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第32話 王国



「おぉ、何か凄いな……」


 手続きが終わり門を潜るとそこに広がっていたのは電灯や自転車っぽい乗り物など、かなり発展した文明たちだ。建物の多くは石で作られていて所々に工場があり、国の中は少し煙ったい。


 正直イーメジとしてはもっとアラビアみたいなのを予想していたし、異世界っぽさがまるでなくて少し面食らっている。


「ッ……あれから随分と変わっているね」

「仙人みたいなこと言ってるな」


 アランは封印されていた為か、この光景に驚いているご様子。前までは普通な感じだったのだろう。


「ーー私はこの国のことについて少し調べてみることにするから、君たちには換金をお願いしたい。しばらくしたら戻る」

「分かった。あ!そういえば聞いてくれよ。ステータスが限界値になったんだけど、俺もう成長できないのか?」

「ん?あー、確かに力、防御、俊敏が限界値に到達してるね。これは魔王種というものに進化すれば取り払われるから気にしなくていい」

「そうなのか!魔王……厨二心が疼くぜ」


 そうして話が決まったので俺たちは一旦別れ、オッサンのいるギルド目掛けて歩き出すと「あ、これを渡すのを忘れていた」とアランから紙を握らされる。紙の内容は魔力の様々な応用についての記述があり、暇があれば特訓しておけという意味だと思われる。


「にゃんにも見せろニャ!」


バッ


 ジッと内容を見ていたら背後のルイに分取られたので、俺は後でじっくり見ることにして肩に猫の重みを感じながらギルドへと向かう。


「ねぇ奥さん聞いてちょうだい。最近なんか国内で誘拐が流行ってるらしいわよ」

「あらヤダ!うちには娘がいるし心配……早くブームが過ぎ去るといいわねぇ」


 ピンと起立している俺の優秀な猫イヤーは数ある会話の中から興味深い会話を聞き取る。どうやらここアルイド王国では、誘拐がトレンドになってるらしい。一応頭の中にメモしておき、ロッドに渡された紙を頼りに進む。


 しばらく歩いていると、ギルドらしき建物が見つかった。建物はビル状で高さは20メートルほどありコンクリートのような見た目の素材で作られていて見上げるほど大きい。ぱっと見、中々堅牢けんろうそうに見える。


「簡単に壊せそうニャ」

「脳筋……」


 見たところ場所は合ってるし、間違ってたら出ようの精神で俺は両開き型のドアノブをひねる。


ガチャ


 扉を開けると中には酒を飲んでいる人たちや、掲示板を見ている人などがいる。上に続く階段があって一階が掲示板や受付がある仕事場、二階が酒飲み場みたいな感じだ。そしてその中には、あのオッサンの姿もあった。


 オッサンは俺たちに気づくと掲示板から目を離し笑顔で片手を上げながら歩み寄ってくる。


「よぉネコメ!何しに来たんだ?」

「換金に」

「そりゃそうか。じゃあ……マジックポーチはあるよな?」


 うなづいて手持ちのマジックポーチを取り出すと「そいつを俺にこっそり渡してくれ」とささやかれたので気配隠蔽を使用しながらロッドに手渡す。


 そして中身を見たのかロッドは目を見開き面白い顔をし始めた。


「おいおい、何だよこれは……魔物が全部Bラン……ムグ!」


 慌ててオッサンは口を塞ぎ、周りをキョロキョロしている。これがぞくに言うキョロ充ってやつだろうか。


「多分違うニャ?」

「!?勝手に心を読まないでくれ」


 ーーどちらにせよ、あれでどれぐらいになるのかが楽しみだ


************


「果実水を頼む!」


 俺たちは、待ち時間が暇という事でギルドに備え付けられている酒飲み場で食事をとることなっていた。


 けれど食欲自体はそこまでなかったので果実水と簡単に食べられそうな小さい骨つき肉を食べている。肉の味は香辛料が効き過ぎていてあまり美味しいとはいえない。


「何で食べちゃダメなのニャ!」


 そしてルイの方は可哀想なことに猫だからと、スタッフの人から食べちゃダメと言われ待ちぼうけをくらっていた。


 後で少し持ち帰って食べさせてあげよう。俺はそう心に誓う。

  

「よ、よぉ……待たせたな。無事換金は終わったぜ」


 ある程度食事が終わり適当に時間を過ごしていたところ、あのオッさんが現れた。オッサンは何故か疲れたような顔をしている。


「お疲れ様。疲れてる様子だけど何かあったのか?」

「お、おま……誰のせいだと…まぁいいぜ。俺も沢山貰ったしな。ほら受け取れ」


 魔法袋が手渡される。中を確認してみると、硬貨がアホみたいに入っていた。もはや感覚が麻痺してきている俺には驚きという2文字はない。


「これ、どのぐらいあるの?」

「金貨750枚はあるぜ」

「七百っ……!?」


 だが数字にしてみるとやはり驚く。あのドラゴン程には及ばないが、それでもこの額は凄まじい。


 といっても、武具とか買わないし食費と宿泊費ぐらいにしか用途がないから宝の持ち腐れ……いや、アランに任せれば使い道を見つけてくれそうだ。


 これからは面倒くさいのは全部アランに押し付けよう。それがいい。


「じゃ、俺はクエストに行くからまたな」

「うんまたね。ありがとうございました」


 俺はロッドに別れを告げてギルドから退出する。外を出ると空は曇りになっていて太陽が隠れていた。時間は昼時ぐらいで人々は変わらずにワイワイと賑わい通りを闊歩かっぽしている。


「よし、時間空いたしーー」


 あらかじめ決めておいた俺の脳内予定表によると、この後は特訓をすることになっている。流石に宿屋とかでやるのはあれだし、国外へ出てからやった方がいいだろう。




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