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この世界は好きですか?  作者: ふう♪
第7章アストレイン家の異変
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第56話 暗躍する者


 廊下を歩きながらアストレインは説明する。


「あと、闇の王の配下のことですが私が見た限りリッチであるお祖母様に更なる力を与え、この屋敷を支配した張本人だと思われます。理由は不明ですが……お父様とお母様の居場所は私にも分かりません……っ! 何か来ましたね」


 2階の廊下の奥からワラワラと姿を現す。魔物だ。中には鎧を着て剣を持っている魔物もいる。


「……私が彼らを退けるのでしっかりと後からついてきてください」


 そう言うアストレインに俺達は頷く。


 すると彼女は背に背負う2つの銃を両脇に抱えた。


「はあああぁっ! ガトリング・クロー!」

「へ?」


 次の瞬間、銃の穴から激しい火花を飛び散らせながら大量の弾が魔物達へ放たれる。


 前線にいた魔物達は激しい射撃に吹き飛ばされ、後にいた魔物と共に倒れる。


え? そうやって戦うの?


 思っていた女神の戦い方と大きく異なり少し動揺した。


「こっちです、ついてきてください!」


 魔物が後ろへ吹き飛ばされ、新たに右の道が見えた。俺達はそこへ向かい、走り抜ける。


「また扉……」


 どこへ繋がるか分からないランダム要素ありの扉。

 そんなのお構い無しといった風にアストレインは躊躇せずその扉を開けーー、


「っ! 爆撃波ガルド・バーン!」


 迫り来る魔物に再び2丁の銃を向け、弾丸を放つ。今度は波のような乱れ打ちだ。


「ギャアアァっ!」


 魔物達は悲鳴をあげてボトボトと地面に落ちていく。コウモリの魔物か。


 道中たまに出てくる使用人に関しては銃を使わず、前方に光のようなものを放って気絶させた。さすが守り神といったところだ。


 やがて俺達は3階への階段を見つける。


「あれ? 誰もいない……」


 特に誰かが待ち受けているといった様子はない。逆にひっそりとしていて静けさを感じる。


「ひとまず上がりましょう。気を抜かずに」


 アストレインの言う通り、あたりに気を配りながら階段を上る。


「そういえばシェルカ姉さんとあの執事さん大丈夫かしら……」


 ポツリと声を漏らすリシェット姉さん。


「爺は強いですからきっと大丈夫です」


 そう答えるフィアス。


 3階に上がったところでアストレインが立ち止まる。


「……この先から禍々しい存在を感じます。覚悟はいいですか?」


「はい、覚悟はできています」

「もちろんです」

「あぁ、もちろんだ」


「では、入りますね……」


 アストレインが扉を開く。その先はとても大きな空間が遠くまで広がっていた。





 足元には絨毯が敷かれており、その両サイドには一定の間隔でロウソクが置かれている。


 その最奥の上の壁には何やら渦巻きのような模様が出ている。


 と、その時、入口のロウソクがボッという音を立てて燃え上がる。


「どうやらこの最奥にいるようですね」


 足を踏み入れ、円のような模様の絨毯を踏む。

 途端、円が紫色の光を放ち、中から何かが現れる。


「ケケケ……」


 赤色の角を生やした魔物に青色の角を生やした魔物。まるでデーモンだ。


「ガトリング・クロー!」


 アストレインは躊躇せず2丁の銃から弾を撃つ。

 だが、2体のデーモンはジャンプして交わし、アストレインに爪を向ける。


 だがその間に青い刃が現れ、2体のデーモンは切り飛ばされた。


「ギャアアァっ!」


「大丈夫ですか? アストレイン様」


「ありごとうフィアス」


 切り飛ばされたデーモンは黒い煙を放ち、姿を消す。

 俺達はそのまま歩みを進める。





 次の円に立つと両サイドにあるロウソクが燃えだし、再び円の中から魔物が現れる。


「ググゴ……」


 メラメラと燃え上がる巨体。腕や足は太く、赤い目でこちらを見てくる。炎のゴーレムか?


「ガトリング・クロー」


 先程と同様すぐさま弾を放つアストレイン。だが身体に傷つくだけでダメージはそこまで与えられていないようだ。


「フィアス! 水属性の攻撃だ!」

「はい!」


 相手が炎属性なら水属性の剣を持つ、フィアスが有利だ。


「水よ……」


 フィアスがそう言い詠唱を始める。途端、ゴーレムは赤い目を光らせた。


「ゴゴ……水縛ウォーターバインド


 そう言い、ゴーレムはフィアスに手のひらを向け、赤い網目状のクモの巣のようなものを放つ。


「え? きゃっ!」


 フィアスは上から赤い網目状の物によって押さえつけられ、身動きが取れなくなる。

「フィアス!」


 リシェット姉さんが駆けつけ、なんとか網目状の物をどけようとするが彼女の身体に絡みついていてとれない。


「どうやらあの魔物、自分の弱点に反応してアンチを封じ込める能力持ちのようですね和樹さん、手を貸していただいてもよろしいですか?」

「もちろんです。何か策が?」


「いえ。私とあなたの手で叩き潰します」

「えぇ……」


 その考え方脳筋……


「ウガアァ!」


 ゴーレムは口を開け、周囲から光を集める。


「和樹さん!」


 分かってる! あの光から2人を守ればいいんですよね!

 そう思い、盾を構えているとーー、


「違います! あのゴーレムが衝撃波を放つ前にあの頭を殴って口の中で爆発させるんです!」


 全然違った。


「はあぁっ!」


 ゴーン!


 アストレインの振り下ろした銃器がゴーレムの脳天にぶち当たる。

 更に俺も上からアーリーの盾を振り下ろす。


「パワーブースト!」


 アストレインがそう言った途端、力がみなぎる。


「うおおおぉっ!」


 その勢いのままありったけの力でゴーレムの頭を殴りつけた。痛い。熱い。手が痺れる……


「ウゴっ!? ボガブッ……」


 次の瞬間、口を閉じたゴーレムの口の中から爆撃音が鳴り響いた。そのままゴーレムは意識を失う。


 それと同時にフィアスを押さえつけていた網目状の物が消えた。


「もっとマシな方法はないんですか……」


 アストレインに尋ねる。


「ありません。あれが最も迅速で効率的です」


 まじかぁ……


 その後、これまでと同じように本の魔物やシャンデリアの魔物が出てきたがそれはリシェット姉さんが飴で撃ち落として倒していった。





 奥へ進んでいくと、段々と玉座のようなものが置かれているのが見えた。リシェット姉さんの話によると前はこの部屋もこんな玉座もなかったと言う。


 その直前の円に立った時、これまでと同じように紫色の光を放ち、円の中から魔物が現れる。


《待っていたぞ》


 その魔物は青白い光を自身に纏い、現れた。ボロボロのシャツにシワシワの顔。そしてどこか女性の面影を残している。


「お祖母様……」


《こんな姿なのに良くわかったねぇ。あたしゃ嬉しいよ》


 ケッケッケと笑う老婆。


「どうしてこんなことをされたのですか……?」


《どうしてかって? それはもうすでにそこの守り神から聞いてるんじゃないのかい? 復讐だよ復讐! あたしから息子を奪ったあの小娘へのね! アンタはたまたまその犠牲になった。ただそれだけのことさ》


 その時、誰かが歯ぎしりをした音が聞こえた。

 その音の主はリシェット姉さんだった。


「たったそれだけで……」


《ん? なんじゃ?》


《たったそれだけであなたはお母様とお父様とフィアスをこんな目に合わせたの!?》


 すると、それを聞いた老婆が怒り出す。


《たったそれだけとはなんじゃあぁ!? あたしの行いを否定するんじゃないいいいぃ!》


 老婆はリシェット姉さんに手を向け、紫色の玉を放つ。

 だがそれをアストレインが銃で撃ち落とした。


「……あなたを小さい頃からずっと見ていましたが死んでからも相変わらず自分勝手な方ですね」


《うるさい! それよりあんた達はここまで来た以上生きては返さないよ! 全員あたしの下僕になってもらう!》


 老婆がパチンと指を鳴らす。すると円の中から複数の人が現れる。


「っ! ……お母様、お父様っ」

「っ!? 爺!? シェルカ姉様!? どうして……」


《あぁ、こやつはこの小娘に甘かったのさ。その不意を狙ってあたしの仲間に取り入れたさ。さぁ行け! あたしの下僕共よ! あやつらを捕まえておしまい!》


 老婆がそう命令すると、4人の人間がこちらに近づいてくる。


「くっ……! お父様! お母様! シェルカ姉さん!」

「爺……! みんな! 目を覚まして!」


 二人の娘が声をかける。だが、誰も聞く耳を持たない。


「シールド!」


 そのうちの一人が5m以内に近づいた途端、障壁によってはじかれた。

 アストレインがシールドを展開しているのだ。


《ふんっ、邪魔だねぇあんた、ふんっ!》


 老婆が青い炎をアストレインが展開する障壁に放つ。

 青い炎が障壁に触れた直後ーー、


 バリーン!


「なっ!?」


《今のあたしゃ守護神のあんたより力は上。そんな障壁を破るくらい容易い……アッハッハッハッハッ!》


《壊してやる、あんた達の全てを! あたしの復讐でぐっちゃくぢゃにしてやるーーー!》


 老婆が天に向かって叫び出したその時ーー、


 ズドン。


《……え? なんだ、いこれは……》


 老婆は自身の身体を見下ろす。その胸は黒い剣で貫かれていた。その背後には青いコートを着た謎の魔物。


「チルチル……いいねぇその負の感情。もう美味しそう! てなわけで頂くチルよ婆さん」


 そう言い、老婆の身体から剣を抜く。


《ぐほっ……あ、あんた……あたし、を裏切る……のかい?》


「人聞き悪いチルよ? 裏切るのではないチル。お前の力を頂くチルよ」


 老婆を貫いた魔物が持つ剣はドス黒い色に染まっていく。


《あ、あぁぁ……あたしの力が……長い間溜めてきた力が……》


「ありがとチル。お前のおかげでまたあの御方の復活に1歩進んだチル」


 力を吸い取られた老婆は目を白目にしてその場に倒れた。そしてその紫色の粒子となって地面に散らばり、まるで地面に溶けていくかのように消えてしまった。


 それと同時に操られていた4人もバタバタっとその場に倒れる。


「お母様、お父様!」

「爺、シェルカ姉様!」


 満足気な魔物にアストレインは話しかける。


「あなたですね……この人に力を与え、この屋敷を支配したのは」


 すると、コートを着た魔物はその通り!と叫び、コートを脱いだ。

 フードで隠れていたその顔があらわになる。


「そう! あの老婆に力を与え、この屋敷内の人間や物を操り支配したのはこの我チル!」



 その魔物は青緑色の顔に赤い目をしており、腰には緑色の尻尾が生えている。まるでトカゲだ。


「我の名はレチルロエル! 多彩な魔法を扱う魔術獣チル!」



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