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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園一年生11 金曜日武術科目

午後の武術科目に向かうと、テールがニヤニヤしながら待っていた。


「腕輪があってよかったねー。仲直りはできたかな?」


腕輪の認識阻害効果は食堂に向かう時から発動しっぱなしで忘れていたが、ここに来る途中で思い出して解除していた。


「危なかったな。これがないと、ベアトリスを強引に引っ張っていくところを大勢の生徒に見られていた。変なうわさになるところだったな。」

と微笑むと、

「無事仲直りしたみたいだねー。幸せそうで何よりだね。」

と、俺の顔を見て察したようで、追及は終わった。


今の時間は複数の敵への対処法を学ぶため、フエゴが他3名の生徒と戦っている。

最初、2人相手で戦ったところ、あっさりフエゴが勝ってしまったので相手役を3人に増やしたところのようだ。

見ていると、3人を相手取っても、危なげなく剣を捌けているが、あっさり勝つのも申し訳ないと遠慮でもしているのだろう。苦戦して、なんとか捌いている、という風に見せかけている。器用なことをするものだ。3人は気づいていないようだが、俺とテール、講師の男も気付いているのがわかった。




授業終わり、講師からは俺たち3人は上の学年に混ざって授業を受けることを勧められる。同じ最高位のクラスでも、他の3名と俺たち3名では腕前に開きがありすぎて、1年間が無駄になってしまうのを危惧された。


講師からの申し出なので、事務上の処理を任せることができるし、俺たちに異論はなかった。幸い、曜日が同じで、時間はこのあとの4時間目になるとのことなので、被る科目もなかった。


細かい手続きは後にしてもらい、早速4時間目の2年生、3年生合同の授業に参加した。リセドール学園は13歳で入学、16歳で卒業。実質3年間通うことになるため、3年生が最高学年だ。やはり少し1年生よりも大きく見える。

武術の授業は1年生では、体もまだ小さいこともあり、同じ学年の者だけの授業だが、2年、3年は能力別に合同で授業を行っている。

俺たちのように1年生がこのクラスに参加することも稀にだがあったらしい。



「シャルル君、おっと、後輩だから君付けで呼んでしまったが良かったかな?」

優しげな顔でペドロが近づいてくる。

「問題ありません。2人は初めてだったな。馬術部のペドロ先輩だ。」

テールとフエゴも自己紹介をする。


「1年生が上級生のクラスに参加することは珍しいね。と言っても僕もそうだったんだけどね。」

と言って明るく笑うペドロ。この人は本当に根が良さそうな人だな。


最高位クラスは2学年合同にしては9人と少なかった。俺たちが入って12人だ。

授業が始まって納得した。1年生の同クラスだった3人よりも格段に上手い人が揃っている。

なかでも、ペドロ先輩と赤髪の少女、緑髪の少年は突出している。


俺が興味深そうに見ていると、ペドロ先輩が2人を紹介してくれた。

赤髪の少女はアカサンドリアのナターシャ、緑髪の少年はサファリアのピエールといって、共に2年生らしい。2人はもじもじしている。先程まで普通に皆と打ち合っていたのに、緊張感しているようだ。

「緊張しなくともよいです。お二人は私の先輩なのですから、ペドロ先輩のように普通に話しかけてください。」

と、落ち着かせようと声をかけるものの、より緊張させてしまったようだ。2人とも固まったまま動いてくれない。


仕方なくペドロに話しかける。

「ペドロ先輩は俺に対しても、普通に接してくださいますね。」

と話かける。

「シャルル君が王子だということは知っているのだがな、下級貴族の僕はどうも高貴な方への態度に疎くてね。失礼があったら申し訳ない。」

と屈託のない笑顔を向けてくれる。

「気にしませんので、これからもよろしくお願いします。あと、折角なので剣の手合わせお願いしても良いですか?」

「もちろんだとも!」


ペドロ先輩との剣の打ち合いは楽しかった。

フエゴが力強さ、テールが素早さがウリなのに対し、ペドロ先輩は力強くも技巧に優れていた。

お互いになかなか一本が取れなかったが、最終的に俺が負けた。

「凄いな、シャルル君。2年差でここまでとは。」

と褒めてくれたが、俺の剣の腕はサファリア騎士団よりも上なことを考えると、ペドロの腕がいかに優れたものかわかる。

「ペドロ先輩、強すぎませんか?」

と、つい口から漏れる。

「そうかな?俺は本来騎馬戦の方が得意なんだよ。シャルル君も相当な腕前だけど、騎馬戦ならもっと短時間で倒せたよ。」

と言われてしまった。

テールから、ペドロ先輩の家系はアカサンドリアの騎士団騎馬隊団長の家系で、騎士団の中でも群を抜いて武術に優れていると説明される。


俺は騎乗で剣を振るったことがないので、騎馬戦だと相手にならなそうだ。


「シャルル君は魔法も得意ときいている。剣でもこの腕とは恐れ入るね。世界征服でも目指しているのかな?」

「まさか。国防と、己の鍛錬のためですよ。」

と無難に返す。

強さを追及すると、いらない嫌疑を与える可能性もあるのか。


どうしても考え方がゲーム視点になってしまう。

ラスボスを倒すため強くならなければ、と考えて行動してしまうが、俺はあくまでもサファリア第一王子。現実の自分の立場を考えて行動しないといけない。先日テールにも指摘された通り、他国の状況に疎すぎたり、強くあろうとしすぎると、戦争を起こすつもりかと懸念されたり。

ゲームのことを考えるより、現実を大事にすべきだと改めて実感させられる。


「ただ、剣が上手くなりたいだけです。」

改めて言い直し、ペドロ先輩と再戦する。

フエゴも横でペドロ先輩と戦ってみたくてうずうずしているのがわかるが、自分より剣が上手い人との一戦は心が躍る。

フエゴには悪いが、今日の武術の時間はペドロ先輩との剣技を堪能させてもらった。


武術クラス、同学年の子達が弱かったので上級生と同じクラスになりました。


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