攻め入る敵のはなし!
野獣国の王都から北東にある狸獣人の里に悲劇が起こっていた。
平原から轟々と巻き起こった風から人族の武装した旅団3000人が現れたのだ。
人族は姿を消すスキルがあるわけでは無い。風の魔法で匂い消しと目隠し、光の魔法で軍の隊列を見えないよう偽装したのだ。
大規模なステルス魔法を計300人の魔法使いがローテーションを組み、発動し続ける事で獣人に気付かれないかように兵士を展開して隠れ進んだのだ。
獣人は鼻がいい、斥候部隊が偵察に来た場合にはまず匂いで気付くはずだった……
獣人は目がいい、大軍が押し寄せる場合は木登り遊びをする子供が遠くからでも見つけるはずだった……
人族はまるでスクリーンのように風魔法を展開して連隊に向けて吹気づける事を継続させ匂いを消した。
風魔法のスクリーンに光魔法を当てて光の屈折により迫り来る軍隊の影をぼやかした。
獣人は身体能力に優れ、人族より感知能力が優れている。
優れているという自負が警戒を疎かにし、今回の惨劇に繋がったのだ。
「え?」
驚き、一言を発した狸獣人の男の首が飛んだのがはじまり。
獣人が気づいたその頃にはもう、教皇の聖教軍は里を包囲していた。
薄眼の男…… 彼が隊長だろう指揮棒を振り下ろし叫ぶ。
「男の獣人は皮を剥いで日干しにしろ! 女の獣人は囚人兵と奴隷兵が徹底的に凌辱して奴隷として売れ!売れぬ女の獣人もは殺して日干しにしろ!」
…… 戦はすぐに終わった。
戦闘の用意をしていない獣人など取るに足らなかった。
例え身体能力が人族より強くても、剣や魔法を持つ大多数で奇襲されれば抵抗すら出来なかった……
捕らえられた狸獣人の男は、徹底的に痛めつけられ剣によってではなく拳で石で嬲り殺され、収集家に好かれる牙や陰茎を引き抜かれた……
狸獣人の女は犯される前に身体強化をした人族の囚人兵が笑いながら尻尾を引き抜く。
狸獣人の女の尻尾の腱と繋がる骨は、子供を産むためか脆く、引っこ抜いた尻尾に一部の脊骨がついてくる。
骨と尻尾があった所には穴が開き、血の滴るその穴や肛門や膣や口を風呂にも入らないような囚人兵と奴隷兵が犯していく。
囚人兵と奴隷兵は数があるので穴が増えれば効率的に処理できるのだ。
脊骨を失い泣き叫ぶ狸獣人の女を抑えこみ犯してそれを笑う…… これには一般兵も目を背ける。
狸獣人の女は種族の身体的な特性なのか体格が豊満で胸や下半身が欲情を誘い壊れるまで地獄が続く。
美しい獣人の女は売り物になるため、今はただ犯されるだけで済むが…… その後の命運は語れるようなものではない。
少し離れた天幕のあるテントで薄目の隊長が兵士に叫ぶ。
「狸獣人の子供はこれだけか!?」
「ハッ! ウースミ様、ここのに集まるのが全てです」
兵士の言葉に笑顔て頷き狸獣人の子供を見下ろす。
他の獣人は闘争本能が強いが、狸獣人は農耕が得意で大人しい。
牧歌的で静かに暮らしていた狸獣人の子供達は、体感した事のない暴力に怯え、漏らし、泣き崩れてる。
ぐるりに自分の親や顔を知る大人の悲惨を見たらどの獣人の子供でも同じになるだろうが。
震えながら人族の言葉を待つ獣人の子供達にウースミはニーッっと笑う。
「教皇様の御慈悲で君たち子供は生かしてあげよう! 教皇様のなんと慈悲深き事か! 」
拳を握り震わせ天に叫ぶウースミ。
神へ言葉が届くと本当に信じているのだ。
子供達はこの惨劇の現場を作った張本人である教皇に慈悲を覚える事はない…… だが仕返しの機会も無い。
これから狸獣人の子供達は人間として生きる為の躾をされるのだ。生存率が1割も無いような躾、それは過酷なものとなる。
ウースミは荒野を見遣り決意を自分の中で固めていく。
『……野獣国を落として教皇様にお褒め頂くのだ……』
その目には神より与えられるであろう名誉しか見えていない。
今も殺され犯されを続ける狸獣人の里で…… 彼は、ある意味で唯一純粋な存在だった。




