102学園祭当日10演劇男装騎士は月夜に夢を見る8
102学園祭当日10演劇男装騎士は月夜に夢を見る8
ベアトリス視点
シャルル様主演の「男装騎士は月夜に夢を見る」は、連載中の小説です。
つまり未完。
今回の劇をどういう終わり方にするかは私含め、脚本チームで意見の分かれるところでした。
やはり、劇としては終わらせないといけないため原作を無視して誰かとくっ付ける、という意見と原作を尊重して、まだ誰ともくっ付けないという、2つの意見。
さらには、前者は誰とくっ付けるか、後者は現在公開されている小説のどの場面で終わらせるのか、というところまで話し合い、脚本チームの皆それぞれこだわりがあって、全く意見が纏まりませんでした。
脚本チームに入ってくださった皆様は勿論原作のファンの方々ですので、本当に、本当に……こだわりが強い方々でしたので、ご自分の嗜好を曲げることは出来ませんでした。
最終的に埒があかない、と皆理解して、私に全てを任せることで、他の誰の意見も通さないという強硬策を皆様からご提案いただきました。
私なんかの意見を通すなんて、と最初は固辞しましたが、このままでは永久に纏まらない、ベアトリス様の意見なら皆従う、と皆から涙ながらに懇願され、不承不承引き受けました。
誠に勝手ながら、私は原作を曲げることは良しとしない流儀のため、シャルル様が誰ともくっ付かないまま、劇を終わらせることとしました。
しかも、小説の最新版では新たな展開が今後予想されるため、かなり中途半端な、シャルル様が護衛騎士に就任して少し経った辺りで。
ただ、観覧なさった方々がモヤッとした気持ちを持ったまま、来年に続く……という期待を持たせて終わりにしました。
申し訳ありませんが、シャルル様方々には来年の学園祭で続きを演じていただくことになりそうです。
そうでなければ来年の学園祭にお越しになった方々から顰蹙を買ってしまいます。
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ああー恥ずかしかった。
王女の護衛騎士になった後、会いに来たフエゴが演じる騎士見習いに告白めいた台詞を言われたり、ラファル演じる王宮魔術師に囲い込まれるヤンデレ気質な台詞を言われたり、テール演じる隣国王子に国に来ないかと誘われたり。
俺が演じた男装令嬢は、ここまで3人にアプローチされていて、自分が愛の告白めいたことをされていると全く気付かず、真面目に受け答えするなんて、鈍感にも程がある。
小説の中とはいえ、ここまで鈍い人間なんて存在するのだろうか?
演劇の中とはいえ、3人からの台詞が恥ずかしすぎて、劇が終わった今となっては記憶から消去することにする。
皆、その方が心安らかに過ごせるだろう。
劇は明確なラストシーンがないまま、因縁の男性3人と俺演じた男装令嬢を含めた4人がかち合い、男性3人が火花を散らすところで終わりとなった。
これが映画ならto be continued…………なんて言葉が続きそうだ。
ベアトリス曰く、原作がまだ連載中なので中途半端な終わり方もやむなし、ということだそうだ。
続かないといいんだけど、なんだか来年もやらされそうな気がする。
今後ますます小説では恋愛色が加速しそうなので勘弁して欲しい。
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ダリア・ラジヴィ視点
私は映えあるシャルル様を見守る会、略してSM会会長のダリア・ラジヴィと申します。
当然ながら本日の演劇を観覧しておりました。
席数が限られる中、熾烈な争奪戦があったりもしましたが、母親の伝手でなんとか席を確保させてもらいました。コネ最高です。
劇の感想を一言で申しますと
尊い。
いや、尊死?
いえ、死ぬかと思いましたわ。
何度も呼吸が止まり、心臓も止まりかけました。
もう、男装なのか女装なのか分からない騎士姿のシャルル様が登場された段階で客席から生唾を飲み込む音やら小さい悲鳴やら、倒れる音が聞こえてきました。
私クラスになると気を丹田に集めることによりやり過ごすことが出来ます。
まあ、呼吸が止まりかけましたけれど、平常心を装います。
本来のシャルル様は男性なのですから、騎士男子学生の姿は平常。でも、男装をしている令嬢役、ということは女性。
女性があんな姿を。
周りは全て男性なのにバレないようにしている、あわわわわわ。
ふー。
深呼吸です。
シャルル様は男性。普通の格好ですわ。
でも女性役。
落ち着きなさい!私の心臓!
ふわあ、フエゴ様と女性として接していらっしゃるぅ。
いえ、役柄的には男性として接しているのです。
女性だけど男性として。
ああ、どんどん思考がこんがらがっていきます。
ラファル様も、いつもよりお話口調が早くて別人のよう。腹黒い感じがたまりません。
テール様も本当に王子様だとは伺ってますが、王子役がハマっていらっしゃいます。
うわあ、シャルル様のドレス姿、永久保存したい。
なんですか、本当に男性なのですか?!
客席はその美しさに魂の抜けた観客が続出しておりますよ!?
男子生徒に変な性癖を植え付けた罪は重いです。
演じていらっしゃる皆様、通常と被るところもありつつ、やはり別人を演じていらっしゃるため、違う人格です。
けれど通常の皆様に被せてしまい、演劇を見てしまいます。
ああ、どんどん男性陣の愛に追い込まれていくシャルル様。
全く気付いていないところがまた、ご本人と重ねてしまいます。
手に汗を握りながら展開を見守ります。
え?終わり?
嘘でしょう?
こんなところで終わるなんて、納得できません!!
いえ、小説はまだ続いていますし、ここで終わるのも仕方ないのはわかるのですが。
ここから先、更に3人とシャルル様のイチャイチャが加速する展開になるはずなので、もっと先まで見たいです!
未完の小説とはいえ、もう少し先まで公開されています。あのシーン、見れないのですか?ご無体な!
え?
来年に続きを?
1年も待てません!ベアトリス様に断固抗議しなければ!!




