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この世界は好きですか?  作者: ふう♪
第6章黒い敵、クインテット騎兵
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第51話 氷の女



「はあぁっ!」


 ユーフィは水色の髪の女性との間合いを一気に詰め、拳を振るう。


氷盾アイシクルシールド


 女性は右手を突き出し、盾を展開させてユーフィの拳を受け止めた。


吹雪ブリザード


 更に左手を突き出し、冷たい風を至近距離でユーフィに放つ。


「っ!」


 危険を感じたユーフィは左腕で顔を覆いつつ飛び下がる。だが、そのせいで左腕が凍りつく。


「ふふっ。その状態になったらなかなか溶けないわよ」


 妖艶な笑みを浮かべる女性。


「ふん、これぐらいどうってことないわ! 灼熱ヒート!」


 右手の拳から炎を生成し、自身の凍りついた左腕に触れさせる。


 炎はユーフィに火傷を負わすことなく、ゆっくりと凍りついた左腕を溶かした。


「やるじゃない。なら、これはどう?」


 そう言うと、女性は盾を捨て、両手を左右に広げる。


「トレース。オーバーエッジ」


 途端、女性の両手に剣が生成される。


 右手には燃え盛る剣、左手には刺々しく凍った剣が握られている。


「っ……!」

「驚いてるみたいね。っ!」


 今度は女性がユーフィに間合いを詰める。

 そして2つの剣を彼女に振り下ろす。


「かかったわね! 爆炎放射オーバーヒート!」


 女性が振り下ろした2つの剣がユーフィの髪に触れる直前、ユーフィは両手を彼女の身体に向け、炎を爆発させた。


 この時、ユーフィは女性が攻めてくるのを狙って敢えて待ち構えていたのだ。


 先程ユーフィが使った灼熱ヒートという技は単に氷を溶かすために使ったわけではない。炎の威力をチャージする為にも使っていたのだ。


 拳に炎を溜め、温度を上げていく。


 そうすることでもう1つの技、爆炎放射という技が使えるようになる。

 この技は溜まった炎を体内から周囲に放つ技であり、一般的にいうなら出し方はパソコンの熱の放出と少し似ていてそれを瞬間的に爆発させたと思ったら良い。


 ちなみに灼熱は3回までチャージでき、爆裂炎舞はチャージすればするほど威力があがる。


 ついでに言うとこの技は使うと火傷などの状態以上になる可能性が高いがユーフィの場合炎属性の適正を持ち合わせているので問題ない。


「ぐああっ!?」


 至近距離でユーフィの爆裂炎舞をくらった女性は大きく吹っ飛ばされる。


 爆風の影響で辺りに煙が立ち込み、視界が悪い中、ユーフィは目を凝らす。


 次の瞬間、彼女は身体を左に逸らした。

その視界の端には燃え盛る剣が通り過ぎていくのが見えていた。


 その剣は誰にも当たることなくユーフィのはるか後ろにある地面に触れて爆発した。


 飛んできた方向を見るとその煙の中から人影が現れる。


「さっきの技といい今の私の攻撃を避けるといいなかなかね」


 そう言うと彼女は左手に持つ氷の剣を地面に突き刺した。


氷結界アイシクルフィールド


 辺りに冷気が漂い、地面の温度が急激に下がり始める。それと同時に地面が彼女を中心に次々と凍っていく。


「っ……何をする気? 灼熱ヒート!」


 ユーフィは地面に向かって炎を纏った拳を振り下ろす。だが氷は破れず、それどころか拳に纏った炎が氷に冷やされて消えた。同時に身を待とう熱気も冷めていく。


「この氷は薄い氷を何重にも重ね、地面に付加させたものよ。あなたのその炎では溶かすどころか、あなたがこの凍った地面の上に立つだけで炎技は使えないわ」


 そう言うと女性は氷の剣を地面から抜き、空に掲げーー


変幻自在フォームチェンジ


 途端、空に掲げた剣が形を変えていく。太く巨大なハンマーへと。


「さて、そろそろ終わらせましょう?」


 そう言い、ユーフィへと足を歩める。


「ユーフィ!」


 と、ここで2人の戦闘を見ていたアレスがユーフィの元へ駆けつけようとする。がーー、


「来なくていいわ! 私1人で十分よ!」


「っ……!」

 だから来るな。強い気持ちがこもった言葉にアレスは思わず足を止めた。そして再び2人の戦闘を見守る。


「ふーん? 1人で十分ね……ならその言葉、後悔させてあげるわ」


 次の瞬間、女性は巨大な氷のハンマーを持っているにもかかわらず大きくジャンプした。そしてユーフィから少し離れた地面に向かって強く振り下ろす。


「アイスエッジハンマー!」


 ズシャアアアァン!


 鋭く鈍い音が辺りに響く。振り下ろした辺りの氷が粉々に砕け、その衝撃波が稲妻の形を描いてユーフィへと襲いかかる。


「ユーフィっ!」


防御シールド! カウンター!」


 衝撃波がくる直前、ユーフィは左手で正面に青く四角い障壁を生成し、右手で赤い障壁のようなものを作りだした。


 次の瞬間、衝撃波がユーフィを襲う。だが、砕けた地面は丸い結界の前で止まり、衝撃波は障壁によって赤い玉となって女性へと跳ね返った。


「へ? 嘘!?っ!」


 女性は返ってきた赤い玉を跳ね返そうと氷のハンマーを振るう。だが、赤い玉はその場で爆発した。




「くっ……そんな……物理と魔法攻撃同時に放ったのになんで……」


 地面に倒れ伏し、声を絞り出す女性。そんな女性の元に近づくユーフィ。


「それはあたしがあなたの攻撃を別々に受け止めたからよ。防御シールドで物理的な衝撃をカット。カウンターで衝撃波をあなたに跳ね返した。ただそれだけよ」


「っ……あなたほぼ同時に2つの技を使った、のね……そんな人あまりいないから油断してたわ……私の負けね」


 そう言うと女性は目を閉じ、意識を失った。その姿を見たユーフィは思わず目を見張る。


「えっ!?」


「ユーフィ! 大丈夫か!?」


 そこへ今度こそアレスが駆けつけてくる。


「あたしは大丈夫だけどこの人……」


 ユーフィの言葉にアレスも倒れている女性を見る。


「これは……どういうことだ?」


 意識を失った女性は次の瞬間、光に包まれ、姿が変化したのだ。その姿は真っ白な肌に吸い込まれそうな瞳、胸元の開いたドレスなど、先程まで妖艶な外見と姿をしていた彼女はどちらかというとおしとやかな外見に変化し、着ていたドレスも無くなり、水色を基調とした上着に白いヴラウス、そして下は白いニーソックスにフレアスカートへと変化したのだ。


 先程戦った彼女とは全く異なる様子に2人は驚きを隠せない。


 と、その時、空に影がさした。


「っ!?」

「ぐっ……なに、これ……」


 ユーフィとアレスは息苦しさを覚え、思わず地面に手をつく。


 そんな2人の前に黒い影が近づいてきた。


「……男共はいるのにあたしの玩具おもちゃにペット、それに可愛い人形がいなくなったんだけど全部あなた達の仕業かしら?」


 女性の声が辺りに響く。黒い影は長い漆黒の翼を広げ、空を飛んでいた。それは、人間とも竜とも言い難い別の何かだった。


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