のように魔力量があればやれることは多い。ただ、ポリニャック領は平民が多数であり、平民は魔法が使えない。平民でも使用できるように開発された魔道具は生活用品が中心で、身を守ったり、戦ったりする魔道具は存在しない。


そんな風に考えていた私が魔法陣の存在を知り、のめり込んでいったのは自然な流れであったと思う。


ポリニャック領の交易相手のエスタニアは、国内に魔法を使えるものが少なく、魔法陣の研究が進んでいた。エスタニアは島国で、島の中には魔物が少なく、魔石が少ないことからサファリア国からの輸出品は魔石が多かった。

エスタニアで書かれた魔法陣に関する魔導書を入手するのが容易な環境に置かれた私は魔法陣の勉強にのめり込んだ。




魔法陣について更に学べる、と期待して入学したリセドール学園では、残念ながら魔法陣専属の講師が存在せず、魔法の講師が兼任する状況だった。

学園一年生の私の方が講師より魔法陣への造詣は深かった。

授業自体は期待外れではあったが、図書館、学園長が持つ書物は期待以上であった。世界中から集められた蔵書は、私が見たことのない魔導書の山だった。

学園にいる3年間だけではとても勉強できる量ではなく、引き続き研究員として留まるよう勧められたのは良かったのだが、講師を務めるよう学園長に言われた時は即座に断った。

あくまでも自分とポリニャック領のために魔法陣の研究を行いたいし、魔法陣にさほど興味を持っていない学園の生徒へ教える事は時間の無駄だ。

そう言い返しても、学園長は折れなかった。

私と同じく魔法陣に興味を持つ生徒が現れた時に、今の講師では指導ができない。そんな生徒が現れれば、私にとっても意義があるのではないか、と諭され、講師を引き受けるなら個人の研究室も用意すると言われれば、断る事ができなかった。


私が在学している3年間、サファリアにもアカサンドリアにも、魔法陣にさほど興味のある生徒はいなかったし、これからも現れないだろう、と思ってはいたが、研究室を持てるのは有り難いし、週に1時間程度時間が取られるくらいなら、と引き受けることになった。



********


新入生の科目説明の際に、サファリア王国の第一王子シャルルがいた事には驚いた。


新入生代表として全員の前で挨拶をしていたし、講師陣にはシャルルが入園する前から第一王子が学園に通う事は周知されていた。


ただ、サファリアでは魔法を使う事が重要視されており、強い魔力を持つ王族が魔法陣を覚えようとしているなどと、俄に信じられなかった。


シャルルは噂に違わぬ光り輝く美しい容姿をしており、科目説明の際も、彼に見惚れて魔法陣学の説明を聞いていないであろう生徒が多数いた。

興味本位で聞きに来たであろう王子に、魔法陣に興味を持ってくれている生徒が邪魔をされた事が何とも癪に感じたので、少し嫌がらせをさせてもらった。


一方で、彼のように魔力が強い生徒が魔法陣を扱うとどうなるのだろう、という純粋な興味もあった。

私も魔力量は多いが、1人より2人、更に多く魔力量の多いものが集まれば扱える魔法陣の種類も増える。


もちろん、将来ポリニャック領で活用できる魔法陣かどうかを調べる予定なのだが、魔石で代用するなら莫大な費用がかかる。

それだけの費用をかけても価値がある魔法陣かどうか、魔力量の多い者が集まれば実際に起動できるので、試してみたい。


シャルル王子が魔法陣にあまり興味がなければ私の立場では魔法陣学をとるよう無理強いはできない。

ましてや、ちょっとした嫌がらせ、魔力を込めると輝く魔法陣に魔力を込めてもらうというものだったが、をしたので、魔法陣学に興味がなければ選択しないだろう。


シャルルが魔法陣学を選択するかどうかは、どちらでも良い、と思っていた。

魔法陣の研究が進むのは喜ばしいことだ。だが、魔法に重きを置くサファリアの第一王子はあの煌びやかな王宮で暮らし、魔法の優位性を叩き込まれて育っただろう。とても魔法陣に興味を持つとは思えなかった。10歳で訪れた、絢爛豪華な王宮を思い返し、苦々しい気持ちになった。






魔法陣学を選択した生徒の一覧の中にシャルル王子の名を見た時は驚いた。

私からの嫌がらせで懲りて、彼が魔法陣学を選択することはないだろうと考えていた。


他にも、2名、シャルル王子の婚約者と学友、シャルル王子も含めサファリアで3名も魔力量の多い生徒が魔法陣学を学ぼうとしていると知り、驚きと共に喜びを覚えた。

3名とも今後国の中心になるだろう、第一王子とその婚約者、王宮筆頭魔道士ユアンの息子。

今までサファリアで軽視されてきた魔法陣が、今後国で活用されることになるかもしれない。



とはいえ、期待をしすぎてはいけない。彼等は軽い興味で授業を取っただけかもしれない。

あくまでも一講師として、過度に期待せず、冷静に授業を行なうことにした。

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