第61話 それぞれの思惑
作者は国関係の描写がとても苦手です。なので文章が拙いかもしれませんが目を瞑っていただけると幸いです…
和樹が誰かに見られているような感覚を感じた頃、和樹は気づいていなかったが確かに2人ほど和樹を遠くから見ている者がいた。
「……うーむ、あの子が隊長や副隊長が言ってた男の子か」
と、緑色の鎧を着た騎士がそう呟く。
「……でも見た感じそこまで私達の計画の邪魔にならないと思うんだけどなぁ。慎重な副隊長はともかく隊長はなんでそんなにあの子を危険視するんだろ?ねぇ、ツィーはどう思う?」
緑色の鎧騎士は後ろを向いて水色の鎧を着た騎士に問う。
「……ん、それより私はお腹がすいた」
「あーなるほどねお腹がすいたのね実は僕も……って違う!? それじゃない! しかもさっきレストランで腹ごしらえしたよね!?」
「足りなかった。トルメ、もっと食べさせて」
「はぁ……」
トルメと呼ばれた騎士はため息をつく。それもそのはず。彼女はツィーと呼ばれた水色の鎧騎士のように食べ歩きに来ている訳では無い。これはれっきとした任務で偵察だ。
それでもトルメはこのツィーが見た目の幼さによらずよく食べるということを知っているため、あまり文句は言えない。
「……分かったよ。後でまた何か食べよう」
「ん。なら頑張る」
そう言い、ずり落ちそうになっていた大剣を背負い直す。
「……隊長は人間が嫌い。だから余計にあの人を危険視してる」
「え?」
ツィーの口から出た予想外の情報に驚くトルメ。
「前に隊長と副隊長が話しているのを聞いた」
「そうなんだ……」
和樹とフィアスが別れるのを見た後、2人は和樹の跡を追ったが、彼が宿の中に入ったあと何も音沙汰がなかったため、跡をつけるのはここまでとなった。
「結局何もなかったね〜」
「……何もなくてなにより」
その時、トルメの懐がピカっと光る。トルメは懐の中から魔石を取り出した。クインテット騎士団内で連絡用として使われる通信魔石だ。
これを開発したのは意外にもツィーである。
「っ!? あのお方の居場所が?……分かった。ツィーとすぐそっちに向かう」
「……イルネ達?」
「うん、あの方の居場所がある程度特定出来たみたい。クインテット騎兵全員ナインド王国に集結だってさ」
「……了解」
2人は互いに頷くとその場から立ち去った。
「っ……あの女よくもわしの計画を……!」
頭の髪の毛が残念で鷹のような鋭い目つきをした老人バルサはミール平野の片隅で何やら怪しげな薬を開発していた。
大水源メルザナでレフール達に邪魔をされて以降、バルサは指名手配で自分を追いかけてくる兵士や自身の欲求不満に相当なストレスを抱えていた。
髪の毛がゼロになるのもそう遠くない。
そんな彼はもはや本来の研究など頭になく、ただ己の欲求を満たす為だけに行動していた。
そしてーー、
「っ……おぉ、出来たぞ……ついに出来たぞ!」
そう言い、バルサは青白いカプセルを空に掲げる。
2度、この大陸内を逃げ回ってきてほとんどの錠剤、機器、食料などのアイテムを失ってしまったが、それでも残った物や森に住む魔物の一部を調合することによってこのカプセルが完成した。
「これでわしの邪魔をするやつを全員始末、更に馬鹿にするやつらをギャフンと言わせられる……!」
既にバルサの頭に正気はなかった。
そして、彼らの物語は交差しようとしていた。
「すげえ……」
思わずそう呟く俺。その視界にはバルへイム城と同じくらいの城がそびえ立つ。
ナインド王国。
その周りには高い建物が立ち並び、バルへイムと同じくらいの発展力だ。違う所とすれば、バルへイムでは入口の壁や門も高く、警備もしっかりしていたけどこの国は入口の壁がとても低い。警備も2人3人しかいないし大丈夫なのだろうか……
そう思っているといつの間にか馬車は入口の前まで来ていた。
おっと、そう言えば何をしに来ていたか言っていなかったな。
第3の試練を受けに来たのもあるが、目的はもうひとつある。
それはーー、
「エルシィ王女とそのお連れの和樹様とフィアス様ですね? 確かに確認しました。ではこの奥にあるパーティ会場行きの魔法陣にお乗り下さい」
「はい、ありがとうございます。和樹、フィアス行くわよ」
エルシィについて行く俺とフィアス。なるほど。魔法陣を敷くことで部外者はこの中に入れないようになってるのか。エルシィの持つ招待券がこの魔方陣に認証され、予め登録された招待券と一致すれば中に入れる仕組みってところか。ちなみにこの知識はゲームデ得たものだ。
今日はナインド王国建国の日でそれを祝して晩餐会があるそうだ。
バルへイム王国とナインド王国は同盟を結んでおり、更にエルシィはこの国の王女と何度か会っており仲が良いらしい。
お祝いのついでに彼女に会いに来ている。そして俺とフィアスはその付き添いだ。ちなみに今日は護衛役の兵士はいない。堅苦しくなるからだそうだ。
その代わり彼女のそばにはーー、
「キュアッ!」
エルネスさんが召喚した竜、パーディリオンが鳥ぐらいのサイズになってエルシィの肩に乗っている。今回のパーティは使役する魔物も護衛として同伴可能だが大きさに制限があるため、エルネスさんが魔法でパーディリオンの身体を小さくしたようだ。
何気にあの人凄い人だよな……
ちなみにシロも俺の肩に乗っている。エルシィとフィアスが抱きしめたそうな顔をしたが、この前のシロがちょっと可愛そうだったので俺が断った。
エルシィ、フィアス、俺、あとシロとパーディリオンの5人は魔法陣の上に乗り、パーティ会場へと向かった。
その際、ふとある言葉を思い出す。ナインド王国に向かう際、エルネスさんが言っていた言葉を。
彼女は俺達がナインドへ向かう際こう言っていた。もしかしたらクインテット騎士団がナインド王国に現れるかもしれないから気をつけろと。
エルネスさんいわく、近頃彼らの動きが大きくなっているようだ。例えば暴動や器物損壊がそれに当たる。
そのせいで今日来れない人達も少なくはない。何故彼らがそんなことをするのか分からないが気をつけておこう。




