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237. トロワの車輪亭に再訪問

「あ、ジーナさん、お土産です」

「はい? あら、綺麗なキルーク織りですね、これ、私にですか?」

「はい、僕らの世界では、旅行に行くと友達にお土産を買って渡す風習があるんです」

「俺も貰ったんだぜ、ほら、短剣」

「まあ、良いわね、クルスちゃん。本当に良いんですか、嬉しいです」

「喜んで貰えたら嬉しいんだよ」


 みんなで、和やかに微笑みあった。

 お土産文化は良い物だね。

 さっそく、ジーナさんは、ショールを肩に掛けた。


「今着ている服によく似合う色なんだよ」

「綺麗だなあ」


 ジーナさんは照れくさそうに微笑むと、くるくると回った。

 ショールがパタパタと揺れる。

 明るい色のショールは、なんだか幸せな感じの色だね。


 お店が終わったら、ギルドに来てもらうように、ジーナさんと約束して、僕らはジーナ薬品調合店を後にした。


「馬屋が近いので、ライサンダーに乗って来ます。久しぶりですからね」

「ライサンダーさんによろしく」

「ああ、もう、朝に夕にライサンダーに乗れた幸運な時期はなくなったんだなあ。彼によろしく」

「クルツが乗ってくれていたのか、ありがとう」

「結構仲良くなったぜ。いい馬だよな、ライサンダー」

「当然だ、私の愛馬なのだから」

「わたしも、セルウインドウくんにまた乗りたいなあ」

「僕もマルチスパーク君に乗りたい、けど、今日は遅いから、明日だね」

「そうだね」

「俺も乗馬をやりこもうかなあ。馬もいいよな」


 連邦口主道アベニュー横路ストリートの交差点で、パットと別れ、坂を登り始める。

 左側に夕日に包まれる大樹海が見える。

 行ったことがある方向は、なんだか知らない時と景色が違って見えるね。

 戦線のみんなは元気かな。

 停戦はしばらく続くけど、再開された時が心配だな。

 指揮官がマクガイア少将だしなあ、無理に突っ込んでケルケーリ将軍に逆襲されそうだ。

 中将派という事で更迭されないかなあ。

 銀翼動甲冑騎士団は、立場が微妙だから、良いように使われないかな。

 心配心配。


「大丈夫、みんなお利口だから、平気だよ」

「え、あやめちゃん、考えを読んだらいやだよ」

「顔に出てたんだよ。わたしも、森の方を見たら、みんなのことを考えたからわかるんだ」

「戦場の部下さんたちかあ、短い間なのに、絆みたいのは出来るんだなあ」

「戦場は、切羽詰まってるし、なんだかギリギリだから、仲良くなるね。あれだ、ダンジョンを一緒に冒険すると、すぐ仲良くなったみたいな感じだよ」

「あー、あの感じか、解る解る」


 クルツもトレ坊と絆を繋いだしね。

 ああいう感じだよ。

 やっぱり、命のやりとりが近くにあると、すごく、心の距離が近くなるんだろうね。


「アリア少尉とか、リリアン少尉とか、ケーミン中尉とか、会ってみたいなあ。みんなキャラ立ってて濃い人ばっかりだったみたいだな」

「うん、容姿だけで集めたのに、性格も色々で、チームとしてバランスが良くて良い隊だったよ」

「また、会いにいこうね、げんきくん」

「うん、そうだね」


 うん、きっと、また、みんなに会いに行こう。


 僕らは塔路まで上がって、ギルドへ帰った。

 受付ホールの方に入らずに、裏口から、馬車溜まりの方へ歩いた。

 キャンピング馬車は前の通りに、ちんまりと駐まっていた。


 ドアを開けると、オッドちゃんと、黒い幽霊団ブラックゴーストの紅一点の、カタリナちゃんが、なにか本を広げてお勉強をしていた。


「あ、勇者さん、お帰りなさい、あら、クルツも一緒なの?」

「お墓に案内してたんだ。カタリナは魔術の勉強か?」

「うん、自習していた所を、オッド師に見て貰っていたの」

「あわわ、なんだか、追い越されそうなんだよ」

「カタリナの進歩はすごいわよ、アヤメも、うかうかしてられないわね」

「わたしも明日から勉強を再開するんだよ」


 あやめちゃんも、カタリナちゃんてライバルが出来て、勉強に張り合いがあるね。

 僕も、明日からマイカル様に武道を習おう。


「晩ご飯は、塔路の冒険者の酒場にいかない?」

「あら、そうね。良いわよ、カタリナも付いてきなさい」

「えっ?」

「クルツも来るから」

「え、あんちゃん、俺も行くの? なんかだか、あんな超一流の冒険者向けの店は気が重いんだけど」

「いいじゃん、おごりおごり。一流の盗賊シーフの人に話を聞かせてもらいなよ」

「白翼の盗賊シーフのシルビアねえちゃんは、盗賊ギルドに良く来るぜ。若い奴ナンパするんで、みんな怖がっちまってさあ」

「あはは、なんだかなあ」

「ま、魔法使いの人は、私なんかと口をきいてくれますか?」

「バカにする態度を取ったら、わたしが師匠としてぶっ飛ばしてやるから、大丈夫よ」

「カタリナが来てくれると、正直助かるぜ。子どもが俺一人だと、なんか気が重くてさ」

「わ、解かりました、クルツを一人にしてバカをさせては、黒い幽霊団ブラックゴーストの名折れだし、い、行きます」

「ご飯食べるだけだから、大丈夫なんだよ。ジーナさんも来るし」

「あ、ジーナ姉さんも来るんですか、ちょっと安心しました」

「カタリナとジー姉ちゃんは、この前のアタックで仲良くなってさ」

「すごく薬品に詳しくて、頼りになるんですよ。薬があんなに種類があるなんて、びっくりしました」

「薬は高えからなあ。使い放題だと、すごく楽だったよ」

「そうよねえ。僧侶がいないと、やっぱりきついよね」


「おーう、帰ったぜ」

「ただいまかえりやした」


 エルザさんと、リターナーさんがやってきた。

 みんなそろうと、馬車の中が狭くなるね。


「へえ、中はこんな風になってたのか、意外と良い感じだな」

「これでダンジョンに潜るんでやすか、こいつはご機嫌でやすね」


 二人はキャンピング馬車の中を見回して、感嘆の声をあげていた。


「戦場にも持って行けば良かったわ、宿舎のベットが硬くて硬くて」

「硬かったねえ。それにすきま風で寒かったし」

「毛布もゴワゴワだったんだよ」

「戦場でやすから」

「ほお、キッチンも付いてるのか、へええ、トイレと、行水場もあるのか?」


 僕は、エルザさんを馬車の後方に案内して、行水場を展開した。


「豪華だなあ、幾らぐらいだ?」

「五千万グース? 七千万だったかしら」

「ああ、そんだけするよな」

「一億グースぐらいなら、一流は出しやすね」

「今、これを作った人と、冒険者ギルドが組んで、市販しようとしてるよ、大型魔法袋付きで、二億グースぐらいとか、言ってたかな」

「ううむ、買えなくもねえですね。こんだけの設備をダンジョンに持ち込めたら、疲れも違うでしょうし」

「安い奴も作るとか言ってたわ。寝れるだけぐらいの」

「ちゃんとしたベットで寝れるだけでも違いまさあね。メイリンには面白い物がありやすね」


 馬車の戸が、控えめにトントンとノックされたので、出てみると、ジーナさんがいた。


「遅くなりました-」

「いえ、ちょうど良いぐらいですよ」

「わ、ここが噂のキャンピング馬車なんですね。わあ、中は結構広いですね」


 興味津々のジーナさんを連れて、また、車内を案内した。

 アタックの時は泊まって貰う人だしね。


 そうこうしているうちに、パットが帰って来たので、みんなで行く事にした。


 みんなで外にでて、塔路を歩きだす。

 もう、日が暮れて、だんだんと暗くなるぐらいの時間だ。


 日が暮れると、ちょっと肌寒い感じに温度が下がる。

 これからどんどん暑くなるらしいけど、今は涼しい感じだね。


 街灯がぽつぽつとある、塔路を歩く。

 まだ、宵の口なんで、人通りは結構ある。

 みんな、晩ご飯に行くのかな。


 トロワの車輪亭につくと、この前のシュッとしたボーイさんがいた。

 僕らを見て怪訝な顔をしたけど、オッドちゃんを見て破顔した。


「これは、オッド師、勇者さま、いらっしゃいませ」

「九人よ、席は空いてる?」

「はい、まだ時間が早いので、空いておりますよ。どうぞ」


 みんなで、トロワの車輪亭に入る。

 クルツとかカタリナちゃんが、きょろきょろと店内を見回している。


「なんだか、高そうな店だなあ」

「キルークにも、ありやすね、トップ冒険者向けの豪華な酒場」

「まあ、一流の冒険者は金持ってるからな」


 ウエイトレスのお姉さんに案内されて、奥の座席に。


「お酒は何にいたしましょう」

「スピリッツをロックでもってきて」

「ブランデーをくれ」

「ワインをおねがいしやす、銘柄はお任せしやすね」

「私は、ワインだ。赤、諸王国産が良い」

「わ、わたしは、その、ワインでお願いします。や、安いのでいいです」

「俺はビール」

「クルツはお茶でしょっ、私もお茶で」

「ちえーっ」

「あやめちゃんもお茶?」

「お茶をください」

「僕もお茶をください」

「かしこまりました」


 ウエイトレスさんが引っ込むと同時に、オッドちゃんがメニューをまくりだす。


「この前の、クワンドルが美味しかったんだよ」

「うん、頼もう」

「あれは、もう、ピックアップ済みよ。新しいメニューとか無いかしら」


 なんだか、オッドちゃんが、ウエイトレスさんに、山ほど注文していた。

 まあ、みんなよく食べるから、大丈夫でしょう。

【次回予告】

また、酒場で騒ぐ所まではいけなかったのである!!

ゆるされたいっ!!


トロワの車輪亭でみんなで食事をするげんき一行。

そして、ひさしぶりに会った、白翼遊撃団のめんめんと、

乾杯を重ね、楽しい夜を過ごすのだった!


なろう連載:オッドちゃん(略

次回 第238話

夜の酒場で大騒ぎ

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