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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第一章【学園入園前)】
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フエゴ 12歳 冬

俺はフエゴ・アルカンタラ。


物心ついた頃から親父の騎士団長アランを目指して剣の修行に励んでいて、俺も剣の道を極めていつかは親父のように騎士団長になるんだ、と思っていた。


そんな俺は7歳でシャルルと出会ってから色々とおかしい。


大っ嫌いだった勉強もするようになり、魔法も中級魔法まで使えるようになった。

教師役のユアン叔父さんには、2年で中級魔法を扱えるなんて充分凄い、と褒められたけど、、、。


一緒に魔法を勉強している他の3人が凄すぎて、まるで褒められている気がしない。


シャルルは元から規格外なので置いとくとして、ユアンの息子のラファルはもちろんのこと、ベアトリス様も高等魔法まで使えている。

俺が使える中級魔法の上が上級魔法。その上が高等魔法だ。


高等魔法は学び始めて数年で唱えられるようなものではなく、呪文が唱えられても魔力が足りなくて発動できなかったり、発動できてもコントロールできなかったりするらしい。


流石に2人ともコントロールまではまだ上手く出来ていないらしいが、それでも発動できるだけでも凄いことだ。一生かけても中級止まり、ということもザラで、上級魔法が使えるだけでも凄いことなのに。

ちなみにシャルルはコントロールもできているそうだ。


ラファルとベアトリス様は俺と魔法の勉強を始める前から魔導書で勉強していたとはいえ、12歳でここまで魔法を使えるなんて異常なことだ。

おかしすぎるシャルルがいなければ、大きな話題になったことだろう。


3人の実力は今のところユアンと王族、一部の関係者以外には秘匿されている。

学園入園前に高等魔法を習得しているなんて、異例すぎることなので公にしない方がいいだろう、というユアンから王への進言があったらしい。


まあとにかく、そんな3人と一緒に習っている俺としては肩身が狭い状態ではあったのだが、魔法を極めよう、という思いがあって勉強しだした訳ではないので本音ではあまり気にしていない。


シャルルと一緒にいる時間を増やしたい、俺のいない時間に他の奴らと仲良くなって行くのが我慢できない、という不純な動機で魔法の勉強に参加したからだ。


今ではシャルルのことを女性だと勘違いする奴はいないだろう。

身長も伸び、相変わらず細身ではあるものの、筋肉がついた体、キリリと引き締まった顔、どこを見ても男性のものだ。

俺の気持ちはあくまでもシャルルが女性だったら、というものだったはずだが、もうこんなに男性らしくシャルルが成長した今となっては、自分に言い訳ができなくなってしまった。


5年前に初めて会った時から、いつも会うとドキドキしていた。


王族だから緊張しているんだ、女性として見ているからだ、と自分に言い聞かせてきたが、王様に会ってもシャルルと会うより緊張せず、年々男性らしさが増すシャルルに対する思いが変わらないことを自覚してしまうことになった。




魔法の授業を始めてから、ベアトリス様と初めてお話した。

とはいえ、最初の頃は授業の中で、一言、二言程度の会話とも言えない内容だけだ。


俺はそもそも女性とは殆ど話したことはない。

茶会や夜会への参加は断ってばかりだし、まともに会って話した事があるのは親戚くらいだ。

そんな俺は、女性と話す内容が思いつかない。何か話しかけてもらえれば頷くくらいはできるが。


ベアトリス様も男性と話すことはほぼ無いようで、お互いに要件がなければ話さないままだった。


俺と同時期にベアトリス様と知り合ったラファルは、俺と違いベアトリス様とよく話している。

何をそこまで盛り上がることがあるのだろう、と思う。


女のような容姿とはいえ、婚約者のシャルルの前で異性のラファルがそんなにベアトリス様と話すのは良くないのではないか、と思ったが放っておいた。

シャルルは案の定ヤキモチを焼いていたようだが、その内気にしなくなっていた。




ベアトリス様は最近になって武術も身につけたいと相談してこられた。

どうみてもか細いベアトリス様は武器一つ持つこともできないのでは無いか、というのが正直な思いだ。

魔法であれだけの実力を示していれば充分だと思うのだが、魔法だけで対応できない際の凌ぎとしてお考えのようだ。魔法の詠唱時間を確保するのであれば、中距離の武器。鞭やモーニングスターも頭に浮かんだが、鞭だとかなり技術が必要になるし、モーニングスターを振るうためには腕力が必要だ。

武器で戦い抜くのではなく時間を稼ぐ、という目的だと槍が最適だろうと提案する。

俺にとっての魔法と同じく、ベアトリス様にとって武器はあくまで補助目的なのだ。


とはいっても、槍を持つだけで折れそうなか細い腕なので、素振りができるまでにもかなりの時間を要しそうだと思い、筋力を上げるためのトレーニング方法を伝えたり、様子をみたり、とベアトリス様と話す機会が増えてきた。


ベアトリス様は真面目な方だ。シャルルの助けになりたいと、自分を磨かれていらっしゃる。

貴族の淑女であらせられるのに、強くなることを自分に課しておられる。

そこまでしなくても、シャルルは充分に強い。剣も魔法も使える男の妃になる女性がなぜこんなに頑張るのか俺には理解できない。

俺が知っている女性はイフリータ伯母はさておき、通常の貴族女性は花やドレス、宝石にしか興味がないような者ばかりだ。


ベアトリス様もまた、シャルルと同じく俺が理解できず、尊敬を向ける対象となった。




授業の際にも、気がつくとシャルルはベアトリス様を目で追っている。

ベアトリス様もシャルルを見ている。

目が合うとお互い晒すが、いつの間にかまた見ている。2人が惹かれ合う光景は目の毒だ。

魔法の授業を一緒に受けるのは間違いだったのではないか、と何度も後悔した。


でもこれで良かったのだ。愛し合う2人を見ていれば、いつか自分の気持ちに踏ん切りをつけられる。

まだ今は厳しくても。




年が明けると学園で皆一緒に過ごすことになる。

同年代の子女と会う機会が一気に増える。

シャルルへの想いを断ち切れる出会いがあると良いのだが。

アクセスを見ると、とても沢山の方にご覧いただいていて、驚いています。


続きが読みたいな、と思ってくださる方は評価、ブックマークいただけるととても嬉しいです!

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