㊴ 最強の鉄の姉妹!!/赤い台風!!!
広がる爆煙、えぐれた大地。
この女の、心底気持ち悪い 嘲笑う声。
ああ、もうダメだ。
おれは生きてる意味がなくなったのかもしれない。
なんであの時、一緒に回避しなかったんだろう。
なんであの時、油断してこの女に捕まったんだろう。
なんであの時、もっとヒュークに頼らなかったんだろう。
そもそも、なんで───
あのふたりと出会ってしまったんだろう。
出会わなければ、仲良くならなければ、
一緒に、楽しい時間を過ごさなければ、
こんなことにはきっと、ならなかっただろうな…
「チマキ殿…」
「なんだよ…ヒューク…もう…」
「流石は『守護霊』とやらだな」
「……えっ…!?」
凄まじい風…いや、風というよりもこれは…台風…!!!
台風…まさか…まさか…まさか…!!!!
「な…なんだ…あのクソでけぇ赤ぇ台風は……!?」
「────『鉄風』……」
「…かはっ…かはっ……… 生きてる…!?」
「水月…お前、剣術磨き上げたな。 さっきは助かったぞ」
「お姉ちゃん…!!!」
────風月だッッッ!!!!!!
「なんだ…なんだ…!? そのハリケーンが…ツリ目ちゃんのステレオ能力…!?」
「コイツは“吸血台風”という設定の私の想像生物でな…。 私の血液の10%を生贄に…召喚した」
「ソレで…ウチの爆風を…殺したのか…」
「…風月ッッッ!!!!! かっけぇ…かっけぇ…!!!!すげぇ!!すげー!!! ホントに『守護霊』だ…マジですげぇ!!!!!」
おれと初めて出会った時の『鉄風』のレベルじゃない……何恥じない台風だ!!!!
これが…これが本当の風月の強さ……
お、…思わずはしゃいじゃったよ!!!
良かった…良かった!!!!
「水月、『両手に両手剣』を構えろ」
「……うんっっ!!!!」
水月ねーちゃんの両手の大剣に『鉄風』が引っ憑いた…!?
ま…まさか…ソレをコッチに…!?
「ヒューク!! 茅蒔を連れて飛べッッッ!!!」
「なるほど…ワイルドな巫女よ…!!!」
「しまっ…────
ヒュークのあり得ないくらい速いスピードにロトロトはおれを離してしまう。
脱出成功だ…!!!まるでジェットコースターに乗せられた気分だよ!!
「出血大サービスだ、張り裂けろ変態女」
「いくよ…はぁああああああああああああ……!!!!!!」
「チッ…クソクソクソクソクソクソクソ…クソぉおおおお!!!!!!!!」
水月ねーちゃんの巨大な斬撃とともに『鉄風』がロトロトへ向かって迷う事なく導かれた。
ロトロトにその台風が直撃する───!!!
「あ…あああああああああああああ!!!!!…ハァあああああああああああああッッッ!!!!!」
モンのっすんごい爆音は址塔街の空気を震わせた。
あのロトロトでも流石に致命傷だろう……
それにしても、あの姉妹…絶対怒らせないようにしなきゃ…
「ロトロト……あれほど嘗めるなと…これは…誤算だ…」
「君一人になったな。どうする信徒?」
「ロトロト………」
あのカズータスが…悲しんでいる?ロトロトに対して…
でもそんなカズータスを有栖乃助は表情の見えない冷たい視線で射抜く。…カズータスはもう逃げれないだろう。
もしかして…もうこの戦い…終わった……?
もはやカズータスのステレオ能力は有栖乃助には届かないはずだ…!
「はぁ…はぁ…あ〜…水月、肩貸せ…カゼクラする…」
「お姉ちゃん!! もう…フラフラ…無茶して…」
「早く…不味いほうれん草が食べたい… 私はちょっと休むからな…水月」
「なら大量に、ごま和え作ってあげるからね! ふふ…良かった…生きてて…」
ふたりも無事なようだ!!!
良かった…ホントに…!!一時はどうなるかって…
あ、爆炎が晴れた…
───ロトロトがボロボロで地面に倒れている。無理もない、あの台風の直撃を食らったんだから起きてもらっては困る。
「一件落着か。 僕の出しゃばる幕もなく、優秀な霊がいたもんだね」
「まだだ…」
カズータスはまだ諦めていない…有栖乃助だってまだ無傷で居る。まだ策があるのか?
「む…関心せんな、そういう態度は。 まだとっておきでも?」
「我が神…バズーカ様を……此処へ召喚させて頂く…」




