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『最強暗殺公爵の異世界定食屋〜『ネット通販』と現代兵器でスローライフを満喫してたら伝説の種族が常連客になった件〜 』  作者: 月神世一


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EP 5

「絶対禁忌! ユニーバの年齢詐称と友情のダブルラリアット」

 銀河神カケルのお茶に唾を吐き、写真に右ストレートを叩き込んでいるという、全宇宙のサラリーマンが震え上がるほどの『究極の社畜の闇』をぶちまけたオリン。

 しかし、彼の暴走の終着点は、そんな銀河レベルの話では収まらなかった。

「はぁっ……はぁっ……! まだだ! 私には、まだ言わねばならぬことがある……! 全宇宙の頂点、あの第1種宇宙創造神格公務員……ユニーバ・オリジン様の最大の秘密だぁぁぁッ!!」

 ピキィィィィンッ!!!

 オリンのハゲ頭の光が、ついに物理法則を無視して七色に輝き始めた。

 その言葉が出た瞬間、ゲラゲラ笑っていたルチアナの手からビールのジョッキが滑り落ち、カグヤの持つ高級マカロンが粉々に砕け散った。

「ちょっ……ま、待ちなさいオリン! アンタ、今誰の名前を出した!?」

「宇宙創造神のユニーバ様ですって!? ダメよ! あの御方のプライベートは『神界の絶対禁忌アンタッチャブル』……! もしそれをこの数千億人が見ている生配信でバラしたりしたら……ッ!」

 二人の女神の顔から、一瞬にして血の気が引いた。

 全宇宙をたった一人で管理する、究極のワーカホリック最高神ユニーバ。彼女は普段は猫動画と激甘アップルティーを愛する温厚な神だが、ひとたび逆鱗に触れれば、指先一つでアナステシア宇宙を『初期化フォーマット』できるほどのバケモノなのだ。

「ええっ!? ユニーバ様の秘密ですかぁ!? 気になりますぅ!!」

 そんな事態の深刻さを全く理解していない見習い女神リリスが、目をキラキラさせながらエンジェルすまーとふぉんを構え、画面のどアップでオリンを映し出す。

 キュララの配信カメラも、世紀のスクープを逃すまいとオリンのハゲ頭にズームインした。

『(コメント欄)最高神の秘密!?』

『(コメント欄)オイオイ、オリンの奴マジで命知らずだなwww』

『(コメント欄)言え! 宇宙の真理を吐き出せ!!』

「や、やめろリリス! カメラを止めなさい! 宇宙が! 私たちの家(コタツ部屋)が消し飛ぶわよ!!」

「ど、どうしましょうルチアナ! もう魔法で口を塞ぐ呪文の詠唱すら間に合わないわ!!」

 パニックに陥る女神たちを尻目に、暴露鯛とふ〜ん石に完全に精神を支配されたオリンは、カッと目を見開き、全宇宙のモニターに向かって叫んだ!

「あのユニーバ様は、いつも『永遠の20代』みたいな顔をして激甘パフェを食べていますが!! 実は……!!」

 ――その瞬間。

 次元の遥か彼方、アウター・ヘブンの執務室でアップルティーを飲んでいたユニーバの背筋に、ゾクッ!と悪寒が走った。

「……え? なんか今、全宇宙規模で私の『年齢』に関する致命的な情報漏洩(コンプライアンス違反)が起きようとしてない……?」

 現世のポポロ屋。

 オリンの口が、絶対のタブーを紡ぎ出そうと大きく開かれた。

「ユニーバって、本当は歳をサバを読んでま――」

「「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!」」

「「世界を滅ぼす気かあああああぁぁぁぁぁッ!!!」」

 ビュオォォォォォォッ!!!

 ポポロ屋の広間に、突風が吹き荒れた。

 宇宙の崩壊(=自分のクビと命)という最悪の危機を察知したルチアナとカグヤが、神格の全リミッターを解除し、『神速の踏み込み』でオリンの左右から同時に迫っていたのだ!

 普段はコタツで酒を飲み、ブランド服を着飾っているだけの堕落女神たちの、生存本能のみで放たれた一撃。

 二人の腕が、完璧なタイミングでオリンの首元へとクロスするように叩き込まれる。

 それはプロレスの歴史にも残るであろう、美しくも無慈悲な合体技。

 『保身と友情のダブルラリアット』であった。

ゴガァァァァァァァァァァンッ!!!!!

「おげぇっ!!?」

 鈍い破砕音と共に、オリンの叫び声が見事にキャンセルされた。

 左右からの尋常ではない衝撃を首に受けたオリンの身体は、コマのように空中で錐揉み回転し、そのままポポロ屋の壁を突き破って、外の畑へとぶっ飛んでいった。

 ズドォォォォンッ!!

 月見大根の畑に、巨大なクレーターが穿たれる。

「はぁっ……! はぁっ……! あ、あぶ……あぶなかったぁぁ……!!」

「ええ……! 今の一瞬で、寿命が3万年くらい縮んだ気分だわ……!!」

 ラリアットを放った体勢のまま、肩で息をするルチアナとカグヤ。

 ギリギリのところで宇宙の平和(と最高神のプライド)は守られたのだ。

「す、すげぇ……。あのダメ女神二人、あんなキレッキレの体術ラリアットが使えたのか……」

 包丁を持ったリアンが、ポカンと口を開けて唖然としている。

「ああっ! オリン様が! オリン様が月見大根の畑にめり込んでピクピクしてますぅぅ!」

 リリスが窓から顔を出し、アワアワと健康サンダルを踏み鳴らした。

 だが、安堵したのも束の間。

 クレーターの中で白目を剥き、首の骨が変な方向に曲がっている(※神なので死なない)オリンの口が、再びモゴモゴと動き始めたのだ。

「うぅ……い、言う……。サバを……何十万歳も……」

「ってアカン!! 物理で気絶させても、暴露鯛の呪いが強制的に口を動かしとるんや!!」

 ニャングルが算盤を握りしめて絶叫した。

「ウソでしょ!? どんだけ執念深いのよこの魚!!」

 ルチアナが頭を抱え、カグヤが「もう一度ラリアットを……!」と腕を回し始める。

 だが、その修羅場に、静かに立ち上がる男が一人いた。

 ポポロ屋の厨房から、最強の暗殺料理人・リアンが、底冷えするような殺気と共に歩み出てきたのである。

お読みいただきありがとうございます!


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