光の乙女の楽園ノート
俺は久々に光の乙女の楽園ノートを見返した。
ペンが握れるようになってすぐ、日本語で書き記したものだ。
学園入学する時には13才。
その頃には前世でやったゲームのことなんてほとんど覚えていないだろうと思い、記憶の限りゲームの内容を書き記したノートだ。
まず、まだ会っていない登場人物の欄から確認する。
主人公 平民の娘 マリア。
平民でありながら、王族しか持たないはずの光属性を持ち、特例で貴族だけが入学する学園に入学。
誰に対しても分け隔てなく優しく接する。
学園時代の育成により得意分野が変わる。
まあ、主人公は特に見るべきところはないか。
学園でどう過ごすか、どの分野を育てるかはプレイヤー次第だからな。
会えていない攻略対象者の方が重要だろう。
水の攻略者 スルス
青髪長髪。眼鏡クールキャラ。
魔導書研究室で会うことが多い。
好きな料理 紅茶
好きなデートスポット スケート場
・・・・
紅茶は料理ではないだろう!?と思わず突っ込んでしまう。
いや、待てよ。確かマリアが手料理が得意で各キャラクターに手作り料理を渡して好感度を上げるはず。恐らくスルスは好きな料理が無いのだろう。
デートスポット スケート場って、、、そんなものはこの世界にはない!
まあ、学園ものだから、校内にあったんだっけな?
こちらに転生してから見たことないぞ。
ゲームの中では家名も最初に会う時しか出てこなかったから一切覚えていなかった。ファーストネームだけだとどこの家の人間か特定できないんだよなあ。
我ながら、もっと書き記しておくべき内容があったのでは、と項垂れる。
続いて土の攻略者 テール。
茶色短髪。双剣使い。不良キャラ。
屋上で会うことが多い。
好きな料理 チョコレート
好きなデートスポット 公園
・・・・・あまり参考にならないなあ。
ファーストネームと、よく会う場所がわかれば学園入学すれば会えるとは思うが、色々とイベントを発生させているのだからもっと個人について深掘り出来たのでは。
せっかくなのでもう会っている攻略者も見てみる。
光の攻略者 シャルル
金髪。キラキラ系王子キャラ。
図書室で会うことが多い。
好きな料理 手作りのものはなんでも。
好きなデートスポット どこでも良い。
・・・・・。
うん、まあ、いいか。
メインの攻略キャラだから1番攻略しやすい設定になっていて、マリアにベタ惚れでなんでも喜んでくれるんだよね。
火の攻略者 フエゴ
赤髪長髪。ツンデレスポーツマンキャラ。
運動場で会うことが多い。
好きな料理 手作りのものはなんでも。
ただし好感度が上がるまでは受け取らない。
好きなデートスポット 野外
思わず吹き出した。ツンデレ!?そんなんだっけ?
まあ、俺とマリアでは立場が違うし、女の子には冷たくしてしまうのかな?
俺が知っているフエゴは、俺には礼儀正しくしようと思っているもののちょいちょいヤンチャな部分が漏れている。まだ仲良く無いマリアに対し冷たくして、好きになったらデレるとか、ものすごく見てみたい。
風の攻略者 ラファル
緑髪セミロング。弟系ゆるふわキャラ。
教室で会うことが多い。
好きな料理 カップケーキ
好きなデートスポット 街中以外
確か教室で休み時間寝ているところに声をかけるシーンが定番だったな。
ショッピングには全く興味がなくて、デートスポット街中を選ぶと、眠そうな顔をずっとしていた気がする。
攻略対象者の情報はいまいち参考にならなかったな。
その他の登場人物欄のベアトリスを見てみよう。
悪役令嬢 ベアトリス
闇属性。嫌味な貴族。シャルルの婚約者。
「お行儀がなっておりません」「殿下のお傍は私の場所です。」「平民風情が」とマリアを苛める。どのルートでもマリアを苛めるため、卒業パーティーでシャルルの婚約者ではなくなる。
・・・・・それだけ??
成績関連とか、容姿とか、嫌味を言うこと以外に書くことなかったの、俺?
仲間になるルートはなかったから、パラメータ分からないのは仕方ないけれど、もっと情報が欲しい。
あと、覚えていなかったけどシャルルルート以外でも婚約解消してしまうんだっけ。悪役令嬢って本当に扱いが酷いよね。
今の王族教育を受けた俺が改めてこのノートを見ると、嫌味の内容が嫌味に感じない。公的な婚約者の立場の令嬢なら当然のセリフに見える。
まあ、平民風情っていう言い方は無いと思うけど、
「お行儀がなっておりません」は王族に対してのマリアの所作についての嗜めだと思うし「殿下のお傍は私の場所です。」も当然だよね、という感覚だ。
これって、シャルルが、公的な婚約者であるベアトリスを蔑ろにしたからのセリフだよね。
あーシャルルにイライラする。
マリアに惹かれたのは仕方ないにしても、相手平民だよ!?
自分の立場分かってるの?
将来王になる第一王子が平民と結ばれることはない。一応この国の法では第三王妃まで持つことが許されているけど、ここ数代の王は妃は1人だけしかとっていない。
そして、例え第三王妃であっても平民が入ることはない。マリアが平民であることを考えると、いくら光の属性を持っていようと、よくて妾扱い。ただ、妾を持つような王は国民の信頼を得られるとは思えない。
ゲームだから仕方ないかもしれないけど、第一王子として10年を過ごした俺はこの世界での常識に染まった俺としてはどうしても納得できないストーリーだ。
例えゲームでのベアトリスが嫌味な性格であろうと、あそこまで蔑ろにするというのは考えられない。
ゲームの中の「シャルル王子」は思慮に欠けるにも程がある。
俺がこんなにイライラしてしまうのも、王子としての常識以上に、現実に会っているベアトリスのことが頭に浮かんでいるからだということは分かっている。
そういう意味では、マリアに懸想するゲーム内での「シャルル王子」と今の俺は似たり寄ったりなのかもしれないな、と気づき、ノートを閉じる。
いつもお読みいただきありがとうございます。
評価、ブックマークいただけるととても励みになっています。
いつかまとめて誤字やら読みにくい部分修正したいと思っています。




