学園一年生18 サファリア建国物語
サファリアが建国されるより更に以前の世界は、今のように国は存在せず、小さな村が世界に点在するのみだった。
人間と魔物との戦いが多く発生し、人口も少なかった。
徐々に大人数で魔物と対峙することを覚えた人間達は大きな村を作るようになり、やがて街を形成し、その街の周りに城壁を築いていったり、洞窟や森の中といった自然を生かした要塞を築くようになり、大きな街から国へと姿を変えていった。
サファリアの建国の祖は光の魔術を使う大魔術師クレール。
彼を慕い、サファリアには多くの魔術師が身を寄せてきた。地形的に精霊が多く集まり、魔法の効果が強くなるため、魔術師が戦いやすい場所であったことも魔術師が集まる要因となった。
クレールは属性に関わらず、多くの魔術師を受け入れ、魔術師に守ってもらえると知り魔法を使えない者も集まってきて、人口が爆発的に増え、国ができた。
クレールは皆の要望でサファリアの王となり、民を守る力を持つ魔術師達を貴族とし、国を治めた。
建国当時は次々と移住してくる人々の諍いが多発し、人口増加に対応する町の運営にかなりの苦労があった。
都市計画、法律、行政と国の礎を手探りで築いていく必要があった。
国王となったクレールと貴族の代表者数名で結成された評議会が中心となり、建国時の取り決めがなされていった。
サファリア建国から15年。
なんの前触れもなくそれは訪れた。
急に空が曇った、と人々が空を見上げると、巨大な生物が空を飛んでいた。その生き物の陰が、広範囲に渡ったため、天候が変わったと皆が勘違いしたのだ。
ここまで大きな生き物が空を飛んでいる、ということに民衆は最初は驚いて見上げるだけだったが、空を飛ぶ生き物がピタリと空中で止まり。
大きな咆哮をあげた。
その咆哮は耳をつんざくような響きで、街の民の大半はその咆哮を聞き、気を失った。
その後、その生き物はサファリアの西の山脈に飛んでいった。
サファリアの王クレールと、評議会の面々により緊急会議が開かれた。
咆哮だけで人々を気絶させる生き物が存在し、それが街の上にまで飛来する、という恐ろしい事態。
街の皆からの目撃情報を総合すると、翼と4本の手足を持つ大きなトカゲのような魔物。今まで我が国では目撃情報がなかったが、遠い地域ではドラゴン、と呼ばれる魔物らしい。
何故我が国に来たのか、また来ることがあるのか、戦闘に陥った場合は勝てるのか、と議論を重ねたが何も情報が無い中で行われた議論は中身がない、とクレール王も評議会の面々もわかっていたものの、対策を考えずにはいられなかった。
それほど、ドラゴンが国民、そして彼等に与えた影響は大きすぎたのだ。
いつかまた来るかもしれない災厄をただ待つ、という選択はなかった。
咆哮だけで大半のものが気を失ってしまう巨大な魔物が、万が一街を襲えばサファリアは壊滅してしまうだろう。
既に街の上にドラゴンが飛来したことにより国民が怯えている。
討伐しにいく、という流れになるのは当然のことだった。
国王と評議会の貴族達が討伐メンバー、ということには賛否両論があった。
討伐隊が全滅した場合国の運営が立ち行かなくなる可能性もあるが、サファリアの成り立ちから考えて、国王と評議会に参加する貴族がこの国の最高戦力であった。
国の運営は、最悪彼等でなくてもなんとかなるだろう、ということで国の意見がまとまった。
そもそも、ドラゴンにこの戦力で勝てなければサファリアとしては他に手の打ちようもなく、国が滅ぼされるだろう。
討伐隊は、クレール王と評議会院を中心とし、一般兵から組まれ、ドラゴンが飛び去った西の山脈にむかった。
西の山脈には強力な魔物も多く存在するため、ドラゴンに会えるまでに極力中心メンバーを疲弊させない、というのが一般兵の責務だった。
魔物との戦いで多くの兵を失いながら行軍を進め、西の山脈の中でも高い山の中腹で羽を休めるドラゴンに遭遇することができた。
こちらの気配を察し、ドラゴンは飛び立とうとしたが、魔法で攻撃。
低レベルの魔法ではその硬い鱗を傷つけることが叶わなかった。
クレール王の魔法により、羽を傷付け、飛び立てないようにして討伐することができたが、サファリア討伐隊の被害は甚大だった。討伐隊の大半はドラゴンとの戦いで命を落とした。クレール王も深傷を負い、これを期に息子に王位を譲った。
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建国物語の内容は大まかにはこういった内容だった。
建国後の国が国としての体を成すまでの苦労や体制に対する記述が大半で、ドラゴンに対する記述はあまり多くなかった。
が、国史では触れられていなかった事柄が多数読みとれる。
最も特筆すべきなのは当時西の山脈にいた、ということだ。
今でも、西の山脈には強い魔物が多いため、採取や、特定の魔物討伐といった用がない限り足を踏み入れる者がない。ドラゴンの住処になっている可能性がある。
ただ、もし西の山脈にドラゴンが生息しているなら1000年も目撃されていないのは不自然だ。
と、更に思考を進めようとして眠気が襲ってきた。
必要なさそうな箇所を読み飛ばしたとはいえ、いい時間になった。
ある程度皆に共有できるよう内容をまとめ終わったので、1人でこれ以上考えるのはやめて眠りにつくことにした。




