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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第二章 学園編
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学園1年生54 冬季休暇調整

あけましておめでとうございます!更新ぼちぼちで恐縮ですが、今年もよろしくお願いします

学園1年生54

【スルス視点】


「私の冬季休暇の予定?」


私の部屋に来たシャルル王子から冬季休暇の予定を聞かれた。

夏季休暇を活用して我が領にお越しになった後なので、流石に立て続けにポリニャック領の視察ということはないだろう。

訝しんだ私に、シャルル王子が困ったような顔をして打ち明けられた。


「夏季休暇の際にミラドーナ嬢からエストニアへの招待を受けていたのを覚えていらっしゃいますか?早速年明けにでも行きたいと思ったのです。私にとって他国との初の外交になります。エストニアと親交があり、私との繋がりもあるスルス先生のご都合がよろしければ、同行してもらいたく、ご予定をお伺いしました。」


なるほど。そういうことか。

確かに私が適任だろう。

新年は王城でのパーティーの後は自領にいる予定だったが、そういうことなら問題ない。

「かしこまりました。エストニアの案内なら任せてください。ミラドーナに連れ回されたおかげでかなり詳しくなっていますよ。」


「ありがとうございます、スルス先生。

まだミラドーナ嬢にも父上にも許可をいただいていないため、予定は流れるかもしれませんが、まずは先生のご予定を確認させていただきました。」


「私の予定がつかなければエストニアには訪問しなかったのですか?」

「はい。他国に赴くのが初めてなので、既知の方に同行いただきたく存じます。スルス先生の同行が厳しければまた別の機会にと考えておりました。」


私ありきの予定、というシャルル王子の言葉につい心が躍ってしまう。


一方で私はしばし考える。

サファリア王子の正式な訪問となれば準備期間が短すぎる。

ポリニャック領の際も短期間の準備だったが、他国となれば色々と問題が多かろう。


「シャルル王子、君は外交が初めてだというのは理解しているが些か予定を立てるのが急すぎる。受け入れる側のことを考えると他国なら最低でも半年、出来れば一年は欲しいところだ。君は王族で、しかも王太子だ。ミラドーナのポリニャック訪問は完全に特例だと考えてくれ。

この件について、私から言うのは筋違いだとは理解しているが、苦言を呈させてもらった。

本来の外交スケジュールについては宰相殿からでも詳しく聞くといい。まあ、エストニアは気軽な国柄なので問題なく受け入れられるだろう。恐らく今回はお忍びのような形での訪問になると推察する。よくサファリアの中枢の方々と相談してくれたまえ。」


教師としてこれくらいの釘の刺し方で良いだろう。

前回我が領に来たミラドーナの悪例がある為、シャルル王子も気軽に考えていたのだろう。頭のいい子だが、やはりまだまだ子供だな、と少し微笑ましく感じながらも、緩みそうな口元を引き結んだ。








【シャルル視点】


「国王様からのご返答です。」

数日後、侍女のデリアから封書を受け取った。

スルスの予定を確認してすぐ、アカサンドリアの第五王子テールを冬季休暇に連れて行って良いか、友人のミラドーナを訪ねてエストニアに行っても良いかの確認のため父上に封書を送った返答だ。


基本的には我が国では問題ないが、念のためアカサンドリア国並びにエストニア国にも確認をとる、という内容と、エストニアにはスルスが指摘した通り、大々的な訪問という形ではない旨で進めるという内容だった。

そして、もっと早く言え、勝手に決めるな、というお小言が畏まった文章で書き連ねてあった。勝手に決めたわけではなく、事前に相談するための手紙だったのだが、問題は確認を取るまでの期間の短さなのだろう。


父上の返答があってから、と思っていたため、ミラドーナへはまだ連絡していなかった。

ミラドーナへの手紙と、父上への謝罪の手紙を認め、デリアに渡す。ミラドーナへ確認が取れるより、サファリア国王からエストニア国王への確認の方が早いだろうが、一応連絡はしておいた。まあ、ミラドーナのことだから後付けで良いだろう。


「シャルル様、楽しそうですわね。」

デリアは笑顔でそういうが、俺としては手紙を書くのに疲れた顔をしているように思うのだが。


「こうやってお休みの調整をされているのが、なんというか、学生らしいというか。青春ですね。」

実際の母よりも乳母であったデリアの方が母親らしいので、こんなことを微笑ましく言われると恥ずかしい。

押し黙った俺はきっと顔が赤くなっていたことだろう。








「という訳で、父上からも一応許可が出た。ベアトリスとラファルは新年、俺と一緒にエストニアに行ってくれるだろうか?テールも一応国に確認してくれ。」

夕飯の席で皆が揃った段階で、テールが冬季休暇サファリアに来る件とエストニア訪問の件を改めて説明した。

フエゴとテールと俺で風呂場でノリで進めた案件だったのでベアトリスとラファルにも説明したかったし、進捗についてスルスの同行と父上の話も全員へ共有しておく必要があった。


「はあー。いきなりの話ですねえー。エストニアには行ってみたかったので僕も父上に確認しますー。」

「テール様もサファリアにお越しになるのですね。どんな歓待がよろしいかしら?アカサンドリアの方が新年パーティーに参加されるのも珍しいことですし、楽しみですわね。テール様は苦手な食べ物はないかと存じますが、生活様式など違うところもあるかと存じますので後程詳しくお伺いしてよろしいかしら?エストニア訪問の件と併せてお父様にお伝えいたしますわ。」


ラファルは乗り気なようだ。ベアトリスはもてなす側の目線で食いついてくれた。俺よりよっぽどしっかりしている。


「俺の方は兄上経由で父上には許可は出ているから大丈夫ー。」

テールは既に許可をもらっているらしい。こういうところはそつが無いな。


「楽しみですね、冬季休暇。」

「ああ、楽しみだ。」


調整は面倒ではあるが、休みの間も楽しく過ごせそうだ。

第二の人生の学園生活。デリアの言う通り青春しているなあ、と笑ってしまう。

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