アヘミクレヘンの加工!
「アヘミクレヘンのクレイモアを試し斬りする!」
…… そんなビッグイベントか?
俺の宣言を聞いてオーディーの町にいるドワーフが工場の製鉄所に集まった。
「おいあまり人数がいると危ないぞ? 」
ドワーフったら聞きやしない無視ですよ?
じっとクレイモアを見ている。
地球のネット動画にある猫をレーザーポインターで動かすヤツできるかなー? できるかなー?…… 出来たー!
一斉に筋肉オヤジがアヘミクレヘンのクレイモアを目で追う。
アネゴもいるので激しくクレイモアを上下してみる
おぉ…… 素晴らしい胸の揺れだ……
という下らない前置きをして早速試し斬りをする。
ドワーフが森に入り捕まえて来たゴブリンが2匹、鎖に繋がれている。
「ギッギギッ」
そう、がなるなよと1匹のゴブリンにまずクレイモアに火の魔力を流してゆっくり突き刺す。
「ギギギギ!!! 」
剣が触れた部分の全てからから炎が上がる。
温度が相当に高いのか刺した周囲の肉を含めて一気に炭化して黒くなる。
まだ剣先をチョンと刺しただけなんだが…… ゴブリンは死んでしまった。
「ショック死か…… マグマみたいに熱くなってるのか…… 」
俺の魔力量が過多なのもあるが、もっと魔力量が少ない人が使ってもアヘミクレヘンのクレイモアは恐ろしい武器になるな。
さて、もう1匹に向き合う。
「ちょい皆んな場所を空けて! 今度は振ってみる! どうなるか分からないからね! 」
ゴルフのギャラリーみたいにドワーフは静かに場所を移動する。
「実験で命を奪ってすまんな、ゴブリン…… 人の世の為だ」
今度はアヘミクレヘン製クレイモアに少しだけ光魔法を入れる。
LEDライトのようブレードがピッカピカと光を輝かせる。
「よっと! 」
一般の人族が振れるぐらいのスピードでゴブリンを袈裟斬りにする。
ボ─────────ゥ!
「え? 何の音? 」
剣の軌道に沿って壁、ゴブリン、床が魔力を込めた以上の光魔法にブーストがかかり抉れ消えていた。
「お…… おっかねぇーー!! 」
「これは凄い…… 」
「剣全てが魔石…… いやそれ以上の力を…… 」
ドワーフは感極まっているが、これは実に危ないなぁ……
もうちょっとアヘミクレヘンの配分を少なくして合金を作らないと…… このままでは誰でも使っていいって物にならないな。
売り物にならないと意味がないしね!
☆★
その直後から…… 監禁されるように、俺はアヘミクレヘンと…… 他の車や銃に使う素材を毎日…… 毎日…… 作り続ける素材作成ロボに成り果てた。
『魔石の加工は無理な物』という常識を覆されたドワーフの圧力は凄かった。
今までは、工場に缶詰されても俺を見張りながら酒を飲んだり雑談をしたりはしていたんだ。
でも今回はおかしいぐらいに静かで…… 作業するハンマーが鉄を叩く音や、研磨に擦れる音しか工場からしないんだもん。
ドワーフは魔石は嵌め込む事を前提に工作の歴史を紡いできた。
魔石から武器に魔力を付与したりと歯痒いながら工夫をしてきた歴史が何千年とあったのだ。
その歴史を俺が全てぶっ壊してしまった。
つまり、ここからドワーフの歴史がまたスタートする事になった。怖い。
魔石に対する知識は…… この星にしか魔石がないなら宇宙一の実績がドワーフにはあるだろう。
魔力・魔法は宇宙からきた思念体が朽ちた後のガスから齎されそれを生物が吸収して変異し魔物になる。
人間の尿結石や腎結石のように魔物の体の中で排泄されずに固まったのが魔石だと思うと合点がいく。
魔力の塊の魔石を加工出来る
それはこの星のビッグニュースだろう。
そんな事を考えながらアヘミクレヘンを量産していく。
「…… のぉ…… ワルフ、シノ様の目が死んどるぞ」
「いい気味じゃ…… 人の給料を減らした罰じゃ! 」
じっと俺がアヘミクレヘンを作るのを監視しているワルフと他のドワーフ……
でも手は止まらない。粛々と作業を続ける。
そうか…… ワルフの給料本当に減らしたんだ…… アーネは仕事が早いなぁ…… まあ可愛そうだからワルフに酒代だけでも渡してやろう。
「それより貴様達はアヘミクレヘンの加工は出来たのか? 」
アヘミクレヘン合金の加工は錬金術を用いらないと困難を極めた。
アヘミクレヘン自体は柔らかい物質だが他の金属に合わさるともうね…… カッチカチに折れずアヘミクレヘンの特性なのか曲がらずでドワーフの頭を悩ませるタネになっていた。
「それは大丈夫じゃ…… のうワルフ 」
「おお、アネゴがアヘミクレヘン加工の隊長になって力技で作っておる。ただ、叩く回数や力が多分に要るから大量の同胞を投入して当たっとる…… 大変じゃが出来は保証する」
アヘミクレヘンで作ったクレイモアは試し斬りの後に直ぐさまドワーフに大事に抱えられ工場の壁に祭られた。まるで神器だ。
次の日から変異は加速していく。
「ワルフに聞いたんダスがオラの見た事がない石っこがあるらしいんで見せてくんろ? 」
お喋りさんが噂を早速で流したようでドワーフが増えていく……
言葉に訛りがあるからこの地域ではないんだろう。どこまで話好きなんだワルフめ……
俺は軟禁されてアヘミクレヘンを作りながらワルフを睨んだ。
次の日…… その次の日もドワーフが増え、アヘミクレヘンを見て腰を抜かし製作者の俺が錬金術を使い作っているのを見て拝みだす…… という一種の定期業務のようになりだしていた。
つまり何が言いたいかと言うと工員が増え人員の余裕があるのだ。
アヘミクレヘンの硬度に割ける人員の確保が成った我が工場は恐ろしい勢いで成長していく。
日替わりでアヘミクレヘン、蒸気自動車と作業員を割り振り、仕事好きなドワーフはそれを苦とせず労働を続ける。
町鍛治さんが過労で倒れた時には、俺は自分のステータスを呪ったよ。
俺、このぐらいの労働ではもう倒れられないみたいだ。でも疲れないわけじゃない…… 休ませてくれ。
今日もまたドワーフが雇用されているだろう。
アヘミクレヘン担当のアネゴの下でしっかりハンマーを奮ってくれ。
夏の工場のアネゴは薄着で本当に凄いからな、余所見してケガすんなよ?
ハンマーを振る度に巨乳が上下にたゆむからな!
俺も加工を頼みに行った時に驚いたよ。
「お!シノどうしたの?私に会いに来たの?」
「お…… おう」
少し、動きが止まってしまったよ。
カーン! どゆぅーん…… カーン! どゆぅーん……
凄いからな!!!
気をつけろよ!!
「シノ様、少しお手が止まっておりますぞ?」
「はい…… 錬成」
…… 嗚呼、休みが欲しい……




