2章―3 失われた再会
「あ、あぁ……」
虚脱感。それが姫奈に重くのしかかる。
「嘘だ……」
「嘘じゃないわ」
神前ははっきりと言う。
「長秋くんが死んだのは―――――」
神前はその単語を強調する。
「あなたのせいよ」
「等価交換って知ってる?つまり長秋くんの命は交換されたわけだね」
神前はそれをさらっと言う。
「なにと……?」
「あなたの命と」
そこで沈黙がやってくる。そしてまた神前はしゃべりだす。
「あなたは一度殺されとのよ。つまり長秋慎は姫奈梓のために又は姫奈梓の“せいで”死んだんだよ」
事実。真実は残念ながら一つ。それがただ知らされただけなのに、知らなくていいことだから。知らざるべきことだった。でも、知った。そしてその結果、姫奈は思い出した。
「そうか、私は一度――――――」
「死んだんだ」
あの日、母親が殺された。じゃあなんで、私は殺されなかった?なんで私は生きてるの?なんで私は殺されなかったと思い込んでるの?
あの日姉はバイトに出かけていた。だから殺されなかった。でも私は?私はどこにいた?私は家にいたんじゃなかったの?母親と一緒にいたんじゃなかったの?将来の夢の話とかしてたんじゃないの?
一度思い出せば紐を解くように謎が事実が浮かび上がる。
姫奈は長秋とは再会せず事実と再会した。長秋との再会はもう――――――
失われている。




