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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園1年生53 冬季休業について検討

学園1年生53

学園祭が終わると一気に皆の話題は新年に移る。


学年末の試験はあるが、他にこれといって大きなイベントがないからだ。

乙女ゲームが主体となっている世界のはずなのに、クリスマスは無い。

クリスマスはイエスキリストの生誕祭だが、この世界に彼は産まれていないので仕方ないのだが、こじつけ的なイベントがあるかと思ったが何もないのだ。

この世界では新年の祝いが1年の中で最も大きい意味を持つ。


ベアトリスとの婚約を発表されたのも新年のパーティーだったな、と思い出して懐かしい思いになる。

あの頃のベアトリスは初々しかったな。まだ人見知りが激しくて、兄のフェルディナンドが番犬のように彼女を守ろうとしていた。

当時はなかなかベアトリスと会わせようとしないフェルディナンドを鬱陶しく感じていたが、彼のおかげで俺の他に悪い虫がベアトリスにつかなかったことを思えば番犬として役に立っていてくれたと感謝しないでもない。


そんなベアトリスも今では友人も沢山いて、当時のように髪色や眼の色を揶揄されることもなくなったようだ。

その代わりに、神秘的だと神聖視されるきらいがあり、ただでさえ美しい容姿だけでも人目を惹きつけるというのに、ベアトリスの周りには人が集まる。

周りにいる者はとうっとりとした目でベアトリスを見つめているので、女性であっても危ないんじゃないか?と心配になる。

ベアトリスはそれを指摘してもきょとんとした顔で可愛く驚いて、心配しすぎです、と朗らかに笑う。

よくある、鈍感系ヒロインか!と心の中で突っ込みを入れつつ、俺の心配は絶えない。

こんなに可愛くて周りから慕われているのに気付かないなんて、大丈夫だろうか?変な虫が寄ってこないだろうか?

それとなく周りの令嬢に確認しても、俺の婚約者だと周知されている中で何かしようとする者は殆どいませんよ、と笑い飛ばされる。

殆ど、ということは一部いるんじゃないか!とヤキモキする。

そういった不埒な輩はベアトリスではなく、周りの御令嬢達が対処してくれているらしい。

どう対処しているか気になって聞いてみたが、うふふ、という御令嬢独特の笑みに隠されてしまった。

恐るべし、御令嬢パワー。





ベアトリスとの定期的なお茶会にて、話題は当然のように新年のパーティーの話になる。

毎年王族主催で新年のパーティーが開かれるため、俺はもちろんベアトリスも参加する。


俺達は婚約者同士のため、服装にも共通点を持たせよう、という話になった。

お互いの目の色の服を纏う、というのが一般的な婚約者同士の服装になるが、俺の目の色はサファイアカラー、濃い青で、ベアトリスは紫色。

なかなか派手な色味の服になってしまうのだ。

髪色にしても俺が金、ベアトリスが黒。

目の色にしろ、髪の色にしろ、工夫しないと派手になってしまう。

入園式の際には俺の髪色に合わせてシャンパンゴールドの装いを2人で合わせたが、1番無難な色だったように思う。


「今回は私の瞳の色でもよろしいでしょうか?」


ベアトリスから、提案された紫色。


かなり難しい色だが。


「もちろん、構わない。

そのままの色でも良いが、ベアトリスの瞳の色は私達の年齢では難しい色味だ。色調を変えても良いだろうか?」


ベアトリスの濃い紫と薄い紫が混合した瞳の色は、濃い紫の印象が強い。

俺達の年齢でその色を纏うと些かシックになりすぎる。

よく見るとベアトリスの瞳は鮮やかで薄い色の紫も入っているので、こちらの色にあわせた方が我々の年齢には合うだろう。


「シャルル様のご希望の通りにしてくださいませ。楽しみにしておりますわ。」


そう言って微笑んでくれるベアトリスが愛おしい。


「絶対に似合うドレスを仕立てるから、楽しみにしててくれ。デザインの希望はあるか?」


「お任せしますわ。サイズは侍女からお渡ししますが、シャルル様はご覧にならないようにお願いいたします。」


「勿論だ。そこまで恥知らずではない。」

といいつつ、ギクリとした。

服の採寸となると、スリーサイズどころではなく、色々と細かい数値を測ることになる。

腕の長さ、身丈、肩幅なんかは良いが、アンダーバストや胸幅なんかも測る。


グラビア雑誌に記載されたアイドル達のスリーサイズは、前世の妹曰く「ありえない」数値だということだった。「いや、このウエストで53センチとかないでしょ?65はあるね。てか、バスト87だったらもっと巨乳だし。」なんて、サバ読み状態を指摘しまくっていた。俺からするとよくそんなことがわかるな、と不思議に感じたものだ。女性のウエストは50センチ代が普通だという男性の常識にため息を吐かれたものだ。折れそうなほど細い腰でようやく50センチ代だ、といわれてもよくわからなかった。


どうみても素晴らしいプロポーションのベアトリスの数値がどの程度なのか知りたいと思う男心は許されても良いのではないだろうか。

実際の女性がどれくらいの数値なのか知ってみたい。


「…………デリア様に私の侍女から直接お渡しさせていただきますね。」


「………………はい。」


何故か心の声が漏れていたようだ。

デリアに聞くのも憚かれるし、きいても教えてくれないんだろうなあ。デリアに虫を見るような視線を贈られることを想像して、ベアトリスの採寸表を見てみたい、という密かな願望を見送ることにした。










「え?うちに来る?」

「泊めてー。」


軽い感じで言われてつい、いいよ、と返してしまいそうになった。

年末年始の冬季休みの期間、テールが泊まりに来たいと言ったのだ。

俺達の立場を考えると友人同士のお泊まり会とは訳が違う。

アカサンドリアの王子がサファリアの王宮に泊まるというのは立派な外交になる。

こんなに軽々しく風呂で話す話ではない。

はずだ。


「いいじゃん、迷惑はかけないからさあ。」

「テール、お前がサファリアに来ること自体が大事なんだぞ?」

だいぶテールに対して気安くなったフエゴが諌めてくれる。テールはこんなでも王族だからフエゴも暫く敬語で対応していたのに、今ではすっかり普通に接するようになっている。俺に対しては普通な時とかしこまる時があるんだけど。あれ、テールとの方が仲良くなってないか?


「父上に相談はしてみるが、アカサンドリアで新年を迎えなくて良いのか?」

新年はこの世界では1番大切にされるイベントだ。

国が違ってもその点は変わらないはずだ。

その国の王子が新年のパーティーに出席しないというのは良くないんじゃないだろうか?


「俺の他にも父上にはいっぱい子供はいるし、俺が出席しない方が心穏やかになれる人もいるからねー。これを機会に俺の悪評流せるしいいんじゃないかなあ?」


へらへらと笑って言うことかな?

俺とフエゴは顔を見合わせる。


「むしろ、アイツは王位を狙ってない、と思ってもらえた方がいいし。俺は国に居ない方がいいんだよお。」


重い。

重いんだよ!お前は!


「わかった。

幸いまだ日数もあるし、お前が来る準備は頼んでおく。

あまり派手に歓迎しない方が良いだろう?」

「うん、王子待遇ではなくシャルル殿下の御学友?って感じでよろしくー。」

流石にそれは無理かな。

他国の王子を出迎えるとなるとそれ相応の準備は必要だ。

「あまり仰々しくならないようには伝えておく。流石に新年のパーティーでは紹介させてもらうからパーティー用の装束は用意しといてくれ。」

「了解!冬休み楽しみだねー。」

にこにこと機嫌よさそうにするテールと対照的に俺とフエゴは今後の準備を考えてゲンナリした顔をした。


とはいえ、冬季休暇の間もいつも通り楽しく過ごせそうだ。


「あ、そういえばスルス先生のことが好きなエスタニアの王女がいてな、一度遊びに行こうと思っていたんだが、年始に行かないか?」

ミラドーナのことを思い出して提案してみる。

思い立ったら吉日、という言葉の通り、いつか行こうと思っていると永遠に行くことはない。思いついたら即実行が俺のポリシーだ。


「え?スルス先生を?その話知らないんだけど。てか、俺、サファリアだけでなくエスタニアにも行っちゃっていいのかな?」

「ミラドーナ様でしたっけ?夏季休暇の後にお話いただいたような。他国に行くのは初めてです。」

2人とも食いついてきた。

「俺も他国に行くのは初めてだ。思い付きで話してしまったが、ちゃんと詰めないとな。ミラドーナにも連絡してみよう。」

スルスにも話を通さないとな。

ポリニャック領から行くことになるし、スルスを連れて行かないとミラドーナは納得しないだろう。

寧ろスルスを連れて行ってミラドーナと2人にしてやっても良いかもしれない。彼女から感謝されるだろう。


「新年が楽しみです!」

とフエゴから喜びの声が漏れるが、まだ決まった話ではない。

「まだ数ヶ月あるから調整はするが確定した話ではないからな?ダメだったらいつも通り新年から魔物退治だ。」

「望むところです!今回はテールもいるし、沢山狩れるんじゃないでしょうか。」

「流石に他国の王子を連れ出せないだろう。」

「いいよー。そっちも面白そうじゃん。」

気軽に言ってくれるが、流石に他国の王子を魔物討伐に同行させることはないだろう。

じとりとした目で睨むとアメリカのドラマみたいにやれやれ、という形で両手を広げられた。


「…………はあ、テールはもう少し王子だという自覚を持ってくれ。今後の予定についてはまた調整次第伝える。」


「了解!」

「かしこまりました!」


冬季休暇も忙しくなりそうだな。


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