第33話 特訓
あれから俺たちは特訓のために砂漠へ出ていた。砂漠だと上から降り注ぐ光がよく見え、曇りで太陽は隠れてるけどオレンジがかった色の光は優しく砂の薄い黄色を照らしている。
今俺たちがやっている事は魔力の多種多様な使い方……つまりは応用でそれらには様々な種類があり、攻撃を逸らしたり纏ったり飛ばしたり……とかなり多い。
しかし、魔力の扱いに関しては魔法力操作があるから簡単に覚えることが出来そうだ。と俺は高を括っていたのだが……これが実践でやるとなるとその難易度は一気に跳ね上がる。
「攻撃を逸らすって言ってもな……大量に魔力を使ってゴリ押さないと無理だーー」
「気合でやるニャ!」
ルイは魔力で攻撃を逸らすっていう魔力の応用を実践でも完璧に使いこなしている。だから今は、ルイに高速火の玉を撃ってもらって付き合わせている状態だ。俺は接近戦特化だし魔力の扱いに関してはルイに劣ってしまう。
「精神論……いや、分かった。俺はできる!天才だ!さぁこい!」
「その意気ニャ!」
ボァ!
3メートル程の巨大な火の玉がこっちに向かい迫ってくる。今までのと比べると数倍大きい、しかもだいぶ速い。この猫は練習ってのになんてもんを飛ばしてくれてるんだろうか。
ーーだが、逸らしてしまえば問題はない!
魔力を波のように動かして触れた瞬間に回転、厚くすることで強度を高め火の玉を魔力で上に持ち上げる。
ヒュー
すると……危機的状況で集中していたお陰か、遂に攻撃を逸らすことに成功した。
「や、やったぜ!ハハハッ……」
安堵の息をつき腕を握ってガッツポーズをしていたところ「じゃあもう一回ニャ!」ともう一度あの火の玉が迫ってくる。
ボァ!
ーーしかも今度は連続であの玉が飛んできていた。
「は?え、ちょっ待て待てふざけんなぁ!!?」
く、仕方ない……だが俺は天才!もうマスターしているぞぉぉ!!
魔力を使いさっきのように火の玉を捉えようとする。だけど、焦りからそれは外れた。
ドガァァァァァ!!!
「ぐぁぁぁぁ!!」
火の玉の爆発で後方30メートルぐらい吹き飛んで俺は砂の上へとダイブする。ダイブした砂の上には大の字の猫シルエットが付いていた。
ぐ、熱い。ルイの奴めぇ……俺、一応飼い主だったんだよな…… 。
「もうちょっと練習が必要そうニャ」
「お前は反省しろぉぉ!!」
それから、暫ルイにスパルタされたことにより無事?攻撃逸らしの習得に成功。
そして現在俺は、疲れから香箱座りで休憩していて尻尾を左右に振っている。そうしていると「ニャッ!」ルイに尻尾を猫パンチされた。
「痛い!猫じゃらしじゃないよこれ」
「つい手が出たニャッ」
流石純粋な猫……本能が強い。さて、疲れも取れてきたしそろそろ再開するか。
俺は立ち上がってアランから渡された紙を確認する。
ーーーーーーーーーー
1.攻撃逸らしーー魔力を回転させることによって相手の攻撃に合わせて衝撃を減らしたり攻撃の方向を逸らす事ができる。コツは攻撃に魔力を這わせるイメージ。
2.強化ーー全身に魔力を纏わせ耐久と機動力を向上させることが可能。魔力は放出すると外側に漏れる性質があるからどうにかして身体の表面に残す必要がある。
その為には表面張力と似たような原理で魔力を極薄にすることによって体に張り付かせることができ、より薄くより圧縮された魔力を纏わせかつ、その魔力を自在に操り肉体を強化することができたら完璧。かなり難しい技術。
ーーーーーーーーーー
なるほど……つまりは魔力を体に纏わせてその魔力で肉体を強化しますよっていう技術か。なんか難しそうだけど……やってみよう。
まずは魔力を出してーー。
体にって、魔力が全部離れてく!全然くっつかないんだけど…… 。
放出した魔力は空気中に散りじりになって上手くできない。俺は紙の内容を再度確認する。
何々……魔力は放出したら離れる性質を持つけど、極薄にすることによって表面張力的な原理が働き体に張り付かせることが可能ーー。これを上手く再現できればいいのか。
ポゥ……
今度はかなり放出魔力を控えめにして、全身に魔力を発生させる。魔力放出の加減は難しく多くは離れていくけど、それでも何とか一部分だけは上手く体へと張り付いた。
「おぉ!これはいけるぞ!」
「主、出来たニャ」
「……そうか、よかったな」
ルイの方を見ると全身の毛に意識して見ないと気づかないほどの薄い膜が張ってある。俺は才能のなさに軽く落ち込んでいるが、参考対象が出来たのは良いことなのでとポジティブに捉える。
かなり繊細な操作になるけど、一部分はできたんだし何回も繰り返せば可能になるはずだ。今度はより集中してーー
それから時間を気にせずに何度も何度も練習して、俺はようやく強化を習得することに成功した。まだ完璧ではないけど、まずまずの出来と言えるだろう。
全身には透明の魔力の膜が覆い、非常に動きやすくて全身が強化さているという確信的な実感がある。
「ん?」
ーー何か暗いなと思い周囲を見渡すと、周りはすっかり暗くなっていた。太陽は沈んだのか光はなく、静寂と深い常闇が世界を包んでいる。
「もうこんな時間が経ったのか。まだ完璧な出来には仕上がってないけど、もう帰らなきゃだな」
「分かったニャ!」
バッ
肩に猫がジャンプすると俺はルイを支えてそれを助ける。ルイが定位置に着くのを確認したら、俺はアルイド王国への帰路についた。
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