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第34話 情報収集




 王国に戻ると、既に電灯による明かりが灯っていた。人通りは昼と比べると少し減っている。今は泊まる宿を探している最中ーー。


「あっ、そういえばこの国の地図がないから宿が何処の場所にあるのか分からんな。面倒だけど……見つかるまで歩くか」


「他の人に聞いた方が早いニャ」

「その手が……ん?」


 前方に走ってくる4人の人影。その4人衆の中には見知ったロッドの姿もある。


「お前たちか!ちょうど良い、手伝って欲しいことがあるんだがーー」

「そんなに急いでどうしたんですか?」

「実はな……」


 話を聞くと、今日の昼過ぎ頃にロッドの子供がいなくなったらしい。現在は必死に探している最中らしく偶然俺たちに会い、捜索の協力をして欲しいそうだ。


「おいおいロッドよ、いくら焦ってるといっても流石に子供に頼むもんじゃないと思うぞ」

「いや、実力は保証する。だから安心してくれ」

「まぁロッドが言うなら……そうなのか?」


 ロッドの愉快な仲間たちと思しき人物の見た目は全員おっさんだ。印象に反してロッドはかなり彼らに信頼されているご様子。


「なら手伝うよ。どうせ時間あるし」

「主が言うならニャンも行くニャ」


 断る理由はないし、もし大事にでもなったら一生後悔しそうだからほっとくことは出来ない。


 だから何も考えずに同意すると「ありがとう!本当に世話になって申し訳ねぇ。礼は後で絶対返す!」と肩を揺さぶられて感謝され、頭が前後にガクガクするのを感じる。


 というわけで、宿に泊まるのはもう少し後になりそうだ。




「んで、その子供の特徴は?」

「あ、あぁ、髪は俺と同じ灰色で、服は茶色のジャケット、中に白いシャツを着ている。ズボンは同じく茶色で黒いブーツで年齢は11だ」


「成る程、じゃあ手掛かりとかはーー」

「ない……ギルドのクエストにも出したし、聞き回ったりもしているが…得られた情報は誘拐の線が濃い、という事だけ。だから、今はしらみつぶしに探すしかない」


 しらみつぶし……無謀じゃね?だが、運良く見つけられる可能性もある。誘拐の可能性が高いらしいし、怪しそうな所を探っていれば見つかるか?


「2時間後にまたここに来てくれ。情報の交換がしたい」

「了解」


ダッ


 そしておっさん達は走っていく。相当焦っている様相だ。


「よし、じゃあまずは怪しそうな所を探すぞ」

「具体的にはどこニャ?」

「そりゃ……怪しい所だろ」

「怪しい所ってどこニャ」


 んー、路地とか…薄暗いところとかーー。


「まずは聞き回ってみるのがいいと思うニャ」

「あぁ!確かにそれがいいな!」


 ルイの天才的発想に頭が下がらなくなりそうだったが、よくよく考えてみれば当たり前のことだったので俺は気にせず聞き込み調査を開始する。


 適当に歩いている男に狙いをつけた俺は背後から忍び寄り、背伸びをして肩に手をポンポンする。

 


「ちょっとそこの人!お茶でもして話しませんか?お金は俺が出します」

「──なんだよまたホモか?いい加減に……ってガキじゃねぇか。どうした小僧」


 振り返るその男は野性味の強い20代ほどの男で、鋭い眼光とイケメェンな容姿をしている。髪と目は燃えるような赤で全身は細く筋肉質だ。


 軽く俺は自己紹介をしてから「人助けだと思って情報をくれないでしょうか。お金はあげますしご飯も奢ります」と言ったところ「好きに食ってもいいんだな?」とザックと名乗った男は快諾してくれた。俺はうなづいて通りにたくさんある食事処の一つにザックをエスコートする。



◆ ◇ ◇



「それで、聞きたいことは何だ?」


 ご飯の容器を持ち、フォークで肉を突き刺して口に放りながら喋るザックはクチャラーだった。


「誘拐が起こりそうな場所って分かりますか?」

「あぁ、人目のつかない場所……つまり入国口の真反対にあるスラム街が一番誘拐が多いだろうな。後は暗い脇道とかか。それと気持ち悪いから敬語やめろ」


 ザックはもう食べ終わったようで、また新たな飯を食べ始めている。デブもびっくりなぐらい食べ物を飲み物の如く食らっている姿は実に圧巻だ。


「じゃあ次はーー」


 それから詳しく聞いてみたところ、得られた情報は以下の通り。


1.スラムは無法地区ゆえに誘拐された者の大多数はそこに連れてかれる

2.路地などの人通りの少ない場所では誘拐が流行る

3.拐われる時間帯は夜や早朝が多く、噂によるとスラム街にあるどこぞの組織が実行しているらしい。


 信憑性は分からないけど、多分合ってると思う。


「他に聞きたいことはあるか?」

「えっと、後どのぐらい食べられる?」

「ーー30杯ぐらいはいけるな。それがどうした?」

「……何でもない。じゃあ聞きたいことは聞けたし、もう行くよ」


ガタッ


 内心驚愕しながらも立ち上がり、山のように積み上がっている飯の容器を見る。未だに勢いは止まっておらずこいつが出れば大食い選手権優勝は間違いなしだ。俺は「ありがとうございました。これで好きに食べてくれ」と金貨を数枚渡して立ち上がる。


「ありがとよ。めっちゃ得したぜ。また何かあれば報酬次第で助けてやるから、そん時は傭兵ギルドへ行ってくれ」

「分かった。その時はよろしくお願いします」


 軽くコップの水を飲んでから出口まで歩いて行く。


「おいおいザック!俺という男がいながら何だあいつーー」


 バタン!


「さぁルイよ!これで何をすべきかは明確になった」


 誘拐が一番多いのはスラム街という地区だから、そこを探し回ればロッドの子供を見つけられる可能性が高い。だから俺たちはスラム街へ行くことに決めた。たったの2人?だけだけど気配察知とか本能とかの力があるし、案外すぐに見つけられる気がする。


 スラム街の場所はザックから入国口の真反対って聞かされているので、俺はその方向へと歩き始める。



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