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第13話 街



 俺はルイの言葉に従い、スキルの確認を少ししてから魔眼を発動する。


 許せ、門兵よ!幻惑の魔眼発動!相手に銀貨?とやらを渡した幻を見せる。


「これで良いですか?」


 何も渡してないのに何言ってんだよ俺。だが、周りにバレないようちゃんと手渡した演技をする。


「はい。ではその腕輪を外して下さい。それは超が付くほど希少な物で、殆どないのですよ。欲しいなら白金貨30枚で売りますが、どうでしょう?」


 白金貨!明らかにヤバそう単位だ。これでもし、幻に成功して腕輪を受け取れたとしても直ぐにその事はバレ、大物犯罪者として俺は追われる事になるだろう。それは嫌だ。


「結構です。これ返します」


 腕輪を外し、門兵の人に渡す。すると門兵は「ではようこそ、獣人の街エドルへ」と言い俺とルイを中へ通してくれた。


 街の中は木の建造物が多く、前の世界とは違い地面は土が剥き出しになっている。木や植物なんかは抜かれることなく我が物顔で君臨していて、自然と共存しているのが見て分かった。


 日はまだ明るい事もあり、周りは活気で満ちている。


 そのような雰囲気のある街へ入ると、俺は額をぬぐって大きく一息つく。ここまで緊張したのはいつぶりだろうか。


「俺、初めて犯罪やったわ……」

「犯罪??って何にゃ?」


 お前、知らないで俺に言ったのか…… 。それで救われた身としては言いづらいが、言うべきだろう。


「人を騙す事は本来しちゃ駄目な、悪い事なんだ。ルイ、覚えといてくれ」

「分かったニャ。つまり、主は悪い人って事だニャ?」


 ぐっ……言い訳のしようがないな。


「あぁ、俺悪い人。ルイは俺みたいにならないようにしろよ……?」


 胸が痛いぜ…でもこれで、仕事とか家とか探せそう。だが、どうするか。言葉が通じないんだからなぁ…… 。


 ん、あの姿……猫の獣人か?


 沢山の獣人が行き交う中、発見した推定猫の獣人に、俺は確認のため鑑定をかける。


ーーーーーーーーーー

名前:ミーア 年齢:27 レベル:46 種族:猫獣人

ーーーーーーーーーー


 かなり捻りのない種族名だが、目的の種族を発見できて俺は喜ぶ。


 おぉ、やっぱりそうだったか!これで直せるぞ。


 地味に不安点であった種族欄を、ささっと偽造で書き換える。そして俺は、猫獣人に声をかけた。


「そこの人、俺の言葉分かります?」


 異世界人との実質ファーストコンタクト、若干の期待と不安、分かってくれたら嬉しい。


「あら、猫語何て珍しい言葉使ってるのね。勿論、私は猫系統に分類されるから分かるわよ」



 確かに、猫語のスキルには猫系統全般の言葉が分かると書かれていた。まさか分かってくれる人がいたとは…… 。


 自身の幸運に感謝し俺は「良かった!なら、お願いしたい事があって…一般的な言語を教えて欲しい」と彼女に頼んだ。


 言葉が分からないと不便で仕方がない。言語習得……今の所だと最優先事項だ。


「まぁ、良いわ。それで対価に何を出せるのかしら?」



 ーー対価か。俺に出来ること……といえば、これ(力による解決)だよな。今の俺には借り物とはいえ力があるし。無理だったらこの人の提示する条件を聞けばいい。


「何か困ってる事とかない?力になるよ」


 思考のすえそのように提案すると、彼女は大きくため息をつく。


「言うには言うけど、私は冒険者をやっていてね。シーサーペントって分かるかしら?そいつを討伐したいのだけど、私の力じゃ勝てないの。まぁでも、言っても無駄だったわね。あなたみたいなまだ可愛い子供に、力なんてないから」


 若干のあざけり、これは舐められてますねぇ……仕方ないけど。でもそれが条件なら、全く問題はない。むしろ大歓迎だ。


「力ならあるから、そこに連れてってさえくれればシーサーペント?とやらを倒せる」


 何せステータス的には、それなりに強い部類だと思うんだよね。レベル600ぐらいあるし……よっぽどの事がない限りは負けないでしょ。


 彼は慢心している。井の中のかわず、大海を知らずということわざを知らないのだろうか。


 彼女は耳をピクつかせ苛立った雰囲気を発する。


「あんた、その冗談は受けないわよ?それにもし本当にそれだけの力があるんだったら、証明してみせなさいよ」


 今度は証明か。面倒くさいが、向こうからすればガキがイキッてるみたいなもんだし、それが普通の反応だよな。う〜ん……どうするか。


 チラリ、とルイを見る。すると、こいつ倒していい?と言いたいのが分かった。これが一心同体の効果なんだろうか。勿論駄目、と念じる。


「なら、こういうのはどうだ?」


 俺はあるスキルを発動する。


「!?」


 1人驚愕し、冷や汗を流し彼女はへたり込む。


 ーー使ったスキルは威嚇。(威圧を発するスキル)


 これは試しで数回程度しか使った事はないが、面白いことに意識すれば対象を指定できたり、任意で弱くしたり強くしたりが可能な能力だ。


 だが、今のは限りなく弱くした威嚇だから効果はかなり薄いはず。それなのにこんなに効果が高いのは恐らく、レベル差があるほど、または戦闘能力の差で効果に差が出るからなのだろう。この人のレベルは40ぐらいだし、こうなるのも納得だ。


 そのように高速思考の効果で、じっくりと考察していた俺は……周りから好奇の視線で見られてる事に気がついた。一瞬何で、と考えるがすぐに感づく。


 ーーあ、これは不味い。


 それもそうだろう。かたや恐怖した顔で地面にへたり込み、こちらを見る猫獣人。そしてそれを険しい顔(考察してたから)で見る俺。はたから見れば、何かの事件現場にしか見えない。



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