第39話 折れた心、神々
かなり更新遅れてすみません。
先月の24〜26日まで学校の行事ぇ東京へ行って帰ってきたらA型インフルに襲われてずっと寝込んでました。今日やっと復活です!まだ外には出れませんが…
あれから何日か経過し、なんとか自力で身体を起こして話せる状態まで回復した。とはいってもフェーネが使ってくれた回復魔法のお陰だが。
幸い、右肩に刺さった短剣の傷は浅く、治ってすぐに自力で身体を起こすことが出来るようになった。右足も骨自体は元通りの状態まで回復している。
とその時、カーテンがシャッと開けられ、窓が開けられた。暖かい日差しと涼しい風が部屋に入り込む。
「おはようございます和樹様」
俺の顔を見てにこりと微笑むフェーネ。あれから毎日欠かさず世話をしてくれている。
「……あぁ、おはよう……」
対して俺は覇気のない弱々しい声。そんな俺の顔は少し白く、まるで死んだ魚のような目をしていた。
そう、フェーネの回復魔法で外の傷は回復しても心の傷は全くと言っていいほど回復しなかった。
特に足を折られた時の精神的ダメージが大きく、夜になると何度も右足が痛くなるのだ。その度にフェーネが駆けつけてきて俺の左手を握り、右足を撫でて落ち着かせてくれる。本当に申し訳ないと思っている。
ほんと、どうしてこんなことになってしまったんだろうか。なぜあの時俺は男に叩きのめされたんだろうか。どこかで間違えたんだろうか。やり直したくてもやり直せない。元の居場所に帰りたくても帰れない。
「和樹様、そろそろお外に出てみませんか?」
こくりと頷き、フェーネの手を借りてゆっくり外へ出る。細い身体をしている割に彼女は意外と力があることを最近知った。
「外は暖かいですね」
空を見上げ、何気ない言葉をかけてくるフェーネ。
俺も空を見上げる。
青い空にいくつか浮かぶ雲。とてもいい天気だ。
そうだな……暖かい……
そうだ……ここなら……
「ここなら……楽に死ねそうだな」
特に何も考えずふと何気に呟く。
しかし、後ろにいるフェーネの気配が変わった気がするのは気のせいだろうか。
「和樹様」
俺の名前を呼び、前に回り込んでしゃがみこむ。彼女の身体が俺を見上げるような体勢になる。
「どうして、そんな悲しいことを言うんですか……?」
その瞳には涙が溢れていた。しかし、弁解はしない。
だって、今死んだらこの苦しい生活が終わるかもしれない。もしかしたら元の世界に戻れるかもしれないじゃないか。それでもし戻れなかったとしてもその時はその時だ。
だってもう……
「なんかもう疲れたんだ……今は何もしたくない……」
精神的ダメージが大きすぎるせいか、心がほぼ折れている。
この世界で生きていける気がしない。
このまま死んで楽になりたい。そんな想いばかりが頭をよぎる。
「っ……」
するとフェーネは黙り込んだ。何か考え込んでいるようだ。やがて意を決したかのように顔を上げ、表情を引き締めた。
「あ、あのっ……!」
だがーー、
「……少し1人にしてくれないか?」
「え? あ……はい……」
俺は“敢えて”フェーネの言葉を遮った。すると彼女は一瞬何が起きたか分からない顔をし、そして理解し、しゅんとうなだれた。それと同時に頭に飾った赤いリボンもへにゃりと萎れた。
「……それでは、またお昼に来ますね」
小さく微笑むとフェーネはそっと部屋から出て行った。その胸の内はどうなっているのか。それは彼女にしか分からない。
「っ……はぁ」
俺は寝返りを打ち、窓の方を見る。悪いことしたな。多分励まそうとしてくれたんだろうけど今の俺にその言葉は辛い。
俺は元の世界に戻るんだ。そんな励ましの言葉を聞いたところでなんにもならない。むしろ聞かない方がマシだ。
「ん……?」
気づくと、頰に冷たいものが流れ手のひらで拭う。すると手のひらに透明な水滴がついていた。
情けないな、俺は。
「……」
頭を抱えているとふと視界に小さな竜が入った。さっきフェーネがいた場所の隣だ。
「……ずっと俺を見ていたのか?」
「キュア!」
返事するかのように元気よく鳴く小竜。俺は思わず小竜に近づいた。
「……なぁ、俺これからどうしたらいいと思う?」
返事が返ってくるわけないのは知っている。だが無性に誰かに聞いて欲しくなったのだ。
すると次の瞬間、小竜は俺に目を合わせた。その目は緑色のまばゆきを放ちーー、
「っ……?」
いつのまにか俺は身知らずの空間にいた。周りの景色は青く、所々に雲が漂っている。
そこへーー、
「きましたね。彼がミラシィとガイシアが前に会った男の子ですか?」
肩まで伸びた鮮やかな紅色の髪にキリッとした瞳の女性が目の前に現れ、俺を見てそう言う。
「そうです! この子です!」
「相変わらず面倒くさそうな顔してるから間違いないですね」
続いて金色の髪をした短髪の女性と同じく金色の髪で長髪の女性がそれぞれそう言い現れた。この2人は1度会ったことがある。ていうか最後の人酷くね?
「あの、なんでここに……」
どうしてこんな時に呼ばれたのか分からない。
「それはこのままだとあなたが人としてあるべきものを失ってしまうと私が判断したからです」
真剣な表情で答える長髪の女性。まぁずっとこんな状態だし当然か。
「……別にそれでいい」
「……本当にそれでいいんですか? ここで諦めて何もしないまま全てを終えて」
「っ……それは」
「すみませんっ……私が間違えたばかりにあなたにこんな思いをさせてっ……!」
短髪の女性が泣きはらした表情でそう言う。あぁもう、その話はもう終わったことだろ。今更蒸し返すな。
「蒸し返すなって……あなたがまだ引きずっているからこんなことになっているんですよ?」
「ガイシア」
「っ……ごめんなさい。今のは失言でした」
長髪の女性が何か他にも言いたそうに眉をひそめつつも俺に頭を下げる。
しばらくの間沈黙が訪れる。だがその沈黙を赤髪の女性が破った。
「実はあなたがいま最望んでいるであろう元の世界への帰り方は2つあります。そのうち1つはそこまで難しくありません」
「えっ!?」
「ちょっ……スティヴィア様!?」
他の2人が一斉に紅髪の女性の方を向く。
「これはミラシィ、あなたの責任ですが同時にそれを事前に止められなかった私にも責任があります。これぐらいはいいでしょう」
「そんなことが出来るんですか?」
「はい。なにせ私はこの世界の創造神ですから」
……へ?
途端、異様に色んな毛穴から汗が吹き出すよな感覚を身体中に感じる。
「……え?」
この後5分くらいその場で固まっていた気がする。
「あなたが……創造神、様?」
「そうですよ?」
平然と答える紅髪の女性。いつの間にか凄い人に会ってたんだな俺……




