第31話 砂漠3
気配の正体を探るために、意識をスキルに集中させた俺は気配の正体が人であることに気がつく。
「ーーどうやら、遠くで倒れてる人がいるみたいだね」
おぉ、倒れてる事までは分からなかったな。だが、これは少し不味いんじゃ?
寝てるだけだったら別に良いんだけど……ここ砂漠で暑いらしいし、それで倒れてるんだとしたらその人の危険が危ない。
「ちょっと様子見てくる」
「zzzz……」
だからそれなりに遠くだが、そこまで走っていくことに決める。寝ている猫を落とさないように注意してーー
ダッ!
砂を蹴り大量の砂が背後に舞うのを感じ、さながら風のように疾走。もう慣れてしまったが、生前ではここまで早く走れることはできなかったから楽しい。
「あの人か!」
50メートル程先に仰向けで倒れている人を発見。オフトゥンも引かずに砂の上で倒れてることから、ただ寝ている訳ではなさそうだ。
ズサー!
近くまで走り急ブレーキをしたことによって、大量の砂が思いっきり空を舞う。
「ゲホッ、ゴホッ!やべ、気管に入った……!」
そして自業自得を引き起こし、砂が落ち着くのを見計らって息を止めるのをやめる。
「ふぅ……さて」
倒れている男をジッと見ると灰色の短髪にオッサンの見た目をしていて、大量の汗が流れており顔が赤い。熱中症を疑った俺は「大丈夫?」とオッサンの肩を掴み揺らしてみると、男の閉じていた目がゆっくりと開く。
「ぅぅ、水を……」
オッサンは弱々しく腕を上げ、それを見た俺は熱中症だと確信し急いで魔法で水を生み出し、その男に飲ませてやる。次に熱中症対策として局部を冷やそうと手を動かすと、オッサンはその手を払い除けムクリと起き上がった。
「いやぁ、危なかったー!ハッハッハ!」
「!?」
ビクッと肩が跳ね、さっきまで死にかけていたというのに愉快そうに笑っている男を見る。熱中症の治癒は通常時間が必要な筈だけど回復速度がえげつない。
「ありがとう助かった!お前がいなかったら多分俺死んでたぞ!」
「あ、あぁ?」
相手は俺の肩を掴んでぐわんぐわんしてくる。あまりの勢いに困惑していると「主が嫌がってるニャッ!」と肩に乗ってるルイが起きてオッサンに対して猫パンチを繰り出した。
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あれから何故か顔に大きな引っ掻き傷がある男から話を聞いたところ、どうやらこの人は冒険者で、休憩で居眠りをしていた所何者か(恐らく魔物)に食料を奪われて水分が足りなくなり倒れてしまったらしい。
それで現在。この男とは行く場所が同じだからと、一緒に王国へ向かう事となった。
「いやぁすまねぇな!俺がへまこいちまったばっかりに付き合わせちまって」
「いえ、助けられる人は助ける。当たり前のことだし、気にしなくていいですよ」
そういった会話をしていると、後ろからアランが追いついてくる。
「初めまして私はアラン、君は?」
「うぉっ、お仲間さんか。俺はロッドという冒険者だ。この人に倒れてる所を助けられてな。王国まで同行することになったんでよろしく」
「丁寧にありがとう。で、何かお礼はあるかい?」
うわ、アランの奴意外とがめついな…… 。もし人間だったら守銭奴に違いない。
ギロッ
刺すような視線を感じた俺はサッと目を逸らしてルイを撫でる。アラン……優しいんだけど異常に勘が鋭いから怖い。これからは気をつけよう。
「あ、あぁ……俺は一応それなりに名の知れた冒険者でな。金なら結構あるぜ」
「そうか。なら我々が狩った魔物を自分の手柄にしていいから、それで得た金の8割を我々に提供してほしい」
おぉ……!確かにこのおっさんを換金口として利用できれば、魔物は沢山あるしお金には困らなそうだ。
何より目立たないのが楽でいい。流石アラン……がめつさと賢さを併せ持つ神。
ーーまた視線を感じるが、多分気のせいだろう。
「な、それはギルドの契約違反に……」
「バレないから問題はない。もしバレたとしても隠蔽できるから安心してくれ」
「そ、そうか。いや、まぁ……分かった」
葛藤があったようだが、金の2割はおっさんに入るのだし、渋々呑んだという所だろうか。
何にせよ、これで狩った魔物が無駄になることはなくなった。みんな逃げてくから強そうなのしか居ないけどーー。
「お、何だあれ?」
しばらく歩いていると遠目だが大きな門のようなものが見えてくる。茶色の厚そうな壁に囲まれていて、前の街と比べるとまるで要塞のようだ。
「よく見えるな……あれは俺が活動をしているアルイド王国っていう国だ。一応説明しておくと、近年異常な発展を遂げている国で人間種族が一番多い。
砂漠だから資源は少ないが、主に他国からの輸入品を加工し輸出することで稼いでる技術国家になるな」
なるほど?確かに煙とか見えるし、機械とか色々発展してそうな感じだ。王国までは3日はかかると聞いていたけど、案外早く着きそう。
「よし!やっと帰れたぜ」
ーー少し歩くと俺たちはアルイド王国へ到着。間近で見ると本当にでかい。
入国するには門の列に並ぶ必要があるが、おっさんは居住者だからと「俺のいる場所は本部のギルドだ。換金したいならここに来てくれ」と場所を記してある紙を俺に手渡して手をヒラヒラさせながら王国へと入っていった。
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