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あたたた…… 座るぅ…… あたたた……!




 冬の間にアネゴの工房から運ばれてきた鉱物を整理しよう!


 外は大雪。ドワーフ共は工場に(こも)って作業を続けているんだが、俺がプラプラしているのがバレたら必ず仕事を押し付けようとするので言い訳をして仕事でサボろうと考えたわけだ。


 素材の整理をするのは急いでだろうが、ゆっくりだろうがバレない。この星に監視カメラなくて良かった。


 「うわー…… いっぱいあるな…… 」

 鉱物などの素材は山のように工場の倉庫にあった。


 アネゴは本格的にこの町で暮らす事にしたようで、森の中の工房から素材や資料をワルフに頼み往復何回かに分けて運び込んでいた。


 「二人で頑張りましょうね! 寒いから…… ピトッと近くにいて下さい。はぁ幸せです。」

 アーネは工場(ここ)の管理者になっているので素材管理の書類作成のために付いてきた。


 いやら近づきすぎたら作業できないよ? 何しにきたの?

 しっかし相変わらず顔真っ赤で睨んでくるなぁ……

 恥ずかしいんだよな? 多分……


 鉱物の在庫をザッと目を通したけどプルトニウム等の手に負えない鉱物は見当たらなくホッとする。


 処理できないしね!

 地球の現代日本でも使いきれていないしね!



 しかし本当に色々な鉱物があるな。

 アネゴは鉱物の処理や知識をドワーフに与えて、ドワーフはお礼に各地で集めた鉱物をお土産にしたりしていたそうだ。


 ドワーフが集める鉱物類だから凄い種類がある。


 「うぉぉマンガンにクロムじゃないか!」

 「綺麗な鉱物ですね」

 「あ!アーネあんまり近づかないでね。マンガンは毒性があるから」


 アーネは触ろうとした手を引っ込めて尻餅(しりもち)をついた。

 ちょっとエロい倒れ方をしたから目をそらす。


 …… マンガンとクロムと魔法があるならバネ、スプリングが作れるな。これは僥倖(ぎょうこう)


 俺には必要な物がある。

 この異世界ではとても手に入らないと思っていた。


 冬の始まりの日に俺はとうとうなってしまったんだ……痔に…… なってしまったんだ……


 忙しかったからなぁ……


 スプリングが作れるならば蒸気自動車など乗り物の振動を抑えられる…… これだけでかなりありがたい。

 あと、椅子も作ろう…… そうしよう。


 アーネの積極的なボディータッチにドキドキして在庫管理をした翌日、工場の会議室にドワーフを数名集めて痔対策会議を始める。

 「というわけで、バネを作ります」

 「何がというわけじゃ? 」

  あれ?俺って結局、仕事を増やしてない?


 「そもそも何じゃ? バネとは? 」

 んーこれは説明しず…… ん?

 いやコイツら作ってんじゃん!

  「ルベルM1886[MA]の内臓マガジンに作ったバネあっただろ? 」

 指を伸縮させてバネを表現する。

 「ああ! 棒に細い鉄を巻きつけて作るアレか? 」

 「あれがバネだ。あれを大きくした物を作る」


 新しい物を作るという声が聞こえたのか数人のドワーフが会議室に無言で入ってくる。

 コイツら本当に仕事バカだな……


 「しかしよぅシノ様…… 鉄は硬いもんじゃからして…… ルベルM1886[MA]の細い小さなバネではなく、大きい太いバネを作ってもバカになりすぐに切れて使い物にならんだろう?」

 金属疲労の事だろう。やっぱりこいつら色々と考えているな!


 「そう! これから鉄を正しい量で混ぜて合金を作る! ばね鋼鋼材だ!これをバネに使えば鉄の寿命は比べ物にならない程になる! 」

 「おおお! 新しい鉄か! 」

 「この歳で新たな鉄に(さわ)れるのか! 」

 感動しているドワーフさん達。


 合成に必要な[記憶]はアネゴから借りた神様からもらった [業務用]鉱物・化合物百科辞典完全版 日本語訳の本があったので、それを借りてパラパラと目を通して[記憶ファイル]に入れてある。


 目を通すだけで専門書を覚えられる[記憶]はすごい。今なら東大に行けたなこれ。


 さて、痔の為に頑張るぞ!



☆★

 「…… シノよ何だこれは? 」

 「バネ、スプリングを使ったコイルスプリングですよオスカー大公閣下(オスカーさま)


 スプリングを作り小型の蒸気自動車にサスペンションスプリングとして取り付けた。

 現在の地球が、俺が生きていた時間と並行ならば、俺の知る限りこれ以上の設計はないだろう。


 新しい技術は俺は手に入れられない。地球では俺は死んでしまっているからね。つまりここでスプリングの記憶は打ち止めだ。


 「オスカー大公閣下(オスカーさま)、横にお乗り下さい」

 「うぅむ…… しかしこんな小さな車では戦に役立たない」

 渋りながら乗車したオスカー大公閣下(オスカーさま)にニッコリ笑って工場前の広場で蒸気自動車を爆速させる。


 サスペンションスプリングは路面を(とら)え、左右へと移動する重心もなんのその車体を斜めに支えながら安定して走行し、その無茶で楽しい走行にオスカー大公閣下(オスカーさま)は助手席で大爆笑。


 もうドリフトだってしゃう!車体が小さいから小回りだって効くから運転して面白いったら!


  俺はもオスカー大公閣下(オスカーさま)の笑顔につられて大爆笑。


 ドワーフはその走行よりスプリングの性能を見たくて車を追いかけるように走りながらスプリングを見てくる


 「おい!()いちまうぞ! 」

 「シノ! ()いてしまえ! ワハハハハ! 」


 アホみたいに笑い汗臭いオッさんと楽しく遊んで午後になったが、やはりスプリングを作る過酷なスケジュールと調子に乗って疾走したせいもあり痔が悪化した。


 くぅぅ…… 辛い

 でも俺を好きな女の子が三人もいるので痔とバレたくない!これは見栄なんだよ!


 この痛みをなんとかしないと…… あれ?

 そういえば……


 回復魔法を使うと痔の痛みが(おさ)まる

 あるぇー? 何で俺、スプリング作ったんだ?


 痔になる度に治せる事に喜ぶより気付かず無駄な仕事を増やした自分を悔いるシノだった。

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