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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園一年生8 街に行くために

帰寮して、侍女のデリアにラファルかベアトリスから伝言が来ていないか確認したが、何も届いていなかった。

「どうかなされましたか?お急ぎのようでしたら、私がお二方のところにお伺いして確認して参りますが。」

と言われたが、こちらから確認するのも気が引けたので、

「大した用ではない」

と断りを入れた。


夕食の場にはテールもラファルもベアトリスも姿を見せず、フエゴだけしか来ていなかった。


フエゴはちょっと気まずそうに俺に話しかける。

「テール様もいないってことは、会えなかったんですかね?来たら怒られるから隠れているのでしょうか?」

「そんなところだろうな。」

もやもやするが、居ない者のことを考えても仕方がない。

「話は変わるが、日曜日は休日にしているが、街に行ってみないか?」

「え!街ですか?平民街ですよ?!」

「それくらい知っている。」

馬鹿だとでも思われているのかとちょっとムッとする。俺だって前世は平民だ。

「そんな、絶対目立ってしまいますし!!」

と焦りまくるフエゴ。

「この学園の生徒が街に遊びに行くことも多いのだろう?なら、街の者達は貴族に慣れているだろう。とはいえ、侍女に平民の服を用意させるから大丈夫だ。」

「いや、もちろんそれもありますけど!服の問題じゃなくて」

と言い淀むと俺の顔を見てくる。言いにくいのか、緊張で顔が赤くなってきているフエゴに、俺から声をかける。

「わかっている。この髪の色だろ?侍女に相談して何か違う色に染めてみるさ。確か洗えば落ちるような染料があるはずだ。」


「、、、侍女によく相談してください。きっと俺より良い案をくれるかと。デリアさんも、中級貴族でこの学園に通ったことがあるはずです。」

「確かにな。戻ったら相談してみることにする。フエゴは平民服は持っているか?お前が横にいると護衛みたいだな。」

体格も良く、考えてみたら髪色だって見たことのない赤だ。そして攻略対象者なだけあって顔もイケメンだ。

「お前の方が浮いてしまいそうだな。せめて髪色だけでも誤魔化した方がいいんじゃないか?染料用意させるか?」

俺がせっかく助言してやっているのに、

「俺のことはいいんです!」

とフエゴは俺のことを案じてくる。治安も悪くない街だし、万が一刺客に狙われたとしても俺とフエゴなら返り討ちにできると思うが。




よくわからない説教をされて、フエゴと別れた後自室に戻り、デリアにフエゴと街に遊びに行きたいと相談する。


「、、、シャルル様、本気でおっしゃっているのですか?」

顔面が蒼白になるデリア。

王族が平民街に行く、というのはそこまで常識外れなのだろうか。いや、父上も学園時代、よく近くの街に遊びに行ったと言っていた筈だ。


「フエゴ様からは申し上げ難かったかと存じますが、私は長年シャルル様のお側付きをさせていただいた経験上、ハッキリと申し上げますわ。」

真剣な顔で俺を見るデリア。鬼気迫る迫力にゴクリと唾を飲み込む。


「シャルル様が平民街に現れたら、阿鼻叫喚の地獄絵図になりますわ。」


なにそれ?魔王ポジション?この世界に魔王っていないはずなんだけど。


「驚かれているようですが、事実、今までシャルル様を初めてご覧になった方々が倒れたり、顔が赤くなっていた光景をご覧になってきたでしょう。」


王族の威光とはそこまでのものなのか、と、思い当たる光景を思い出す。

コクリと頷くと満足そうに頷くデリア。


「耐性のない、平民の方々の街にシャルル様が行かれたら、、、想像するだけで恐ろしいことになるでしょう。」


「平民服を着て、髪を染めれば王族ということは誤魔化せると思ったのだが。」

「そういうことではございません」

ピシャリと言い返され、何も言えなくなる。



「シャルル様、学園の講師の方にご相談くださいませ。」

「どういうことだ?」

「魔道具や魔法陣には容姿を誤魔化すものがあると聞きます。相談されてみてはいかがでしょう?

もちろん、平民服の用意はいたしますので、首から上だけ誤魔化していただければなんとかなるでしょう。」

「流石デリアだ!そんな便利な者があるんだな。」

「私が学園に通っていた頃は、そういった物を利用しなくても良かったので詳しくはありませんが、サファリア王は使われていたようですよ。」

やはり父上も使われていたのか。そんなに便利なものがあるなら教えてくだされば良かったのに。


「ありがとう、デリア。」

俺はデリアに礼を言って寝室にむかう。

相談してみるものだ。これでなんとかなりそうだな。

俺が思っていたより大事になるところだった。







【デリア視点】


シャルル様にも困ったものです。好奇心旺盛なお年頃なのでいつか街に行きたいとおっしゃられると思っておりましたが、これほど早いとは。

フエゴ様が、私に任せてくださって良かったですわ。

何度か、私からシャルル様にそのご容姿の良さが周りに与える影響について申し上げたこともあったのですが、シャルル様は冗談だと受け止められてしまわれました。

王族の御威光のせいだ、と思っていただいた方がご納得いただけるようです。

御同行されるフエゴ様も気が気でなかったことでしょう。恐らく平民街に足を踏み入れられたら、叫び声が飛び交い、バタバタと倒れる者が続出することでしょう。

恐ろしいことです。

学園の講師の方は魔道具や魔法陣の専門家が揃われているそうなので、うまくそういった道具を手に入れると良いのですけれど。

日曜日街にお出かけしたいと思ったのですが、

街に出るのも一苦労なキラキラ王子。

一悶着挟んでみました。


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