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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園一年生 6 テールとシャルル

マリアから遠ざかっても無言でぐいぐいと腕を引っ張っていくテール。

「すまんな、助かった。もういいぞ。」

テールは掴んだ手を離すとため息をつく。

「シャルルはさあ、自覚が足りなすぎるよね。」

不満気な顔だな。

「さっきの話なら終わりにしただろう?平和ボケしているのは自覚した。次期王になる身で考えが浅すぎて、同盟国としては不安になったと思うが。」

殊勝な態度で謝る俺に驚愕したような顔をし、大きくため息をつくテール。

「そうじゃなくてさあ、、、」

「ん?」


さっと腕を取られて壁際に追い詰められる。周りに聴こえないようにか、壁に手をつき、俺の耳に顔を近づけるテール。いわゆる壁ドンの姿勢だ。

「さっきの平民の女にあんな態度とらせていいわけ?」

「マリアのあの態度には迷惑している」

「迷惑しているなら、ちゃんと態度と言葉で示せよ。」

そう言われると、俺なりに厳しい姿勢で避けているつもりだが甘かったかもしれないと思い、目を伏せる。

「すまん、甘かったかもしれん」

数秒の沈黙の後、

「だから、そういうところが無防備だって言ってるの」

と言いながら、壁にやった手を離すテール。

はあーっと大きなため息を俺に聞かせるようにはき、

「シャルルはもっと気をつけなよ」

と助言してくる。

「うむ、もっと毅然とした態度で追い払うようにする」

あまり納得した顔をしていなかったが、一応は理解してくれたようだ。

俺なりに冷たい態度でマリアに接していたが、テールのように厳しい言葉ではないとマリアには響かないかもしれないな。悪役令嬢っぽいセリフって他にどんなのがあったかな。



*****


またラファルとベアトリスが仲良く昼食の席についていた。

「あら、テール様とご一緒だったんですね。私とラファルは午前の授業2つとも同じでしたの。」

「植物学とー薬学でしたー。シャルル様もー植物学はご一緒かとー思ってましたー。」

ごめん、そこまで植物学に興味なくて。学園に着いた後ラファルに庭園を案内してもらったけど、途中から放心していたとは言えない。

「文化の授業と時間が被っていたからな。他国の文化を知ることを優先した。」

「サファリアにいるとー疎くなりますもんねー」

サファリアは恵まれた国なので、贅沢しなければ自国だけで需要が補えてしまう。良いことなのだが、反面他国への関心が薄くなってしまう。

「ああ、そうだな。今もテールと話していて、自国のことだけ考えているのは視野が狭くなりすぎると気付かされたところだ。」

戦争云々の話は避けるが、自国のことだけを考えていた自分の視野の狭さを気付かされた。

次期王としては致命的だ。


「良いご学友ができましたね。」


と嬉しそうに微笑むベアトリス。

確かにな、と思ったら


「きいてよー。ベアトリスちゃん、シャルルさあ、さっき平民の女の子に話しかけられて鼻の下伸ばしちゃってさあ」


固まる場の空気。


「鼻の下など伸ばしていない!嫌そうにしていたのを知っているだろう!」

つい声を荒げる。


「その割に拒絶は俺任せだったよねー」


任せたわけではないけど、追い払ってもらったのは事実だ。

俺が言い淀むと、


「ご馳走さまでした。私は先に失礼いたしますわ」


と言って席を立つベアトリス。顔色も悪いし小刻みに震えている。


「まて、誤解だ」


と追いかけようとすると、こんな目ができたのかと驚くほど冷たい目をして俺の前に立ち塞がるラファル。


「・・・・・シャルル様ー。



見損ないましたー。」



やめてくれ、ベアトリスよりラファルの方が、ゲーム含めて冷たい顔なんか見たことないから心に刺さる。

ベアトリスを追いかけて退席するラファルを俺は追いかけることが出来なかった。

ラファルの軽蔑したような視線に足が竦んでしまったのだ。


「・・・テール?」

テールにゆっくりと振り替える、

おまえ、俺に何か恨みでもあるのか?

戦争でも起こしてほしいのか?


「怖い!怖いよ!シャルル!顔が怖い!」

「2人に誤解されただろうが。何のつもりだ?」

許さん。


「こんにちはー。シャルル様とテール様、何かあったんですか?またテール様、シャルル様を揶揄ってたんですか?」

フエゴが呑気に合流してくる。

俺がテールを睨んでいる状態だったところに入ってきたので、俺の気が抜ける。

「フエゴ、いいところに来たね!もーシャルルが怖くてさー。」

「またなんかいらないこと言ったんですよね。どうしようもないですね、テール様は」

「本当に、いらないことを言ってくれたな」

2人に愛想をつかされたらどうしてくれる。


「・・・テール様、これは本当に怒ってますよ?」

「うん、冗談のつもりだったけど、悪ふざけが過ぎたみたいだ。

ごめん、シャルル。

2人には俺から説明しておくから。」

「誤解が解けなかったら、、、わかっているよな?」

「はい。」

大人しくなるテール。

あの2人の態度からして、説明は難しそうだが、自業自得だ。どうにかしてくれないと困る。


「ここまでシャルル様が怒るのは珍しいですよ?一体何を言ったんですか。」

とテールに詰め寄るフエゴ。

「さっきね、平民の女がシャルルにちょっかいをかけてきてさ、それを2人に誇張して言ったんだ。いや、全面的に俺が悪い。ふざけたつもりだったんだけど、悪ノリが過ぎた。申し訳ない。」


「もういい、テールは早く2人に本当のことを説明してくれ。」


誤解されたままというのは嫌だ。

ベアトリスは説明すれば納得してくれそうだが、ラファルのあの心底軽蔑した、という顔が目に焼き付いている。

誤解だとわかってくれれば良いのだが。

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