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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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29/116

登校初日 3

俺は困惑する3人を置いて帰寮した。


フラフラとした足取りで立ち去る俺に何か声を掛けて来ていたように思うが、完全に余裕を無くしてしまった俺には霞がかかったようにしか聞こえなかった。


急な俺の帰りに驚いたデリアの呼びかけにも応じず、すぐに寝室に引きこもる。

俺は「光の乙女の楽園ノート」を読み漁る。

何が重要なことかも、この世界の常識も判断がついていない時に書いたこのノートには我ながら不満しかない。


まだこの世界の常識を何も知らない状態で書いたのだから仕方ないと思うのだが、主人公マリアから見たゲームの攻略視線で書かれた内容は物足りなさを感じてしまう。

攻略対象者のシャルルに転生しているということがわかっていながら、書く内容が稚拙すぎる、と自分を責めざるをえない。


とはいえ、過ぎ去った過去は変えようがないため、自分を責めても仕方がない。


俺は諦めてノートを見直した。




攻略方法で、シャルルや他の攻略対象者と2人パーティーでも攻略できていた。

ただ、基本的にマリア含め4人パーティーが主流。

どの組み合わせでも攻略していた。

そう思うと今5人で、しかもゲームよりも戦闘能力が高いと思われる状態なので過剰戦力なくらいじゃないかとも思う。


1番重要なことは、

「主人公のマリアが参加しなければいけないか」

という設定だ。

そもそも、我が国サファリアには騎士団があるし、王宮魔導士という制度もある。

学園を卒業したばかりの若者が戦いに赴くなど、普通に考えておかしい。

しかも、俺のような次期王になる王太子が戦いに参加するなど、どう考えても常軌を逸している。


昔からノートを読み返して、

何故マリアがドラゴンを倒しに向かうのか

攻略対象者がそれぞれの立場がありながらなぜ同行するのか

騎士団や王宮魔導士はなぜ出陣しないのか

と疑問に思っているのに、それに答える内容がない。


乙女ゲームのご都合主義なのか、

「ドラゴンが街を破壊しているわ。戦いに行きましょう!」

と、マリアの声がけで戦うことになるし、

マリアにベタ惚れの攻略対象者は当然のようについていくし。


俺が書いたノートからだと、

これって別にマリアいなくていいんじゃね?

と思ってしまう内容ばかりだ。


主人公にしか手に入れられない武器とか魔法とか。

主人公だけがラスボスと戦える条件とか。


ノートを見る限りではそういったものは見出せない。

とはいえ、俺の限られた、且つ偏った知識で書かれたノートの情報を100%信じることはできない。


俺は一つの可能性として、マリアがいなくてもドラゴン討伐は成り立つ可能性を見出した。

ただ、その可能性に賭けるにはリスクが大きすぎる。


ゲーム上では語られていない、もしくは語られていても俺が覚えていない設定があるかもしれない。

凡庸な人間であるマリアが主人公である必然性が存在するかもしれないのだ。


もちろん、乙女ゲーなので攻略対象者との恋愛が第一目的で、細かい部分はどうでも良かったのかもしれない。寧ろその可能性が高い、と思う。


だが万が一、細かい設定が存在していて、マリアがいなければクリアできないとしたら。

その可能性が否定できない限り、恐らく能力値が高くないマリアを育て、一緒に強敵と戦う必要があったとしたら。

俺の学園生活はハードプレイすぎるのではないか。


マリアと仲良くなりつつも好感度を上げ過ぎず、かつ彼女の各能力を上げるようにしなければならない。せめて足手まといにならないように。


ゲームの中で、マリア1人で攻略するより難易度が高いのではないか。


いや、でも攻略対象者の大半と、悪役令嬢としてマリアと敵対するはずだったベアトリスは俺と戦ってくれそうだ。


マリアは同行するくらいでも何とかなるのではないか。

いや、やはり主人公として、何か彼女がいる必要があるんじゃないか、と思考が堂々巡りする。




結論として、考えてもわからないことは考えないことにする。


マリアがエンディング、つまり平和な未来のトリガーになる可能性が残っている限り、マリアと行動を共にする。


でも好感度は上げ過ぎず惚れられないようにする。


マリアの能力値はあげるよう助力する。


という考えでやっていこう。

状況を見ながら即判断。


ちょっとしたことで、どんな影響を及ぼすかわからないので、随時方針転換を行なっていかないといけない。

本当に頭が痛い。




頭が痛いといえばテール。テール・ロドリック。

チャラチャラした言動に頭を悩まされた数日だが、あの態度は彼本来のものではなさそうだ。

今日の気配の消し方について話す際、俺が気づくか試すように仄かしてきた。


数日であの面倒な性格にはうんざりしていたので、彼本来が違う性格なら本来の姿で接してもらいたいものだ。

まあ、なかなか、そうもいかないのだろうけれど。




ご覧いただきありがとうございます。

ブックマーク、評価、感想いただけるととても嬉しいです!PV数とブックマークの差に驚いています。

スマホで書いてあり見直さすアップしているので誤字だらけですみません。誤字脱字報告もとても助かっています!

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