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18.天馬騎士団

 謁見の間を後にしたレシステンシアは天馬騎士団の詰所に足音高く向かっていた。

 敵国の王からの求婚、王太子からの求婚。

 もう頭がパンクしそうなレシステンシアは、とりあえず自分の安心出来るばしょにいたかった。


 詰所に入ると、そこは宴で盛りあがっているところだった。

「レシステンシア、やっと来たか!勲章はどうでもいいが宴ができるならなんだっていい!お前もこっち来い!」

 テオさんが酒の入った赤ら顔で上機嫌に手招く。勲章を振り回して騒いでいる。

「ありがたい勲章ですよ、粗雑に扱ってはなりません。さあ、乙女よ。あなたもこちらへ」

 ジルさんがテオさんを嗜めながらエスコートしてくれた。

 宴の席に着くと、私もお酒を勧められたので、少しだけ口をつけた。に、苦い……。

「無理に飲まなくてもいいさ。これ食べな」

 マリアさんが美味しそうなミートパイを切り分けてくれた。

「ありがとうございます……」

 でもあんまり食欲も湧かなかった。宴という気分でもない……。けれどみんなの盛り上がりに水を差したくなかった。

「では、天馬部隊改め、天馬騎士団に乾杯!!」

 レオンお兄様、いやいまはレオン騎士団長か。が、乾杯の音頭を取っていた。

「これで10度目の乾杯だよ」

 マリアさんが少し呆れ顔で言ったが、なんだか嬉しそうだった。

 流石のお兄様もテンションが上がっているみたいだ。

 どうしよう。誰かに相談したかったんだけどな……。


 マリアさんに打ち明けることにしてみた。

「その……私、2人の方から求婚されていて……」

「そりゃあ救国の乙女ときたら2人や3人どころじゃない男からアプローチがあるだろうね!それで?一体誰から……?」

 マリアさんは興味津々と言った感じでこちらに身を乗り出した。

「それが……スタセリタの王と、シュネル王太子殿下なんです……」

 マリアさんはそのまま固まってしまった。


 そのまま私の求婚相手の情報は宴の卓上を駆け巡った。

「スタセリタ王になんかレシスを渡せるかよ!罠だ罠!」

「そりゃあそうでしょうとも、シュネル王太子殿下のお話を受けるのがよいのでは?」

 テオさんジルさんが囃し立てる。

「でもよ、シュネル王太子は一度婚約破棄したってんだろ、そんなやつごめんだよなあ、レシス」

 テオさんバンバンと背中を叩かれる。

「っそうなんです、それだけは絶対に嫌で……!」

 さっき少し舐めたお酒が回ったのか私も素直な気持ちをみんなに吐き出す。

「誰か他に身分の高い人と婚約するってのはどうだい?」

 マリアさんが言い出す

「そりゃお前誰だよ」

「ん」

 マリアさんは親指でレオン騎士団長のいる席を指した。

「レオン騎士団長ですか!たしかに伯爵の爵位を継いでおられる。王太子には負けますが……」

 ……レオンお兄様と、婚約……?

 考えてもいなかった展開にかあっと顔が熱くなる。

「そんな、レオン騎士団長に迷惑はかけられませんし……!お兄様がどう思うか……!」

「出た、お兄様呼び。気になってたけどどういう関係だったのさ」

 マリアさんの追求が厳しい!

「私とレオンお兄様は、幼なじみで……、そう!私なんて妹みたいなものですから!」


「レシステンシア、婚約がどうしたって?」

「っ団長……」

 卓上を駆け巡る噂を聞き付けて話題上の本人が現れてしまった。

 テオさんジルさんマリアさんはさーっと身を引いてちょっと遠くの席までいなくなってしまった。

 お兄様と、2人きり……。

「聞きましたか、騎士団長……」

「ああ、スタセリタ王は何を考えているのやら……それに王太子殿下も失礼にすぎる!」

 そう言ってくれて安心する。

「お兄様、私どうしたらいいんでしょう……もちろんどちらもお断りしますけれど、スタセリタ王は戦を起こすかもと王太子殿下が……」

 すると、レオンお兄様が私の肩に手を置いた。私は顔を上げて、お兄様の瞳を見つめた。

「……お前は救国の乙女だ。何があっても女神様がお守りくださる。それに……俺も、お前をなんとしても守ってみせる……」

「お兄様……ありがとうございます……」

「なあ、レシステンシア」

「はい?」

「お前にとって俺は『お兄様』のままか……?」

 瞳を見つめられ、問われる。

「?はい!いつまでも大好きな『お兄様』です!」

 私は笑顔で返事を返した。

「あっ、違いますね、レオン騎士団長でしたね!」

 レオンお兄様は肩を落としてそうか、お兄様か、騎士団長かと呟いていた。


「ああー!そこで『俺と婚約しないか』って言うところじゃないのさ!」

 マリアがダンっと足踏みして悔しがる。

「しかしレシスもあれじゃあなあ……」

「団長も難儀しますねぇ」

 テオとジルも哀れみの目でレオンのことを生暖かく見守るのだった。


 そうして新生・天馬騎士団の宴の夜は更けていく……。

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