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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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56/116

学園一年生20 水曜日 スルス研究室と昼食会議

前話、最後の部分寝ぼけてアップしたため、文章おかしかったので修正しました。

水曜日。


午後まで授業がないため、午前中はスルスの研究室でいつも通り魔導書の写本を行う。


今日はスルスがいたので、挨拶だけして作業に入る。

写本も終盤に差し掛かっている。

後半に行くほど紋様が複雑になっていき、ずっと見ていると目がチカチカしてきたので、一度本から目を上げる。


広いテーブルの向かいの席で、スルスは顰めっ面で本を読んでいる。

銀縁の眼鏡をかけていてもわかる鋭い眼光に睨みつけられた本が可哀想だな、と少しおかしくなる。


「何を笑っているのだ?」

俺の視線に気付いたスルスが不機嫌そうに話しかけてくる。


「スルス先生があまりにも厳しい顔で本を読まれているので」

と、俺は正直に答える。


「君も写本の時は似たような顔をしていると思うけどね。」

そう指摘され、俺は慌てて自分の眉間にシワが刻まれていないか、額を触って確かめる。

「くく、、、」

そんな俺の様子が面白かったようで堪らず笑い声を洩らすスルス。


「俺は先生のように本を睨んでいないつもりです。」

「そうだな。」

と言いながら楽しそうな顔が戻っていない。


こう言う時は思い切り話題を変える方が良い。

「スルス先生は、ドラゴンがいると思いますか?」


突然、何を言い出すんだ?という顔になる。


「実は、今友人達と調べているのですが、もしかすると実在するかもしれません。」

「ほう、俄には信じられない話だが。実在するなら見てみたいな。」

「戦ってみたい、と思いますか?」


しばし考え込むスルス。


「ふむ、、、人間が太刀打ちできる存在だとは思えないが。もし戦うのであれば色々と試してみたいな、、、」

どうやって戦うのか考えているようだ。


「まだ、本当にいるかはわかりませんが、もし現れたら世界が危機に晒されるでしょう。念のため王族として、今色々と調査しています。また、情報が集まったら相談しても良いですか?」

ぎょっとした顔になるスルス。単なる雑談だと思っていたら、俺が本気でドラゴンがいると思って調べている事に驚いたのだろう。


「あ、ああ。もちろん構わんが、、、私の意見が参考になるかどうか。」

「何を言っているんですか。スルス先生は魔法陣のスペシャリストですよね。先生の腕を見込んで相談しているんです。」


スルスの顔が赤くなる。褒められ慣れていないのだろうか。


「ふむ、、、それではドラゴンの情報が集まったら持ってきたまえ。」

と言い、本の続きを読み始めるスルス。まだ顔が赤く、あまり話しかけて欲しくなさそうな雰囲気なので、俺も写本の続きに入る。




********


昼食の時間になったため、食堂に移動する。

少し早い時間についたため、誰もいないかと思ったがテールがいるのを見つける。

毎回思うが、俺の友人は皆髪色が濃いのでこういう人が多い場では見つけやすい。


「テール。早かったな」

「そりゃあ俺は授業に出てないからねー。」

「それもそうか。昨日は無事図書館の特別室に入れたか?」

「ああ、ちゃんと予約しといたからね。館長のお爺ちゃんが入れてくれたよー。メモとったからあとで皆んなが来たら話すよ。」


俺たちはランチを受け取り、席に座る。

席に座った後、ベアトリスとラファル。続けてフエゴが食堂に入ってくるのが見えた。


「早いですねー。僕たちも取りにいってきますー。」

「すまんが、先に食べ始めるぞ。」

3人に断って、食事に手をつける。この食堂の料理は毎回美味しい。


「え、もう食べ終わられているのですか?」

3人が料理を手に俺たちの席に戻って来た時には俺とテールは食べ終わっている。

3人が来た時間はちょうど生徒で混み合う時間帯だったので食事を受け取るための列は長く、席に戻るまで時間がかかったのだ。


「3人は食べながら聞いてくれ。昨日テールが図書館でアカサンドリアの史実を調べてくれた。」

俺の言葉で皆がテールに目を向ける。


「ごめんね、調べたんだけどやっぱりドラゴンの記述は少なかったんだよ。アカサンドリアの建国前、サファリアの建国後、飛行しているドラゴンの目撃証言があった。飛んでいった方向と、目撃された時期からして、サファリアの史実に載っていたドラゴンと同じ個体のことだと思う。」

「信憑性が増してきたな。」

2カ国の史実に残っていて、整合性がとれた内容。

1000年前にドラゴンが出現したのは間違いないだろう。


「アカサンドリアの上を通った、ということであれば更に遠くから飛来したのでしょうか?」

と、フエゴが疑問を口に出す。

「確かに。サファリアの西の山脈に住まうのであればアカサンドリアは通らない。真っ直ぐにサファリアを目指したとして、アカサンドリアを通過するとなると、、、」

頭の中で地図を思い浮かべる。



「リカルディア?」



「確かに、方向から考えるとリカルディア方面から飛んできているように見えますわね。」

とベアトリスも同意する。


「リカルディアの史実も図書館にあるはずだが、簡易なものだけしか置いていないはずだ。念のため確認してみよう。」


すると、テールが真面目な顔で声を顰めて話す。

「リカルディアか、、、。あの国は昔から独裁者の国だ。圧政を強いているため、我が国に亡命してくる者も多い。1000年前はまだアカサンドリアは建国していなかった。建国当初のサファリアを狙ってドラゴンを、、、いや、そんな事が可能なのか?」

全員がその可能性を思い浮かべ、顔を青褪める。

リカルディアについて知られている事は少ない。

彼の国がもしドラゴンを使役しているのであれば、故意にサファリアが狙われたことになる。


「史実以外にも、、、調べてみる価値はありそうだな。ベアトリスとラファルはドラゴンとリカルディアについて、物語を中心に引き続き調べて欲しい。テールと俺は史実を中心に確認しよう。フエゴは、授業が埋まっているから調査より授業を真面目に受けろ。」

「な!俺も参加しますよ!」

「あくまでも現段階では可能性を探っている段階で緊急性はない。本当に危険だと判断したら声をかけるから、授業を優先しろ。」

「、、、はい。」

仲間外れにしたみたいで悪いが、授業をサボって調べさせることには気が引ける。


しかし、とんでもない話になってきたな。

ドラゴンだけでも強敵だと思っていたが、テールの勘が当たっている場合国同士の戦争にドラゴンが利用されているということになる。最悪のケースは、ドラゴンを倒したら、サファリアにリカルディアが攻め込んでくるというものだ。サファリアを攻めるなら、アカサンドリアが先に戦火に巻き込まれる。


リカルディアは鎖国しているため、国の内情は亡命者からしか伝わってこない。図書館の本にどれほどの情報があるかはわからないが、ドラゴンの記述だけでなく、リカルディア自体についても調査の必要性がある。願わくば、リカルディアは無関係であってほしい。

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