表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最強暗殺公爵の異世界定食屋〜『ネット通販』と現代兵器でスローライフを満喫してたら伝説の種族が常連客になった件〜 』  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/119

EP 14

「母の襲来と、絶体絶命の言い訳」

「しゃああっ! まずはあの極上マグロ将軍の大トロからいただきだぁぁ!」

「逃がさねぇぞ……! クラーケンの下足ゲソは俺が全部炭火焼きにしてやる……!」

ポポロ屋の扉を蹴り開け、飢えたリアンとフェンリルが、ヨダレを垂らしながら深海軍勢へと襲い掛かろうとした、その瞬間である。

「待ってぇぇぇぇ!! ストォォォォップ!!」

ピンク色の閃光が、リアンたちの前に立ち塞がった。

頭に『鳩の羽』をくっつけ、口元に『パン屑』をつけたままの極貧地下アイドル・リーザである。

「リアンさん、フェンリルさん! お願いだから私のお母様(と地元の近衛兵たち)を食材(海鮮丼)にしないでぇぇ!!」

「チッ。邪魔すんじゃねぇよ、リーザ。あんな活きのいい海鮮、逃す手はねぇだろ」

リアンが舌打ちをして巨大包丁を下ろした、その時。

「……おお、リーザ! 我が愛しの可哀想な娘よ!!」

広場を埋め尽くす海水の波を割り、巨大な真珠の神輿から女王リヴァイアサンが身を乗り出した。

彼女はリーザの姿(特に頭の鳩の羽と、口元のパン屑)を見た瞬間、ボロボロと大粒の真珠の涙を流し始めた。

「なんという痛ましい姿……! あのテレビ番組は真実だったのですね! 誇り高きシーランの王女に、鳥類と争い、その残飯をすすらせるとは……! やはり、このポポロ村の野蛮な下等生物どもは、一匹残らず海の底へ沈めて……」

ゴゴゴゴゴゴゴッ!!

リヴァイアサンの背後に、さらに巨大な津波が形成されていく。

ポポロ村完全水没まで、あと数秒。

「ヒィィィッ! リーザ、なんとかしなさいよ! あんたのお母様、マジで村ごと沈める気よ!!」

キャルルがウサギ耳を抱えて悲鳴を上げる。

(ど、どうしよう……! このままじゃ、ポポロ村が沈められちゃうし、リアンさんに地元の魚人たちが三枚におろされちゃう!)

リーザのポンコツな脳細胞が、かつてない速度でフル回転を始めた。

母の怒りを鎮め、かつ、自分の「極貧生活」を正当化する、魔法のような言葉。

ルナミス帝国のガード下で培った『アイドルのハッタリ力』が、限界を突破した。

「ち、違うのママ!! 誤解よ!!」

「誤解……? 何が誤解だというのです! その頭の羽とパン屑は、貧困の証ではないですか!」

リーザはビシッ!と母を指差し、胸を張って言い放った。

「アレは……『役作り』の一環なのよ!!」

「「「…………は?」」」

母リヴァイアサンだけでなく、背後のリアンやキャルルまでもが、間の抜けた声を漏らした。

「や、役作り、とは……?」

「そ、そうよ! 私、実は今度……ルナミス帝国で『大作映画の主演デビュー』することが決まったの!」

リーザは冷や汗を滝のように流しながら、口から出まかせを並べ立てた。

「そ、その映画のタイトルは……えーっと、『どん底からのシンデレラ~鳩とパン屑と私~』よ! 大都会で貧困に喘ぎながらも、夢を諦めない少女の感動巨編! だから私、主人公の気持ちを完璧に理解するために、公園で『メソッド演技(鳩と餌の奪い合い)』の特訓をしてたの! テレビ局の密着取材も、その映画のプロモーションの一環なんだから!」

「…………」

静寂。

波の音だけが響く中、リヴァイアサンはポカンと口を開け、リーザを見つめていた。

(あ、あわわ……無理があるよね、今の言い訳……! 怒られるっ……!)

リーザがギュッと目を瞑り、雷を落とされる覚悟を決めた、次の瞬間。

「…………まぁっ!!」

リヴァイアサンは、パァァァッ!と顔を輝かせ、両手を頬に当てた。

「映画の……主演デビューですって!? しかも、あんなにリアルで泥臭いメソッド演技までこなすなんて……! さすが、天才的な才能を持つ私の愛娘! 大女優の素質が爆発していますわ!!」

「……えっ?」

リーザだけでなく、村の全員がズコーッ!とずっこけた。

この女王、圧倒的なパワーの反面、娘への盲目的な愛ゆえに『信じられないほどチョロかった』のである。

「素晴らしいわ、リーザ! ママ、感動しました! よし、全軍に告ぐ! ポポロ村の殲滅作戦は中止! 代わりに……娘の『映画撮影の現場』を、この目で見学させてもらうとしましょう!!」

「「「…………はぁぁぁぁぁ!?」」」

沈没の危機は去った。

しかし、リーザのその場しのぎの『大ウソ』は、さらなる地獄(架空の映画プロジェクト)の幕開けを告げるファンファーレとなってしまったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ