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第22話 ダンジョン2



 そんな感じで俺らは扉から外に出た。


 まだ結構な朝なのか思いのほか人通りは少ない。いるのは店の準備とか、荷物を運んでる人とかぐらいだ。


 それから少し歩いていき、外の森へと繋がる門前に到着。


「さて、行くか」


 くぐり抜けようとすると、門兵に「子供が一人で森に出るのは危ないよ」と注意され止められる。余計なお世話だけど確かにその通りだ。だからーー


「俺にはルイがいるから大丈夫だ」

「ニャ」


 苦し紛れの一手を打つ。猫がいるから大丈夫って……相手からしたら困惑ものだろう。


 だが、予想に反して門兵は驚いたような顔を見せ「君が飼い主だったんだね」などと訳の分からないことを言って通してくれた。ルイ……一体俺が寝てる間に何をしていたのだろうか。


 そのようにして無事森に来た俺たちは、しばらくダンジョンレーダーを頼りに歩いていく。すると、案外簡単にダンジョンらしきものは見つかった。というか絶対にこれだ。


「こんな堂々としてていいのか……」


 目の前には遺跡らしきものがある。ダンジョンレーダーはそこを示しまくっている。


 ……もっと隠して見つからない様にしてるもんだと思ってたけど、これは隠す気ゼロだな。


「主、少し試してみたい事があるニャ」


 と意外に感じていると、ルイは中へ入っていく。


「ん?何をするんだ?」

「こうするニャ」


 急いでついていくと、ルイは地面をいきなり破壊し始めた。驚きはしたが、納得する。


「それでショートカット出来るかもしれないって事か。脱出した時もそんな感じだったよな……」


 ゴリ押しこそ正義。ゲームじゃ破壊ができないから無理だったが、ここは異世界。だからこういった事も許される。


ガガガガガガ!


 無慈悲にもぶち壊されるダンジョンの床。製作者は見ているだろうか。もし見ているならば、今頃発狂しているに違いない。


「はははっ!!これは凄い!今の所無事ショトカ出来てるぞ!」


 チートをしている気分の俺は、ハイなテンションになりながらも床の破壊を手伝う。


 そういや最近爪が長いんだよなぁ……壊すついでに爪研ぎもしよう。


ズザザザザザ!!!



 爪研ぎの代わりにされる床は、どんどん擦り減っていく。かなりの硬さだが、猫の爪研ぎを舐めてはいけない。



ズボッ!


 そうしていたら穴に落ちた。かなり下まで掘っていたので中は暗い。が、猫の目があるので日中と同じぐらいの見やすさだ。


「しかし、これはどうなってる?一面が水になっているが……」


 何と落ちた先は水の中。周りを見渡すと写真で見た鍾乳洞しょうにゅうどうのような有り様で、水で一杯のせいか下は見えず深く暗い。


「あ、主!みみみみ水ニャ!助けてニャ!」



 あ、そういやルイ。水大嫌いだったな。すごい焦ってやがるぜ。


「少しもちつけ、魔導を工夫して使えば何とかなると思うぞ」

「!」


 ハッとした顔をし、ルイはジタバタするのをやめて何かをしている。と思ったら周りの水を操作して体に触れないようにし、かつ体を浮かせていた。


「何て魔力の無駄遣い……そんなに水が嫌なのかよ」

「主、どこに行けば良いと思うニャ?」


 ふむ?どこ行けばって言っても一面水だし……ここは、俺も工夫をして何とかしよう。


「まずは試しに」


 魔力を一気に放出して、ある事を試す。魔力には、意識を魔力のみに傾ければおおよその地形が分かるという不思議な性質がある。


 この性質を上手く利用できれば迷子にならず楽々とこの場所を移動できそうだ。だが、大量の魔力に意識を集中するのが難しくて苦戦してしまう。


「く、ごめん無理」


 なかあきらめかけたその時「諦めんなよ……諦めんなお前!」と言う声が脳裏に響く。



 そうだった。簡単に諦めるのが俺の悪い癖。ありがとう修○先生……俺は諦めない!


 と意気込んでいると……今度はあっさり出来た。魔力操作はスキルのお陰で完璧だったので、それが理由だろう。


「えぇ……」


 ヒートしていた心が冷めるのを感じる。だけど、これで大体どうなってるかは分かった。


 これすごい使えるけど、いかんせんソナー(命名)は魔力の消費量が激しすぎるな…… 。少しダルくなったし、連発はできない。


「ルイ、ついてきてくれ」


ゴポゴポ


 俺は水の中に潜り、本来迷うであろう迷路のような空間をソナーを使って泳ぐ。


 ぅわ、耳に水が……はぁ!気持ち悪い!猫ってこんな気持ちだったのか、そりゃ嫌になるわ。


 ゾクゾクするような感覚を味わいながらも、それなりに長い迷路をソナーを何度か使ってルイにも使わせながら泳いでいくと、遂に終わるようで水面が見えてきた。


「ぷはっ!ゴホッ、やっと終わったな」

「にゃ……少しだけ体が重い」


 あれだけ魔力を使って少しだけで済むのか…… 。


「ん?あの扉、何か見覚えあるな」


 目の前にはあの時の、ボス部屋のとそっくりの扉がある。


「行くのニャ?」

「いや、まだ行かない」


 今の俺たちがあそこに行くのは危険だ。少し疲れてるし、一回休んで魔力を回復させてから行った方がいい。


「ルイ、飯ないか?一回朝食にしよう」

「分かったニャ!」


 だから休憩がてら、俺はルイの体にくくり付けられている魔法袋マジックポーチから、まだ温かい作ったばかりかのようなご飯たちを取り出した。


「!これ、時間経過してないのか?買って正解だったな」

「腐ってなくてよかったニャ」


 それを俺たちは食べる。味は薄く、シンプルな味付けで日本との食の違いをまざまざと感じさせられる朝食であった。


「ルイ。魔力の方はどうだ?」

「まだ全快はしないけど、だいぶ回復はしたニャ」


 ふむ、俺の方はもう少しで全快だな。魔力の自動回復ってものはこんなに早いものなのだろうか。これは普通なのだろうか。などと疑問に思う点はいくつかあるが、それは後で調べるとしよう。


「怖いし、魔力が完全に回復してから行くぞ。その間に猫パンチの練習でもしとくわ」

「了解ニャ」


 準備は万全に、命が掛かってるからね。臆病過ぎるぐらいが丁度いい筈だ。


「ニャ!ニャァァ!」


シュシュ!


 虚空こくうを相手に猫パンチを繰り出す。シャドーボクシングは妄想の敵に対してよくやってたからお手の物。(厨二病)


「主……」

「?」


 あれからしばらく経ち、魔力が完全に満ちているのを感じる。ルイも全快したようだし、魔力と同時に時も満ちた。


「よし、そろそろ行くぞ」

「……緊張するニャ」


ギィ


 猫の手で開かれる扉。中には人型の、しかし人と呼ぶにはおぞましい存在が立っている。


 人型には頭がなく、胸部きょうぶには大きな口があり異形という他ない。何故か俺は、そいつに対し強い本能的な嫌悪感を……こんな感覚は初めてだ。


バン!


 ーー背後の扉は閉められた。



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