第58話 その後、有能なタマゴ
あわわ、なんか最近見直しで次々と矛盾点が見つかって萎えてます…今回の文章、どう書けばいいか分からずとりあえずこうなりました。書きたことが伝わってくれれば幸いです…
……ズキ。
誰かが俺を呼ぶ。誰だろう?
そう思っているうちに俺の目は覚めた。
「和樹!」
そこには真っ白な髪と透き通った青い目の少女、フィアスがいた。
けどなんか様子がおかしい……いのか?
なんなんだろう。違和感というか少し変わった気がするというか……
「ふ、フィアスなのか?」
思わずそう問いかける。すると彼女はむぅっと頬を膨らませる。
「むぅ、正真正銘フィアスだよ。アストレインが本来の私に戻してくれたの」
その言葉に辺りを見渡すと、アストレインの姿はない。その代わり、
「いたたた……ん? これはいったい……」
「あれ? ここは……」
「シェルカ姉様!」
ブローゼンさんは不思議そうに首をかしげ、リシェット姉さんがシェルカ姉さんを抱きしめる姿が見えた。
「逃げられちゃったけど、とりあえず屋敷のことは大丈夫だよ。アストレインは……先に帰っちゃった」
「そっか」
特に詮索はしない。あまり深く聞いてはいけないと思うし、それにフィアスが満足そうな表情をしていたからだ。
と、その時ーー、
「ん……ここは……?」
「ここは3階の……っ! フィアス?」
フィアスの父親が娘を見て目を見張る。そして思わず呟く。
それに対しフィアスはびくっと肩を震わせた。
「「っ……」」
「……」
フィアスの両親もフィアスもどうしていいか分からず、黙り込む。
すると突然ブローゼンが立ち上がり、パン! と手を鳴らした。
「アーク様、ルティア様、そしてお嬢様方に和樹殿、ひとまず下へ降りましょう。ここは少し危険です」
全員ブローゼンに従い1階へ降りる。すると大広間には使用人達がなぜ自分達はここにいるのか、今まで何をしていたのか、不思議そうに首を傾げていた。
「アーク様! ルティア様! よくぞご無事で……それにシェルカお嬢様にリシェットお嬢様も……」
「っ……」
使用人が雇い主達の名前を述べていくが、フィアスの名前が呼ばれることは無かった。
それはなぜか。使用人達は特にリッチに呪われていた訳では無い。確かに今回操られはしたが、それまでは普通にこの屋敷に仕えていたのだ。
だが、フィアスの両親達の態度が、彼らにも伝染した。最初は可哀想なものを見る目であったり、哀れみを抱いていたが、そこから侮蔑や嘲笑などへと変わっていったのだ。
故にリッチが死んでもそれは残る。
だが、その時、
「フィアス……!」
フィアスのお母さんは思い切ったかのようにフィアスの元へ駆けつけ、そしてその身体を強く強く抱きしめた。
「っ!? お母さん……?」
「ごめんね、ごめんねっ! 私が少しでもあなたに対して不満を持ったばかりにっ! お義母様に呪われて9年間あなたに対して酷いことをしてきた! ごめんなさい……っ」
フィアスのお母さんがそう言った直後、今度はフィアスのお父さんが駆けつける。
「僕もだフィアス! 母様の目論見に気づけず、いいように操られて君を守るどころか、君を傷付けてしまった! すまない! ……っ」
いきなりの2人の謝罪に困惑する使用人達と2人の姉。
するとフィアスは母親の肩に手を置き、少し離す。
「フィアス……?」
「……頭ではお母様とお父様が1番悪いって訳じゃないって分かってはいるけどすぐに2人を許すことは出来ない……」
「フィアス……」
「けど、これから……またあの時みたいに5人で仲良く暮らせるならそうしたい」
「フィアス!」
「もちろんだ! 僕とルティアは君への不安を抱き、そこを母様につかれた! これからはもうお前に対して絶対不安を抱かない!」
その後、今回の事態に怯えたのか、たくさんの使用人が辞めた。また、フィアスへの不信感が拭えない者、フィアスに関することで信用出来ない者も全員辞めさせた。
その結果ーー、
「まさか使用人がブローゼンさんだけになるなんて……」
「爺様だけが私の味方だったからね……」
「それは当然のことですお嬢様」
そう言い胸を張るブローゼン。だが状況はあまり好ましくない。
そりゃそうか。この屋敷からブローゼンさん以外の使用人が全員辞めた、いや、辞めさせられたからな。圧倒的人手不足だろう。
けど、リシェット姉さんやシェルカ姉さん、フィアスの両親、フィアスも皆、不安そうな表情はなく、むしろこれからみんなで頑張っていこう。そんなふうに見えた。
フィアスと両親の溝はまだまだ深いだろうが、2人の姉とブローゼンさんがきっとなんとかしてけれるだろう。
「……ふぅ、疲れた」
俺はそう呟き宿屋のベッドにダイブする。
それもそのはず。試練達成の為にマッドレイン帝国周辺の湖に向かってからたくさんの事態に巻き込まれてきたのだ。俺って結構トラブル体質なのか……?
まぁでも、1つ目の試練を偶然とはいえ達成出来たからいっか。なんかご都合主義な気もするが……まぁいっか。残りはあと2つ。あ、そうだ。
俺はふとあることを思い出し、ベッドから降りる。
「オープン」
アイテムボックスからカードが入った本を取り出す。
本を開くと、1ページに1枚のカードが入っている。1ページ1ページ順番に捲り、カードを見ていく。
No.1アーリー
No.2ランチェル
No.3ギロ
No.4ーーーー
No.5ーーーー
これまで俺が召喚してきた魔物達のカードは全て彼らのイラストが描かれており、名前も判明している。
しばらくめくっていくことであることに気がついた。
「ん? これって……」
それはNo.37のカードを見た時だった。名前は分からないが、その上には薄くイラストが描かれている。
真っ白な卵に青い翼……
そうか、これは確かスティヴィア様から貰った魔物だっけ。まだ薄暗いということは何かありそうだが……ん?そういえば何か忘れているような……
「あぁっ!? しまった!」
慈愛神の言葉を思い出す。
第ニの試練、オパロールの実の採取だ。
"場所はマッドレイン帝国周辺にある村です"
「しまった……忘れてた……」
俺は思わずこめかみを押さえる。
と、その時、開いていた本が勝手にパラパラとめくられる。
そしてNo.37のカードが乗っているページで止まり、
「タマッ!」
「うおっ!?」
次の瞬間、召喚という言葉を言ってないにもかかわらず卵に青い翼を生やした魔物が目の前に現れた。俺に背を向ける形で。
すると卵の魔物は俺の方を向く。そこにはーー、
「第ニの試練達成……? どういうことだ?」
俺はオパロールの実なんて採取した覚えはない。そう思っていると、
「タマッ」
卵の魔物は背後に手を動かすと、オレンジ色に光る丸い球のようなものを俺に見せてきた。この際、どこから出したとかのツッコミはなしとしよう。
オレンジ色に光る球には双葉が付いており、ちょっと美味しそうだ。
……じゃなくて!
「まさかそれがオパロールの実……?」
そこで俺はあることに気がつく。
「お前が取ってくれたのか?」
「タマッ!」
元気よく鳴く? 卵の魔物。
スティヴィア様、この子めっちゃ優秀でした。変な奴とか思ってごめんなさい! と内心で詫びる。てかほんとご都合主義じゃねこれ……
「てことは残りは第三の試練……」
第三の試練はナインド王国に行き、スティヴィア様が指定した魔物を倒すんだっけ。二つ目の試練を達成した今、すでに対象の魔物がいるはずだ。
元の世界へ戻る切符にリーチがかかった。
だが、それと同時に不安も込み上がる。
それは元の世界に帰るにあたってフィアスやエルシィ、アレスやユーフィ、ナルタス、レフール博士などこれまでにお世話になってきた人達との別れが必然であったからだ。
スティヴィア様に聞いてなかったことがひとつある。それは元の世界に戻ったあと、もうこの世界に戻れないのか。
これが結構重要だったりする。結局、俺はまだ決めきれていないのだ。
他にもルミ姉のことだ。ナルメドで話して以来、あれから1度も彼女と話すどころか、会うことが無くなった。世話になった人にせめて礼くらいは伝えたいがルミ姉の行方は分からない。もうそろそろ会えるんじゃないかと最近思っているが、全く音沙汰がない。
「……ひとまず保留だな」
そう呟き、俺は最初らへんのページをめくった。
「……アーリー、ランチェル、ギロを召喚」
3つの魔法陣が出現し、それぞれ蟻、ランプ、鶴の魔物が出てくる。混沌竜だけは召喚しないことにした。カオスは自分の存在を他者に知らせるなと言っただけだから混沌竜は大丈夫だろうと思ったがあれはどこかアーリー達と存在が異なる気がした為、後回しにすることにした。
「主! どうされました?」
「チェル!」
「……主?」
疑問系の三人に対し俺は苦笑する。
「いや、ちょっとな……なんとなくみんなの顔を見たくて呼び出したんだ」
もし……元の世界に戻るとしたらこいつらとも会えなくなるだろうな……もし俺の気持ちを聞いたらみんなはどう答えてくれるだろうか……
「タマッ!」
「どうした?」
突然卵の魔物が鳴く。
次の瞬間、魔方陣が部屋に出現する。
「え? 俺まだ何も言って……」
「主、お気をつけください!」
「主! 魔法陣が……」
「えっ?」
そして俺は次の瞬間、アーリーとギロの言葉の意味を理解する。
「コンっ?」
「へ?」
次の瞬間、魔法陣の中から飛び出してきた魔物と俺の頭が思い切りぶつかった。




