エルフさん!
「お兄ちゃんたまには遊ぼう! 」
「お…… おう…… いいぞ? 」
朝早くから家で庭を見ながら寛いでいるとキュレネが抱きついてきて目を潤ませる。
そういえば、あの告白の日から全く遊んでないな。
「シノ…… 父さんはキュレネを娘と思っている大事にしないと泣くからね?」
様子を見ていた父さんが苦笑する。え?遊ぶって肉体関係とか勘違いしたの?
父さんは貴族になって書類仕事ばかりするようになり、血色は悪くないけどムキムキではない痩せた男になった。
もう長剣も振れないだろうな……
「違うって! そんなんじゃ! 行くぞキュレネ」
「そんなんでも…… 私はいいのよ?お兄ちゃん」
まだ子供なのにどこからその知識を得たんだ?
教えなさい、そいつ殴りに行くから。
一度、俺の部屋に戻りそこから上空へキュレネと瞬間移動する。
「どこに行こうか?」
「お兄ちゃんとなら何処へでも……」
「お、おおう」
ウチの町も復興が終わり工場が再稼働したおかげで人がまた増えた。
町の人の稼ぎ口は蒸気自動車と蒸気バスに必ず繋がっている。部品の製造や組み立てを割り振って雇用したからだ。
日本の主要自動車会社の製造ラインがある町と似た感じになっている。
人が集まると商人が店を出し、街道が活発になる。
実に良い風に活性化していると思う。領主館もあるしいずれ領都になるだろう。
なにを言いたいかというと、産業が活発になり商人が集まるこの町で遊ぶ事ができてしまう。
母さんが生きていたら毎日が買い物だっただろうな。
「とりあえず…… ウチの町で遊んでも面白みがないし他の町に行くか? 」
「お兄ちゃんとなら何処へでも……」
流行ってるの? その言葉はキュレネの中でヘビーローテーションなの?
町の上空でキュレネを抱きかかえながら地図を開く。
どうせなら知らない場所に行きたいな……
俺は地図で何となく目についた村の方角に体を向けてキュレネと俺に体を守るために強力な身体強化魔法をかけてから瞬間移動をした。
また、ちょっと瞬間移動の安全移動できる距離が伸びたと記しておこう。
☆★
私は憤慨していた。
村の掟を破り村神の湖で体を洗った冒険者達がいたのだ。
村神様は穢れをとても嫌う。
冒険者達は村神様の湖近くで魔物を狩りその血や肉片を湖で洗ったのだ…… 実に愚かな行いだ。
彼等のうち4人は、湖の水に叩きつけられて皮膚の中から内臓がめくれ出て、その体ごと細く切り刻まれて頭の中に侵入した湖の水で爆発させらた。
残りの1人は両手を水圧だ押し潰され痛がりながらも村に逃げてきた。
バカな話だ。3人を村神様は殺された。
3人分の穢れがまた湖に落ちた。
残る1人がこの村に助けを求めて来て状況は分かった。分かったが頭が痛い……
湖を穢したのだ、村神様は必ずお怒りになり我々をも襲いに来るだろう。
村長としてこの村を放棄するべきか…… ?
しかし産まれたばかりの孫はこの雪の深い冬の中、他の人里へまで命がもつのだろうか?
ああ、村神様がお怒りになられている。
誰か何とかしてくれ。
我々エルフの民は村神様…… 精霊と争う事は出来ない。
誰か……「あ! いらっしゃい! 人族のカップルは珍しいですね! え? 違う? ヒッ! 奥様が凄い顔で睨まれてますよ! ええ! エルフのパンが名物です! いかがですか?」
危機は起きても日々は続くのだ…… 出来ればこの平和を守りたい……
☆★
キュレネとエルフの村に到着した。
エルフとは自分達の先祖が精霊であると言い張る霊的思想な人達だ。
身長は高く美男美女ばかり…… と言ってもこの星には、やたら顔が整った人が多いから「わー美人ー」でも耳が長いから生活で困りそうだなという程度。
ただ訪れて見たエルフの建造物は面白い。
地球の中国にある福建土楼のような円柱の建物に部族が住んでいるのだ。
外的から守るにも良いんだろうけど、さすがのエルフは石は使わず木と土だけで仕上げている。
しかし…… よく作ったな…… カンフー映画を思い出すぐらい良く似ていると思いながら[記憶ファイル]に知識として保存していく。
しかし、このエルフの集合住宅は生活空間が壁と住居で囲まれているので匂いが停滞する。
メチャクチャ良い匂いがするんだ!パンか!?パン焼いてんのか!!
「キュレネ! 」
キュレネはコクンと頷くとパンの匂いのもとに2人で急いで走った。




