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閑話 アラン視点



 ーー成る程、大体わかってきた。


 私はこの国の異常な発展速度について調べていた。


 この国は他の国家から材料を揃え、自国で加工をし輸出する事で儲けを出しているみたいだが……軽く調査してみるといきなり高度な技術を身につけだしているという明確に不自然な点が浮き彫りになっている。


 だからさらに調べてみたところ、ある一人の人物がこの技術を広めたのだと発覚した。


 彼の名前はルーガス、アルイド王国にて伝説の機械技師とうたわれている60代ほどの男だ。一見普通の男のようだが、この男の事をより深く調べていくと芋づる式に求めている答えが浮かび上がってくる。


 そう、なんとこの男は悪魔と契約をしていた。悪魔がいる魔界はこちらの世界よりも遥かに時間の流れが早い。だから発展も早くて当たり前だ。推測するに……その技術をルーガスという男に与えているのだろう。


 だが、何のためにーーー。


 アルイド王国には結界が貼られているため、例外を除き悪魔が入る事はできない。上位悪魔ならば身を焦がしながら入る事は可能だが、そんな馬鹿はしないだろう。その為、契約をしたのは入らずに内部から攻めるためだと考えられる。


 ゆえに技術の発展がその男の契約の願いだと仮定すると、王国の発展については辻褄が合う。では悪魔側の要求は何なのか。


 これが次に調べるべきことになりそうだ。


************



 しばらく探ってみたのだが、今回はさっきの様に簡単には見つからない。所詮は1日だけの調査だしこんなものだろう。だけどこちらには時間がない。力が足りないから未来視は使えないけど、私の勘がこのまま分からず仕舞いだと危険だと言っている。


 だからここは一旦私の勘を信じ早急に調べあげることに決めて、勿体無いけど力を使いある場所へと向かう。


「転移」


シュバ


 体の内側から大量の魔力が消えていくのを感じる。


 転移には大量の魔力が必要だから本当なら使用したくないのだけれど、必要なことだから仕方がない。神々の世界……略して神界は創造神様が作ってくれた物だが、もう少し移動が楽にはならないものか。


 私は思わず文句を垂れる。


 そのようにして目を閉じていると、神界に到着した。


 周りはカラフルな色の花が咲き乱れ、青々とした緑と幻想的な木々が鬱蒼と茂っている。そして目の前にはおもむきのある白い宮殿が鎮座ちんざしていた。


「随分と静かだね……」


 前までは多くの神々で賑わっていたものだが、今はもうその面影はない。それもそのはず、多くの神々は封印されているか……結界の維持に力を使っている。


カツ カツ カツ


 目的地に行く為、白い宮殿の中を歩く。 そして歩く中、ある壁に彫られているレリーフに目がついた。


「どれもこれもあやつらが原因……実に忌まわしいものだ」


 神は生き物ではなく、創造神によって造られた存在。ゆえに生殖能力を持たない。だが、馬鹿で愚かな男神と女神は子を成そうとした。そして何とか子を産もうとして誕生したのが悪魔という歪な存在だ。男神は保有するソウルを子種とし、女神はそれを受け止める母体となったが、失敗したと言わざるを得ないだろう。男神はソウルの大半を失ったことで力を失い、女神は悪魔を生産するだけの異形となった。


 悪魔は神の劣化でしかないし神のように不死身でもないし力も劣る。しかし、奴らは我々にない繁殖能力がある。だから数の暴力で我々神はここまで追い詰められてしまった。


 何とか一部を除き多くの悪魔を創造神様の創った魔界に封印することは出来ているものの……その肝心の封印は現在破れかかっている。


 ーーこのままだと神はおろか、世界すら危ない。



「いつかは、必ず平穏を取り戻してみせる」


 それを見て強く心に誓う。世界を救うためにはどんな手段でも使うし、何を犠牲にしてもいい。


「ここか」


 しばらく歩いていると、モニター室のような場所に到着した。ここは世界を映し見渡せる場所。本来ならば技巧の神が管理しているのだが……いないようだ。


「どれ……あった」


 あの王国の場所を見つけると、モニターを操作してくまなく王国内の観察を始める。


************



 そして3時間が経過したぐらいでようやく謎は解けた。


「確かに、これは効率的だね……」


 王国内では誘拐が頻繁ひんぱんに起こっている。それは情報を探っている際に知っていた事だが、どうやらそのさらわれた者たちはルーガスの管轄かんかつしている工場へ運ばれているようだ。


 そして運ばれた者たちはどうなるかというと中は見れないから分からないが、十中八九魂を抜き取って悪魔の供物にしたり、実験台にされていたりしているのだろう。


 悪魔は魂を喰らう厄介な存在だ。魂を喰らえば喰らう程悪魔は強くなる。この様子からして恐らく契約している悪魔は……上位悪魔になっていると考えていい。


 ーーどちらにせよ、これは迅速に倒さないと不味いことになりそうだ。



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