ワールドマップで逃げる準備を!
キュレネがホント怖いので、逃げるように久しぶりにトロスの町に遊びに来た。
仕事の合間や寝る前にチョコチョコと魔法の訓練をしていたけど、膨大に魔力を消費する錬金術を覚えてからはもう爆発的に魔力量が上がった。
暇があれば工場で素材の合金を錬金術で作りまくっているからもう工場にはチタンやタンタルなんかの合金やレアアースの素材ストックが随分とある。魔力量は事あるごとにカラカラにして過ごしている。
神様の加護があるから、使えば使うだけ成長しちゃうなら、そりゃあ使いまくっちゃうよね!?
何を言いたいか…… 魔力のパワーアップが進み身体強化魔法の精度や硬度が前年の比較にならないぐらいに高くなったのだ。
超能力の瞬間移動で長距離移動しても何の影響もない程にね…… ふふふふ
今の俺は自分の部屋から、たった二回の瞬間移動でトロスの町に行けるのだ!
地球での日々では考えられないほどに便利な超能力になったな瞬間移動ちゃん大好き!
キュレネを自室ドアの外に感じながら瞬間移動を使って来た…… 本当に怖いです。11歳になりキュレネは美少女さがさらに増したけど…… 本当に怖いんです。
逃亡に使える瞬間移動ちゃん有能!
今回、トロスの町に来た目的は世界地図を見る為だ。
俺には一度だけチラリと見ただけで[記憶にファイル]に保存されるスキルがある。
これなら地図を買ってキュレネにバレないように気をつける必要がない。…… 脳を開いてスキャンする能力でもない限り…… ゾクゾクッ
やっぱり旅に出るなら違う国に行きたいし、世界地図が欲しい。
違う国ならキュレネも簡単には追って来れないだろうしね!
うんうんと自己肯定をしながらトロスの町の門をくぐると驚く物が目に入る。
聖女キュレネ様が教会に認められた町トロスにようこそ!!
町の至る所にそう書かれてあったのだ。
「なんだなんだ? どうなってる? 」
俺は情報収集する為に飯屋に飛び込んだ。
注文を取りに来た給仕に安いジュースを頼み、高いチップを払うと満面の笑顔を向けてくる。
「すみません、キュレネ聖女さんって何ですか?」
その質問に対する答えは結構長くなるが。
・エルフの村を救い厄災オークキングとオークを全て退治した。
・聖女キュレネが大精霊と会っていた日に、エルフ村の方角から大地を揺らす魔力が放出された。おそらくキュレネ様の魔力だろう。
・水の大精霊と仲間になった
・武器、武術の達人である大公様を子供のように遇らう
それらを冒険者ギルドや教会が喧伝という…… トロスの教会ならやりそうだな……
「だから聖女キュレネとしての待遇を国も考え出しているようで…… うちの町も話題に乗ろうと思ったわけです! 」
「ほぇーっ」としか言葉が出なかった。
だいたい大まかな噂話の内容が合っているから訂正も出来ない……
俺は存在を出来るだけ隠しているからキュレネだけの手柄になってるけど、これ大丈夫か?
これは上手くすれば本当にキュレネにバレなく冒険の旅に出れるかもしれないけど…… キュレネが権力者に取り込まれる可能性もある。妹が酷い目に合うのはなんか違う。
「キュレネには特製の装備でも作ろう。あとレベルアップも支援しよう」
国家権力何それになるぐらいの力をキュレネに与えようと俺は考えて飯屋を出た。
☆★
俺は前に地図を買った道具屋に再来訪する。
「お…… おお久しぶりだね! 」
「え? 覚えているんですか? 」
店主が言うには、あんな小さな子供が200万円もする地図をポンと買ったんだから覚えて当然…… だとさ。
よく考えたら危ない行動してんな! 俺とキュレネ!
「今日は何の用だい? 」
「世界地図を見せて欲しい…… 出来るだけ広域の物が見たいです! 」
はぁ? 信じらんないんですけどー?という店主のドン引き顔にこちらも若干、引く。
「見るだけかい? もちろんあるけど…… みるだけにでも価値があるものだよ? 」
「ええ、手に取る事もしません。 なんなら俺の腕を後ろ手に縛っても…… 」
そこで俺はチャリンと金貨をテーブルに置くと店主のオヤジはしばらく考えそれを受け取った。
交渉成立かな?
「こっちに来い」
見るだけで価値があると言われて、金を出したけど上手く見物料は払えたようだ。
店主が手招きをする部屋に入ると色々な商品がごっちゃになっている部屋の壁にこの星の世界地図があった。
「100…… 99…… 98…… 97……」
とオヤジがカウントダウンを始める。
「え?1秒で1万円って事!?」
急いで壁の世界地図を確認する。
トロスや王都の位置を見るに正しい描き方をしているようだ…… ってかカウントダウン早くなってない?
急いで世界地図を見る1メートル×2メートルはある大きな地図なので早くしないと、マップに空白部分ができてしまう。
「しゅーりょー!」
というムカつく合図で地図の部屋を摘み出された。
……なんなんだアンタ……
ブスっとした顔をしながら[記憶ファイル]で[世界地図]を見るとちゃんと記憶されていたようで安心する。
「さて…… どうする? 」
店主がカウンターを指でトントン叩く。
お金おかわりで世界地図をまた見せるよって事かな?
「いや…… もういいっす」
「そうかい? 」
…… なんかムカつくので道具屋を冷やかしで見て回ると、ガラスケースに入った1000万円もする高値のショルダーバッグを見つける
「なんだこれ? 普通の鞣し革のカバンがなんでこんな高いんだ? 」
ガラスケース越しに、色んな角度から見るが普通の…… いや、少し汚れたカバンに、この高額値段の答えが出ない。
「お? 買うのかい? 」
「いや買いません! なんでこんな高いカバンを…… 」
「そりゃ高いよ魔法のカバンだもん当然でしょ? 」
当然って……
魔法のカバンは古代の遺跡から極たまに発見されるもので魔法を通すとカバンの中に、魔法空間ができて色んなものが入れられる…… らしい……
「見てなよ」
店主はカバンに魔力を流し中に椅子を入れる。
「おお…… 」
明らかにカバンより大きな木製の椅子を入れる。
これは…… すごい。魔法万歳。
「取り出しも自由……」
コプッ…… と椅子を取り出す。
これは欲しい!
今一番に欲しい物かもしれない!
散々、開発と製作・生産をしてきた工場の社長としての稼ぎで1000万円なら問題なく払える!
「買います!」
「え…… 冗談…… まじかぁ」
1000万円(実際には白金貨10枚)を店主のオヤジに渡して、さっさとカバンを受け取り肩にかける…… うん! 重たくない!
クルクルと回りカバンの着け心地を試していると、なんでこんな子供が大金をポンポン出せるのかという店主の疑う目に気が付き、とっとと外にでる。
いやー良い買い物をした。
でもこのカバンも隠しておかないとな…… 部屋に普通に置いたりしているとキュレネに即バレして、すぐに旅の道具とかカバンから引き摺り出されて怒られそうだ。
キュレネの異常な探索能力を思い出して改めてゾッとするシノだった。
「さて帰るか……」
建物の影から瞬間移動で家に帰る。
部屋についてすぐにカバンをどこに置こうかと考えて、とりあえずベッドの下かな…… とベッド下を見るとキュレネがいた。
ビクッ!と驚いて、這い出ようとするキュレネに
「なんなんもうー! 」
と叫んで、すぐに瞬間移動!
工場の屋根の上に逃げた。
絶対に逃げよう……
来年の春には出来るだけ遠くの国に行こうと心に誓い、とにかくカバンを隠す場所に頭を痛めた。




