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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
砂漠の街(グラニュー王国)編
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第70話 パワーの源

なんとか、書けました(笑)


 「いまですニャ!」


 ライムが叫んだ。


 「時間魔法」

 「遅滞、発動」

 

 赤く可視化された空間内で、

 『炎の巨人』たちの動きに、ブレーキがかかる。


 オレは、全力で走った。

 右の手には、一振の刀が握られていた。



*******************



 時間は、すこしさかのぼる


 「助かった…の」

 娘のミラさんが、起き上がった。


 「…どうなってるの?」

 「あんな強力なブレスを撃つなんて…」

 「…ありえないわ」

 呆然と、ミラさんが言った。


 「ドラゴンじゃあるまいし…」

 

 さっきも、セシリアの突っ込みに「不思議ね」とか言ってたから、そもそも、あんまり、あてにならない人かもしれない。


 でも、彼女には、『胸ぽよん』があるから、いいんじゃないかな。なんか、動くたびに揺れてるけど、下着とかつけてないのだろうか。



 いま、目の前には、かまぼこ型の『バビルの塔』がある。もう、一発食らったくらいでは、びくともしないだろう。

 光の粒子にしてしまう、うちのドラゴンの荷電粒子砲とは違う。


 でも、


 「回り込まれるとやっかいですニャ…」


 とくに、


 五体で、散らばって攻めてこられると、けっこうきつい。


 オレは、即座に、城壁から飛び降りた。

 ブレスを食らって、さらに、うろたえている兵士たちを、横目で見ながら、『バビルの塔』を回りこんだ。



 「あんたたち、しっかりしなっ!」

 「いつまで、寝てんだいっ!」

 あの、ばあちゃんの声が、後ろで、響いていた。

 たのもしいばあちゃんだった。



 『炎の巨人』が見えてきた。


 「まだ、四つん這いのままですニャ」


 「ジュンくん、ジュンくん、いまのうちに、スクラップにしちゃおうよ!」

 なぜか、セーラまで、ぴったり後ろについて来ていた。

 けっこう、全力で、走ってきたのに…。

 この女神の身体能力って、どうなってるんだろう。


 「じつは、セーラちゃん、ぴったり、ジュンしゃまの後ろについて、飛んでますニャ」


 そ、それって、まさかっ!


 「『スリップストリーム走法』ですニャ…」

 まあ、飛んでますがニャ……


 くっ!

 ずるいぞ!セーラ!

 

 …………


 まあ、いまは、セーラにかまっている場合ではない。

 

 「効果範囲、設定」

 「可視化、赤」

 

 『炎の巨人』が、赤い光の箱で、包まれた。


 「なんか、色が、暑苦しいよ。ジュンくん」

 「そうですニャ」

 

 ここは、


 「すずしい『ブルー』にしたいところですニャ」

 

 うるさいなあ…


 「重力魔法」

 「加重、発動」


 四つん這いになっていた『炎の巨人』たちが、いっせいに、地面にめり込んで行く。

 砂だから、よく沈むのだろうか。

 まあ、そのときには、徹底的に沈めてしまえば、いっか…


 ぴしぴしぴしぴしっ……………


 「ちょっと、ひび割れて来たね、ジュンくん!」

 「このまま、一気に、スクラップですニャ!」


 順調に、SD化が進んでいるようだ。


 『…たい』

 

 『……たい…よぉ』


 「…ん?」

 セーラがぴくりとした。



 『…けて』


 『……け…よぉ』


 「…ふみゃ?」

 ライムもぴくりとした。


 『……もう、だ…め…』


 『………つぶ…う…よ』


 「「!」」 


 「だめっ!ジュンくん!」


 「魔法を、キャンセルするニャ!」

 

 「なに言ってんの?」


 「はやくはやく!とめて!」


 「このままだと、消えてしまうニャ!」



 そういえば、娘のミラさんが、ブレスのあとで、起き上がったときに…

 こう、やわらかそうな胸が、『ぷるんっ』とはじけて…


 『ドラゴンじゃあるまいし…』


 たしかに、そう言っていた。


 「お胸から、記憶をたどるとは…」

 「さすがです!わがオーナー、ジュンさま…」

 いつのまにか、うちのドラゴンまで、近くを飛んでいる。


 また、口に出していたのだろうか。

 セーラと、ライムの視線が痛い。


 「ジュンさま、アレからは、わが同胞のソウルが感じられます」

 そういって、SDなりかけの『炎の巨人』を、悲しげにみつめている。

 「なんとか、助けてやっては、いただけませんか」

 

 ドラゴンの頼みに、セーラたちが答えた。


 「…だめなんだよ。もう…」


 「…そうですニャ」


 あのまま救い出しても、『炎の巨人』でいる以上は、苦しみ続けるしかない、と言った。


 …ってことは、やっぱり、


 「そうですニャ…」

 「たしかに、あのブレスの威力は、おかしいのですニャ…」


 「わたくしのような、超最先端技術の(すい)()らして、造られたわけでもないのに、威力が高すぎます」

 こいつ、さりげなく、自慢してないか…


 「『魂魄(こんぱく)』を使った呪法だよ…」


 「ひどいことをするものです…」


 「われわれも、ずいぶん、ナメられたもんニャ」


 われわれとは、天界のことだろうか…

 


 「あのゴーレムの中には……」

 「子どものドラゴンの『魂』を封じ込めてあるんだよ」


 「苦しみ、もがく魂が、あのパワーの源だよ」




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