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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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33/116

科目選択週間2 図書館にて。

3日目の午後は見学したい科目がなかったので、図書館に行く事にした。


要綱にはサファリア、アカサンドリアの本はもちろん、他の国の本も多数集められているという説明書きがあった通り、かなりの広さだった。

3年間毎日通っても、とても読み切れる量じゃない。


受付にいた、係りの女性に聞くと、大半の図書は借りることが可能だが、一階の奥の特別室の本は持ち出しが禁じられており、一部の本は学園講師や、学園長、王族といった各種権限のある者しか見れないように更に別室に保管されているとのこと。

権限の種類により、見ることができる本が決まっているそうだ。


王族だけが読める本、というのに興味を惹かれ、見せてもらおうとすると高齢の男が出てきた。

図書館長のユラグシアという男だ。

先程の女性は一般司書で、王族だけ、など権限が限定された本の大半はユラグシアだけが保管庫の鍵を開けられると説明を受けた。

ユラグシアは毎日いる訳ではないため、本来は事前予約が必要だが、今日は特別に見せてもらえるらしい。


王族のみが読める図書は資料系が多かった。この学園に通う王族はサファリアとアカサンドリアのみになるため、2国の経済や史実、戦歴等、一般生徒が読めるものより細かいデータが記載されたものだ。

両国の王族が閲覧できるようになっているため、二国間の信頼関係がかなり強固なものだからできることだと思う。

ここにある資料を閲覧すると、相手国のどこを攻めるべきか、ということまで分かってしまうため、通常であれば他国が知ってはいけない内容だろう。


資料以外では、高度な魔導書も存在していた。各属性の高等魔法以上の攻撃力がある魔法や魔法陣が記載されている。

サファリアの王族に伝わる光の究極魔法に関する魔導書は、流石にここにはなかったが、この魔導書に記載された内容はとても危険なものだ。

一つ一つの魔法が強力すぎて、習得できれば国家転覆を狙うことまできるだろう。もちろん、他国に戦争を仕掛ける立場なら、かなり優位に立てるはずだ。

学園に通う王族がこの魔導書を見れる、ということは王族の中に危険思想を持つ者がいれば、世界征服を狙うこともできたはずだ、と背筋が寒くなる。

とはいえ、この魔導書に書かれた魔法も魔法陣も、扱うことができる者は過去、ほとんど存在しなかったはずだ。複雑かつ制御が難しい。下手に扱うと自分にはね返り、術者が命を落とすことになるだろう。


顔を青くしながらその魔導書のページを捲る俺にユラグシアが声をかけてきた。


「その魔導書は、何度も焚書すべきではないかという議論がなされてまいりました。

ご察しの通り、戦争の火種になるものです。

一方で、貴重な本であることも確かです。

平和主義を貫かれるサファリアとアカサンドリアの二国だからこそ、今尚この場所残されているものです。

王族の方にしかお読みいただけない種類の本だ、というのもお分かりいただけたかと存じます。」


「重々承知した。この魔導書を活用することがないことを願う。

ただ、国の危機には有意義な本だ。

扱うことがあるかもしれない。」


ドラゴンに国を滅ぼされそうな時に、と心の中で思う。


*******


その後は、一般の生徒用の図書を見るため、ユラグシアと別れた。

のんびりと様々な図書を手に取り、閲覧スペースでゆっくりと読書を楽しんでいた。


「シャルル様」

ベアトリスが俺の向かいに座る。大きな窓から差し込む光がベアトリスを照らしている。

「もう今日の科目見学は終わりか?」

「はい。

 午後は一つだけ参加して、今こちらに来たところです。」

「何の科目だ?」

「文学ですわ。何冊か面白そうな本をご紹介いただいたので借りにきたのです。」

「ベアトリスは本当に本が好きだな。俺はあまり物語は読まないから、ベアトリスの好きな本を紹介してくれ。」


一緒に小説が並べられているコーナーに移動した。

ベアトリスは悩みながら、俺が好きそうな本を選んでくれている。

俺は基本的に実務書のような本を選んでしまうので、どんな本を選んでくれるか楽しみだ。

「そんなに見ないでくださいませ。」

俺のために本を選んでくれているベアトリスを見過ぎていたようだ。照れているのも可愛らしい。

「俺のために選んでくれていると思うと嬉しくてな。」

と言うと更に顔が赤くなる。

「・・・シャルル様には、この物語がお勧めですわ。冒険譚ですが、空想だけの物語ではなく、作者が冒険者で実際の冒険に基づいておりますし」

ノンフィクションに近いジャンルかな。

「ベアトリスも好きな本か?」

「ええ。この方の書かれる文書は描写が細かくて、その場に自分がいるような気分にさせてくれるのですわ。魔物との戦いや、行ったことのない場所を体験したような気分にさせてくれるのです。」

「それは楽しみだな。読み終わったら感想を伝える。」

「ええ、是非。」

ぱっと明るい笑顔でこちらに顔をむけてくれるベアトリス。

良い笑顔だ。

「ベアトリスが1番好きな物語はどれだ?それも読んでみたい。」

と言うと、困り顔になってしまった。

「1番好きな本は、、、女性が好んで読む恋愛を題材にした物語なのです。シャルル様には退屈なお話かと。」

「ベアトリスが好きな本なら読んでみたいんだけど。」

「・・・読まれたら呆れられてしまいますわ。空想だけのお話ですので。」


何度かやり取りをして、結局差し出してくれた本を受け取り、それも借りることにした。


******


冒険者の本は面白かった。色々と参考になることもあり、ベアトリスが言った通り、臨場感のある本だった。


もう一冊の恋愛物語は、身分差のある男女が最終的にはうまくいく話だ。読んでいると顔が熱くなってしまう内容だった。主人公の男性の台詞や行動が芝居がかっているというか、キザというか、俺からすると恥ずかしく感じてしまうものばかりだった。

ベアトリスがこの小説を好き、ということはこの本の主人公のように甘い言葉が好きなのだろうか。

物語だから良いのであって、現実で言ったらドン引きされそうな気がする。

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