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俺だけが使える超能力で魔法のある世界でやりくりします!  作者: ais
獣人は獣人の国と呼んでいますよ?
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黒い影



 ゾロゾロと威儀(いぎ)を正して数人の老人が歩く。


 白い装束(しょうぞく)を着た彼ら人族は、バロック様式の白色を基調(きちょう)にした建物に集まった。



 建物の内装は豪華(ギラギラ)絢爛(ピカピカ)なものを使い、中央に立つ権力者である教皇の肖像画がデカデカと飾っている。


 ここは野獣国(ビースティア)と戦争をしていた教皇国家の中央議事堂である。


 議事堂といっても議論(ディベート)のような事はしない。

 教皇が考えた事を話し実行させる為の独壇場…… 自分を神とでも考えているように中央に立つ教皇は恍惚(こうこつ)とした表情で話を始めた。


野獣国(ビースティア)に動きがあった! 」


 教皇の透き通った声が響く…… 60代半ばだろうか、痩せた背の高い白髪の老人の言葉に議事堂が(ざわ)つく。


 「昨夜、野獣国(ビースティア)の王都にある水晶の壁に大きな反応があった! 恐らく誤作動だが、それより小さく見積もっても膨大な能力を持つ者がステータスを確認したようだ! 」


 野獣国(ビースティア)の教会にある水晶の壁は、実は通信など切れていなかった。

 今もリアルタイムに水晶の壁は教皇国家に情報を送信しているのだ。


 教会は効率よく水晶の壁を使って野獣国(ビースティア)や、他の国家の住人のステータス統計調査をしているのだ。


 「愚かな野人は教会に知られていないと思いレベルアップの度にステータスチェックに来るだろう」

 教皇の予想通りに野獣国(ビースティア)からのデータは日々、蓄積されていて、どれだけの人数がどれぐらいの戦力があるか筒抜(つつぬ)けなのだ。


 そこに神の使徒であり、その称号を受けるに相応しい力を持つシノーンがステータス鑑定をしてしまった。



 「名前を登録していない者で実体はわからないが、恐ろしい力を持つ者を迎えた野人の国は、我々に刃向かうつもりであろう! ここで我々の用意した兵器を使う時が来た! 」


 シーンとする議事堂で教皇は幕下に手で合図するとゴロゴロと鉄の檻が出てくる。


 「我々は!野人の王子を最期の戦いで捕らえた! この野人の王子は我々の兵器となりて、自国(ビースティア)を終わらせる事で神の許しを与えられる! 」


 「おおーっ!! 」

 教皇の言葉に議事堂に詰めた教会管区の人間が、その法悦(ほうえつ)に歓喜する。


 教皇の前に運ばれ来た檻には、野獣国(ビースティア)国王(マカミ)の息子…… つまりは王子が変わり果てた姿になって捕まっていた。


 魔石は加工が出来ないが魔法を蓄える事ができるもの。

 特定の魔物から(もたら)される『属性のついた魔石』は、適正の違う魔法を注ぎ込み続けて蓄積させると属性暴走で爆発する。


 これはシノーンがまだ知らない知識だった。


 裸に剥かれた獄中の王子は肉を削がれ血を垂らしながら断裂している。そこに汚れ燻んだ麻糸で網のように縫い付けられた魔石が埋め込まれて…… 実に不快な光景を見せている。


 魔石は一つ二つではない数……関節の可動が制限されるほどの暴走と爆発を待つ無数の魔石が王子の人としての姿を認識させないぐらいに埋め込まれている。


 …… 異教徒である王子に対して、悪意を持ってこの悪魔的な行為をしたと分かるのは、王子の陰茎や肛門にこれ以上なく執拗(しつよう)に魔石が埋め込まれている所だろう。


 王子が羞恥と激痛に喘ぐ姿を笑いながら切りつけては埋めるを繰り返した事が分かる。


 「うご…… 殺じでぐださい…… お願いします……

お願いじます…… 殺じてください…… 」

 

 口の中にまで魔石を埋められた王子が死を懇願(こんがん)する。

 歯は抜かれ…… そこにも丁寧に歯の大きさに合わせたサイズの小さい魔石が埋められている。


「殺すわけがないでしょう…… 私は聖職者ですよ? 不敬な…… 」

 教皇は涙を流す王子に対して、シッシと手で追い払うジェスチャーをするとゴロゴロと監獄は下座に降ろされた。


 「準備が出来次第、野獣国(ビースティア)を粛清浄化し野人の国を花の咲く野原に戻す! よろしいな!? 」

 「「「「はい!」」」」

 議事は教皇の言葉で終わる。


 教皇は人殺しはしない。

 ただ教会に(つか)える聖騎士が正義を実行するだけ…… そう考えているのだ。



★☆


 王女(アイ)に捕まって仕方なく宿に戻り上着を取りに戻る。

 まだ冬だから着の身着のままでの空の散歩は寒かった…… 急いで逃げて馬鹿みたい……


 宿の部屋に帰るとワルフが起きていて羊皮紙と黒炭チョークで何かを描いている。その紙代はどこから?え?宿代でツケてる?ぶぶむーん……


 「それで、ワルフは何を描いてんの? 」

 「いや…… それがワシにも分からんのだが…… 寝ている内に次々と…… 今まで作った事も無い衣服のアイデアが次々と浮かんでのぅ…… 」


 ワルフが見せてきた羊皮紙の数枚に様々な服のデザインが並ぶ。

 「これは…… スゲェな…… 」

 繊細でキャッチーな服のデザインは地球の物に近い。

 これは昨日、ワルフのスキルを(いじ)ったからかな…… いや、絶対にそうだ……!


 スキル取得の凄さを改めて感じながらワルフのデザインを見ていると、いつの間にか部屋に侵入していた王女(アイ)もワルフのデザインを見ていた。


 「プリンセス…… どうしましたかいの? 」

 プルプル震える王女(アイ)はデザイン画とワルフを交互に見て叫んだ。

 「オッチャン! 天才か!? なんやこの綺麗なデザインは! ホンマにオッチャンはドワーフか? 」


 その言葉にワルフは目を丸くして驚く。

 「ワシが…… 天才…… ? 」

 それから王女の質問と、ワルフの適切な衣服のアドバイスの話が続く。


 「これと…… これじゃな…… 」

 「わぁセンスええなぁオッチャン! 」


 よしよし…… 服に夢中な女性から俺は逃げ慣れている! 母さんに鍛えられた技をくらえ!

 王女(アイ)に見つからないようソロソロと逃げようとするとノールックで腕を王女に掴ま(つかま)れた。


 「私の狼の鼻からは逃げられんよ? 女の子の服選びも待てんのならモテへんよ? まぁ…… シノは私がもらったるけどな! 」

 赤くなりながら笑う王女はニヤニヤとドヤ顔しながら恥ずかしくなったのか俺から顔を(そむ)ける。


 ワルフが不意の王女(アイ)から俺への告白に驚き口を開く。これ要らん事考えてる顔だわ。

 「キ…… 」

 「キ? 」

 「キュレネちゃんに言っちゃお! 」

 「コラアァァワルフゥゥ!」


 とりあえずワルフには酒代と性風俗代を握らせた。イラつくけど暴力や殺しはダメ!絶対に。

 あとは、買収しかない!


 ワルフはコクコクと真顔で(うなず)く。

 はぁ、口止めには高い金額だ……



 「…… キュレネって誰なん? 」

 冷たい声を出した王女(アイ)のしっぽが毛羽立ちピンっと立つ。え?…… 怒ったのかな?


 それから、コソコソと色々な事情を王女がワルフに聞いているのを見て、俺の(まぶた)痙攣(けいれん)する…… ストレスが凄い。


 あーこれはワルフ喋ってるわ。

 御喋り糞ドワーフだわ。

 さっきの酒代と風俗代も、口止め料じゃなく単にお小遣(こずか)いと思ってるわー



 …… あ〜あ、ストレスが凄い。


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