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怒り
拓side
松下裕太先輩。
その人が来たときの莉菜の安心しきった表情を見て、莉菜の好きな奴はその人だと気づいてしまった。
それに、悲しむ暇もなく。
俺は裕太先輩に吹き飛ばされていた。
正確には……殴られたんだ。
「……っざけんじゃねぇ!」
まるで……莉菜の彼氏かのように。
「お前の勝手な行動で、長年一緒にいた相手を失うんだぞ!人の存在をなんだと思ってんだよ!」
莉菜を肩に抱きながらそう怒鳴る松下先輩。
痛む頬をさすりながら、俺は朦朧とする意識の中先輩の声を聞いていた。
「莉菜……好きだ」
そう言う先輩の声も聞こえた。




